「搾取されている」をどこで判断すべきなのか。成長と搾取の狭間で時給を上げるためのTips
チルちゃんは俗にいう「やりがい搾取」をされた経験があります。
その頃はライターではありませんでしたが、クリエイター業界はただでさえ搾取されがち。一方で高時給(時給換算6,000円みたいな)ライターさんもまあまあいるので、けっこう二極化しているかなと思います。
さて、私はというとライターを始めた頃(約1年前)は時給300~1,200円、今は2,000~3,000円ほどで推移しています。すごく高いわけでは無いけれど、別に低くもない。もう少し上げてはいきたいものの、私の職歴/学歴の薄さを踏まえるとけっこう満足できています。
今回のテーマは「搾取と成長」です。
成長と搾取には根強い関係があります。なぜなら人を安く使いたい企業は往々にして「成長」という無形報酬を掲げ、それをエサにして人を集めるからです。
とはいえ、お互いが納得している契約に肩をポンポンして「サクシュダヨ」と口を出すのも無粋なもの。今回はそういうのは除外し、働いているけど業務量に納得できない、でも断れずに疲弊している……そんなシーンを想像しながら書きました。読んでもらえるとうれぴいです。
新しい仕事をはじめた時に起こりがちな迷い
これはライターに限らずだと思いますが、フリーで新しい仕事を始めると以下のような迷いに直面しがちです。
①報酬の相場が分からない
②スキルの正解が分からない
③自分のスキルレベルがどの辺か分からない
もしくは、
こんな感じのことを悩みがちだと思います。
搾取体質のクライアントを避けながら、どのように報酬を上げていけばいいのでしょうか。次のセンテンスから持論を展開していきます。
“成長案件”に手を出さない理由
個人的にやってよかったこと、それは案件を選ぶとき「報酬低いけど、この案件なら成長できるかも」という軸で選ばなかったことかもしれません。
よく、以下のような案件があります。
別に悪くなさそうです。金銭報酬が少なくとも何かを学ばせて貰える=価値を頂いている状態なので、納得感はあります。
しかし、このような案件でひっかかるのは「一体誰が私のメンターになるの?」ということ。だってどこの馬の骨とも分からない人間に指導されるの、怖くないですか。
このような「成長できます案件」では誰がメンター(指導者)になるのか不明瞭だし、自分で決めることができません。
搾取する側の話
日本の最低賃金はだいたい時給1,000円前後。バックヤードでゲームをしている深夜のコンビニ店員に給料が発生しているのなら、未経験ライターでも記事を出したら最低賃金前後は欲しいところです。
しかし、ライターは普通に時給300円(いや、それ以下かも)で使われることもあります。これが1人2人なら「リサーチ遅いのね」「遅筆なのね」で済むかもしれませんが、チーム内で多くの人がそのくらいの時給になってしまうなら、明らかに報酬が足りていません。
そして、実は企業側も払っている額がライターの割にあっていないことをちゃんとわかっています。それでも予算は決まっているので報酬はあげたくない。さらに安い案件に人が集まらないことも知っているので、報酬にノウハウという価値を上乗せして人を集めるしかありません。
でも考えたい。
その企業は「ノウハウを広めたい」が先なのか「報酬が払えない」が先なのか。
そして報酬を払えない低収益企業に、どれだけのノウハウがあるのだろうか。
実態は分かりませんが、足を止めて考える必要はありそうです。
成長には攻めの姿勢が必要
仕事でもスクールでもそうですが、「誰かに成長させてもらおう」という受け身の姿勢でいる人は誰かにとって都合のよい教え(例:あなたの相場はこんなもんだから安いよ等)を吸収してしまいがちです。
成長を人任せにするということは、自分のキャリアを人任せにするということ。人の言うことを鵜呑みにし、必要なスキルを精査しない。悪い意味で素直な人は洗脳しやすいので搾取しやすく、格好の餌食になるのではないでしょうか。
だとしたら受動的に割り当てられたメンターに従うより、さらに攻めてメンターは自分の心で勝手に決める…という姿勢が大事なのかもしれません。
