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メルマガ小泉悠と読む軍事大国ロシアの世界戦略(定期購読版)

ウクライナ戦争の行方やロシアの軍事力について、毎週月曜日に配信します。単独の記事のみ購読したい方はこちらをどうぞ(https://note.com/cccp1917/m/m59a…
毎号買うのめんどいという声が割とあったので定額版を作ってみました。
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#ウクライナ

第285号(2024年11月18日)ついに認められたATACMSによるロシア領攻撃

【今週のニュース】ついに認められたATACMSによるロシア領攻撃ヤーセン級SSGNが宗谷海峡を初めて通過  防衛省統合幕僚監部によると、11月11日、ロシア太平洋艦隊の艦艇4隻が宗谷海峡を通過した。「ウダロイ級フリゲート(艦番号「543」)、マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦(艦番号「331」)、バクラザン級救難えい船及びヤーセン級原子力潜水艦の計4隻」とされている。このうち水上艦3隻は10月のオケアン2024演習後、カムチャッカ半島に留まっていたもので、ウラジオス

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第284号(2024年11月11日) トランプの再登板とロシア・ウクライナ戦争の行方 「どっちの」トランプが顔を出すのか

【今週のニュース】ウクライナ軍と北朝鮮軍の戦闘始まるロシア軍が戦略抑止力演習を実施  10月29日、ロシア軍の戦略核部隊は、最高司令官であるプーチン大統領の指揮下で定例の戦略抑止力演習を実施した。  今年の戦略抑止力演習の内容は例年と大きく変わっていない。戦略ロケット部隊(RVSN)による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射訓練、海軍(VMF)の弾道ミサイル原潜(SSBN)による潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、航空宇宙軍(VKS)による空中発射巡航ミサイル(ALCM)

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第283号(2024年10月28日) 北朝鮮軍、ウクライナへ

【インサイト】北朝鮮軍、ウクライナへ 予想される露朝の狙いと戦争の今後ロシア国内に現れた北朝鮮兵たち  なんだか三十年くらい前の仮想戦記でも書いているような気分ですが、こういうことを大真面目に記すことになってしまいました。  前号でも簡単に触れたように、10月半ば以降、北朝鮮軍がウクライナでの戦争に参戦するため、ロシア領内に入ったのではないかという報道が相次ぐようになりました。ウクライナ・韓国の政府も「北朝鮮軍がロシアに入った」と述べています。  この間、現地からは映像

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第282号(2024年10月21日) 明らかにされた「勝利計画」の中身と戦争の行方

【今週のニュース】北朝鮮軍がついにウクライナの戦場へ?オーストラリアがウクライナにM1を供与  オーストラリア陸軍から間も無く退役予定のM1A1戦車49両がウクライナに供与されることになった。より新しいM1A2戦車の導入に伴う措置。ただし、ウクライナへの直接供与ではなく、アルバニア政府を介しての供与となるようだ。  ウクライナ軍に配備されたM1戦車は米国が供与した31両のみであり、うち少なくとも16両は既に失われている(Oryx調べ)。残る15両もおそらくはそんなに稼働

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第281号(2024年10月7日) ゼレンシキーの「勝利計画」とロシアの核ドクトリン改訂論の見どころ

【今週のニュース】相変わらずじわりと進む中露軍事協力ロシア軍が中国製軍用車両を使い始めた?  ロシア軍に中国製のZFB-05軽装甲車が配備されているという話がテレグラム等で出回っている。大手紙『モスクワ・タイムズ』ものこの話を取り上げており、全線で撮影された写真に映っているのは確かにZFB-05だという専門家の談話を紹介した。また、この専門家は、ZFB-05が中国から直接供与されたものではないとしても、アフリカあたりからブローカーを介して買ってこられるだろうという見方も示

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第279号(2024年9月9日) ロシアの核ドクトリン改訂問題と「核攻撃リスト」

【今週のニュース】ロシアの核ドクトリン改訂問題と「核攻撃リスト」 ほかウクライナ軍の総兵力は88万人  ウクライナ軍の総兵力は現在、88万人であることを同国のゼレンシキー大統領が明らかにした。ドイツの公共放送ARDとのインタビューで明らかにしたもの。また、このインタビューでは、約3000万人の人々がウクライナに残って働き、税金を払っていると述べ、開戦前の労働人口3700万人と比較して700万人ほど減少(多くは国外に脱出したとみられる)したことを認めた。  なお、2024

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第278号(2024年9月2日) 核兵器の「抑止」的効用とウクライナの長距離攻撃能力(とロシアの原子力巡航ミサイル?)

