療育の主役は誰なのか
みなさんこんにちは
和歌山市で放課後等デイサービスの運営サポートとメンタルヘルスケアを行なっている臨床心理士・公認心理師の大浦政幸です。わたしたち株式会社Mind Compassは、ノーマライゼーションの実現を目指して活動しています。
さて、今日は療育についてのお話です。
療育の主役はいったい誰なのか、誰を中心に療育を作っていくのか、当たり前のように思えて実は難しいなと思っています。
療育の主役、中心は誰でしょうか?おそらく多くの支援者の方は利用者の方々だとお答えいただけると思います。
では、どうしてこんなことを書いているのでしょうか。それは、療育を実際に考えて作って、実際にやってみるとどうしてか支援者の方が中心になっている、主役になっているケースが多いなと感じたからです。
ほとんどの支援者の方が利用者の方を中心に考えているのに、どうして反対になってしまうのでしょうか。
一つ目に考えられるのは、アセスメント不足です。利用者の方が今どんな力を持っていて、何に困っているのか、どんなことが得意で、どんなことが苦手なのか。こういった一つ一つを丁寧にアセスメントしていかないと、療育で何を取り組むかを考えたときに見当違いなものになってしまいます。ややもすれば、支援者の方がやりたい、やってみたいテーマになってしまうのです。そうすると、利用者の方ではなく支援者の方が中心になった療育になってしまいます。
二つ目に考えられるのは、目標設定のあいまいさです。もしかしたら、目標自体が設定されていない場合があるかもしれません。その療育の中で、何を学んでほしいのか、どんな力をつけてほしいのか、この目標がなければ療育ということは難しくなります。だからこそ目標をしっかりと立てる必要があるのですが、目標が「みんなと協力する」のようなあいまいなものになっていることがあります。これでは誰と何についてどうしたら協力したといえるかが全くわかりません。
そうすると支援者の方もどこまで支援したらいいのか、どこまで見守ればいいのかがわかりにくいですし、利用者の方々にとっては何が正解で何が間違っているのかが全くわからなくなってしまいます。そのため、目標設定は具体的かつ客観的にみて評価ができる行動ベースで立てる必要があります。そうすることで、明確に何をしたら良いかがわかるようになり、支援者の方も利用者の方もお互いにわかりやすい療育になるでしょう。
3つ目に考えられるのは、活動の量です。やはり何かを学ぶためには利用者の方々が自分で動いてやってみることがとても大切になります。活動の場面設定が難しかったり、活動をする機会が少なかったり、さまざまな制約の中で必要なところまでできなかったりすることはあるかと思います。それでも、活動量を確保して、利用者の方の主体的な行動の機会を確保することがとても大切になります。そうすると、利用者の方が中心の療育に自ずとなっていくでしょう。
今日は療育の主役は誰なのかをテーマに3つのことをお話してきました。これらに気をつけながら療育に取り組んでいきたいですね。