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データで生み出す「共有価値」 – Tポイントのデータをまちづくり計画へ活用

11月6日に金沢大学との共同研究プロジェクトをリリース発表しました。土木工学をベースにビッグデータ、情報学、医学、保健学、統計学、AIなど様々な分野の知識を用いて異分野融合の研究を行っている金沢大学の理工研究域地球社会基盤学系 藤生慎研究室と共に、「地域のためのまちづくり」に取り組むプロジェクトです。

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「ポイントのデータとまちづくりってどう関係があるの?」と疑問に思われる方もいるかも知れません。そこには、今年の状況下で加速度的にその必要性が高まっているDX(デジタル・トランスフォーメーション)の概念が大きく関わっています。データサイエンティストである慶應大学の宮田裕章教授が、デジタル庁の創設に向けた論点の中でDXの本質として以下のポイントを挙げられています。

①最大多数の最大幸福から、最大“多様”な最大幸福へ
②所有材ではなく、“共有材”として捉えたデータ活用

この2つは今回のプロジェクトを語る上でも欠かせないものになっているので、それぞれの観点から本プロジェクトに込めた思いと意義をお伝えさせてください。

■「人」を軸とした体験価値の構築

まず①の「最大“多様”な最大幸福」について。デジタル社会と言うと、データ×AIといったテクノロジーによって効率化が進む一方で、画一的な情報によって人々が管理される無機質な社会になるのでは…という危惧を持たれることも多いかと思います。
しかし、都市のDXであるスーパーシティ/スマートシティ構想の議論の中で理念として掲げられているのは、行政、交通、医療、教育、観光といったサービスや事業の「個別最適化」の実現。これまでは集団平均(最大多数)から検討せざるを得なかったものを、個々人のライフスタイルや健康状態などのデータを蓄積・活用することで、一人ひとりにとっての快適(最大“多様”な幸福)につながるアプローチを可能にしていこうという考え方です。
普段どっぷりとマーケティングの業務に関わっていると、個別最適化と言うとどうしてもターゲティングや広告配信などの「企業主語」でイメージしてしまいがちですが、各種サービスの立案から提供までを「個人主語」を起点にすることを意識する必要があります。「人」を軸にして考えると、どんなモノを提供するかという発想に留まらず、どんな体験があればニーズを満たせるかという「体験価値」発想へとシフトしていくと思います。

ここで最初の疑問、「ポイントのデータとまちづくりってどう関係があるの?」に戻ります。Tポイントのデータの特徴は、会員の属性情報に加えて様々な業態の購買情報を一元把握できる、個人の多様性を捉えたデータであるということ。金沢市との取り組みなどで地域の交通計画・防災計画・観光計画の策定に提言を行なっている金沢大学の活動や知見と、属性・購買・移動情報をID単位で保有するTポイントのデータを掛け合わせることで、今回のリリース内で藤生先生にもコメントいただいたように「きめ細かく・気の利いた」各種政策の立案に寄与することを目指しています。

■社会の公器としてのデータベース

次に②の「“共有材”としてのデータ」について。政策へのデータ活用については、個人情報保護の観点から懸念を持たれる方もいると思います。2020年3月にアクセンチュアが行った意識調査によると、「市民の84%(日本は79%)は、よりパーソナライズされた公共サービスが得られるならば、行政機関に対して個人情報を共有しても構わない」と回答しているそうです。もちろんそこには利用への同意が前提となっていくと思いますが、個人のデータを資源として提供することで、体験やサービスの質の向上という形で個別にフィードバックされる社会が実現されるとしたらいかがでしょうか。先述した宮田教授は著書の中でそのような社会のことを「データ駆動型社会」と呼び、消費されることで減り続ける所有材(石油)から、相互信頼の中で共有することで価値が増幅していく共有材(データ)の時代だと仰っています。

Tポイント自体も、財布の中にある大量のポイントカードを一枚にまとめたら…という生活者発想から生まれたものです。そこに一人ひとりの「好き」の情報が集まることで、多様なライフスタイルを提案するための礎ができあがりました。7000万人の会員の方々と共創している大切なデータベースを「社会の公器」として、新しい価値として還元していくこと。それが、CCCグループが行うべき次の企画だと考えています。

■「共鳴する社会」を実感するカンファレンス(※終了しています)

最後に…急に告知になりますが、CCCマーケティングが描く次のビジョンについて各界の有識者の皆さまとディスカッションするカンファレンスも実施します。
2020/11/17(火)・11/18(水) 13:00 – 16:45
https://www.cccmkhd.co.jp/udc20/
記事内で取り上げさせてもらった宮田教授にも登壇いただき、「人と人、人と世界がデータを通じて共鳴することで生まれる新たな社会」や「データが世界にもたらす本質的な価値」について、弊社Chief Creative Officerの谷川じゅんじと共に語っていただきます。
今回書かせてもらった社会の形が、決して夢物語ではなく、すぐそこにある明日の話として実感していただける内容になっています。ご興味ある方はお気軽にのぞいてみてください。