【インサイト】核兵器の「抑止」的効用とウクライナの長距離攻撃能力(とロシアの原子力巡航ミサイル?)「核ドクトリンを修正中」 ラヴロフ外相  ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相が「核ドクトリンを修正中である」と述べたことを『ヴェドモスチ』が報じています。8月27日に行われたイエメン外相との会談後、記者会見で述べたもの。正確には次のような発言でした。 「我々には独自のドクトリンが、核兵器の使用に関するものも含めて存在するということを理解するのは非常に重要だ。それ(訳註:「核ドクト

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第277号(2024年8月26日) ウクライナのクルスク侵攻と鍵を握る米国の出方

【今週のニュース】日米韓安保協力は「東方におけるNATOのクローン」ノルドストリーム2爆破事件をめぐる続報  ロシアと欧州をつなぐ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」が2022年9月に爆破された件について、ウクライナ人の男に対して逮捕状が出されていたことが明らかになった。問題の男はポーランド在住で、ドイツ当局が逮捕状を出したものの、ポーランド当局が身柄を拘束する前にポーランドを出国した。その後の行方については報じられていないが、ドイツのマスコミは名前や居所を知ってい

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第276号(2024年8月19日) ウクライナによるクルスク侵攻の狙いは?

【今週のニュース】ウクライナ軍がロシア軍の4飛行場を同時に攻撃  ウクライナ参謀本部は8月14日、ロシアの4飛行場に対して同時に攻撃を仕掛けたことを明らかにした。攻撃対象はハリノ、サヴァスレイカ、ボリソグレフスク、バルチモールとされている。いずれもロシア空軍がウクライナ作戦で使用している戦闘機・戦闘爆撃機基地であり、特に燃料施設や弾薬庫を狙ったという。  なお、攻撃に関与したのは空軍、特殊作戦軍(SSO)、ドローン軍(独立兵科)、国防省情報総局(GUR)などであったとされ

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第275号(2024年8月5日) 中国の北極圏展開と中距離ミサイル危機

【今週のニュース】ブルガーコフ元国防次官逮捕 ほかチェコからウクライナへの砲弾供給続報  4月、チェコのパヴェル大統領がウクライナへの砲弾供給プログラムを開始したことはこのメルマガでも何度か取り上げてきた。各国から資金を募り、EU域外から砲弾を買ってきてウクライナに供給しようというものである。  当初は思ったほど資金が集まらないとか、供給国が砲弾の価格を釣り上げるなどのトラブルに見舞われたものの、6月には最初の5万発がウクライナに届いたとされ、チェコ政府は年末までに最大で

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第273号(2024年7月22日)「プーチンの平和」を拒絶するために 非・超大国なりのリアリズム

【インサイト】「プーチンの平和」を拒絶するために 非・超大国なりのリアリズムウクライナのNATO加盟をめぐる議論  7月9日から11日にかけて、米国でNATO首脳会合が開かれていました。  これに先立ってはNATO事務総長の交代が決まったり(現在のストルテンベルクからオランダ元首相のルッテへ)、3年連続で日韓の首脳が参加したりといったことはあったものの、ウクライナ支援に関しては今ひとつピリッとするところが少なかったように思います。  まず挙げられるのはウクライナのNATO

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第272号(2024年7月8日) ロシア軍の志願兵は本当は何万人なのか問題 プーチンを交渉のテーブルにつかせるには ほか

【今週のニュース】ロシア軍の志願兵は本当は何万人なのか問題 プーチンを交渉のテーブルにつかせるには ほかロシア軍の滑空爆弾がロシア領内に落ちている件 『ワシントン・ポスト』によると、ロシア軍が使用している滑空誘導爆弾がこれまでに少なくとも38回、ロシア領内に落下する事故が起きているという。  本メルマガでも以前に紹介したように、ロシア軍は2022年の秋ごろからFAB-250無誘導爆弾にUMPKと呼ばれるキットを装着して使用し始めた。UMPKはロシア版GPSであるGLONA

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第270号(2024年6月24日) 核ドクトリン変更に関する二つの発言、先祖返りするロシアの軍管区 ほか

【今週のニュース】核兵器使用基準をめぐる二つの発言  6月20日、北朝鮮を出発してヴェトナムを訪れたプーチン大統領は核ドクトリンの変更の可能性(特に予防攻撃を認める可能性)についてマスコミから発言を求められた。この際のプーチンの返答は、以下のとおり。  以上のように、プーチンはさほど過激なことを言っているわけではない。特に予防攻撃をドクトリンに盛り込むことを明確に否定した点は注目に値しよう。ただ、予防攻撃(превентивный удар)というのは戦争が始まっていな

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第269号(2024年6月17日) ロシア軍が戦術核演習第二段階を開始

【今週のニュース】ウクライナ向け戦闘機をめぐる二題ウクライナ空軍航空部隊司令官へのインタビュー  6月9日、『ラジオ・リバティ』が、ウクライナ空軍航空部隊司令官であるセルヒー・ゴルブツォフ准将のインタビューを掲載した。  JDAMの実証試験に目処がついてGBU-39とGBU-62の運用が始まったこと、これらの攻撃手段を活用するためにはロシアの防空システム排除が重要だがこの点についてはまだ交渉が続いていること、F-16を活用するには複合的な支援能力が求められることなど、興

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