朝が好き

身もふたもない感想の雑記。
朝が好きです。朝と言っても、明朝、つとめての辺り。東雲の空にぼんやり光が滲むようなそんな時間帯。
俺はとても朝が好きなので、朝になると散歩をしたくなる。まだ植物たちは寝惚け眼で、鳥たちは朝一番の鳴き声を喉の奥に詰まった痰と一緒に吐き出している。東の空を見ると、だんだんと夜が引いていくのが分かる。道行く人々は滅多にいないのだけれど、すれ違う人は二日酔いの朝帰りだったり、早起き老人の健康闊歩だったり、割合はヒフティーヒフティー。でも、人間と巡り合わせるなんてことはやっぱりほとんどない。そこは俺だけの時間で、俺だけの場所なのです。また一日が始まったことに喜びを覚える。先刻までの悪夢みたいな真夜中の時間は過ぎ去って、新しい朝がやってきたという安堵。一番風呂みたいな、さっぱりとした雰囲気。でも、一日の中で時間による空気感の変化が一番大きいのは朝と夕刻だ。明朝なんて特に。しばらく歩いていると、すぐに白んだ朝靄は消えてしまって、道を車が走り出す。子どもが通学して、勤め人は出勤をする。そんな朝が俺は大嫌いなので家に帰ってふて寝をしてしまう。目を覚ましたら午後だ。もうそこに朝の片鱗はなく、また暗い夜を待つだけにになる。

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