明確な師弟関係ではなく、その人の仕事ぶりや考え方、実際の成果物。これらを見て本当に良いと思った部分をコッソリ参考にする……という関係です。なんなら全てにおいて完璧な人はいないので、メンターを“人”に置くよりもその人の“技術”に置いた方が良いのかなとも思います。
ちなみに……私が労働基準法違反で雇用されていたときは「成長させます」と言われていたし、教育係として経歴キラキラのメンターが割り当てられていました。でも仕事のやり方含め尊敬できなかったし「こういう人にはなりたくない」と心底思っていたんですよね。(※好みの問題)
肩書きや年収よりも、人柄や成果物に共感できるか否か…がきっと大事です。その人の成果物に感動できたということはイチ消費者として評価できたということ。つまり「市場で求められている作品」である可能性が高い。
誰かのお古を着るのではなく自分の好みと体型にあった服を身につけたいなら、能動的にウィンドウショッピングをすることが必要かなと思います。
お節介か要求か
私はよくクライアントに対してお節介をしています。ライターだけどマーケティングまでに意見を出してみたり、管理シートを作ったり。
「これあったら喜ばれそう」みたいなことはだいたい無償でやっています。
この工数に報酬は出ないわけですが、これは搾取なのでしょうか。私はそうは思いません。これらは私が勝手にやっていることなので、ここで報酬を要求したら「ライター界の当たり屋」と呼ばれても文句は言えない。
一方で「報酬コレっぽっちね。あと言い忘れてたけど画像選定してね。あ、この前書いてもらった記事、構成からやり直してくれます?」なんて言われたら、先輩ライターばぶさん(@kikukaku_yki )の「お客様とて許せぬ砲」をぶっぱなすしかありません。
クライアントが好意を受け取ることと、好意を要求することには雲泥の差があります。
素人は無料、経験者は有料で
さて、時給を上げたいならシンプルに
付加価値をつける
予算が多くて、しっかり払ってくれるところに行く
信用を貯めて仕事を選べる状態にする
この辺がキモになりそうです。
私は付加価値をつけるため、仕事の場を大いに利用させてもらっています。例えばクライアントにキーワード選定が必要そうなら、やったことがなくても方法を調べて見よう見まねで選出してみる。
こうすることでクライアントは無料でキーワードが手に入りますし、私には「キーワード選定をした」という経験とスキル、実績が身につきます。
また最初に挙げた「自分のスキルがどのくらいか分からない問題」も解決します。無料で出した成果物が実際に採用されたら“使えるクオリティだった”と言えるし、苦笑いされたらちょっとスキルが足りなかったってことです。苦笑いされても相手は損していないので、多くの場合win-winですよね。
そして使える品質=お金を貰える品質なので、別のクライアントには「○○円でキーワード選定できます」と言うことができます。
求めてもいない素人仕事にお金を払いたい企業はいません。①企業が求めていて ②未経験の仕事ができるチャンスを見つけたら、思いっきり手を挙げてみる。短期的には損ですが、長期的にはスキルという付加価値がつく気がします。
下っ端のススメ
私は基本的に「下っ端、若輩者でいられる時間の割合を増やしたい」と思っており、仕事でもプライベートでも少し背伸びした場所に行くよう心がけていました。
するとだいたい「そこで1番の下っ端」になります。実力のない下っ端に仕事をさせたい人はいないよね……と思いきや、下っ端は下っ端なりにやれることもあります。
例えば【時給の低い私】が【時給の高い人】の瑣末な業務を巻きとるだけで、クライアント企業のコストを減らすことができます。
このような動き方は、時給で働いていないフリーランスにとっては旨みがありません。しかし少し背伸びしている分、優秀な方の働きぶりを間近で見られるし、飛び交う情報も刺激的なものです。しかもこれらの業務は要求されたものではなく自発的に考えて動いたことなので、喜ばれると嬉しさも倍増。
少しでも自分をすり減らして頑張っている方々のヒントになれば嬉しいです。
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