秘すれば花
2006年1月28日
能は動かぬ芸能。
それで皆さん退屈するようです。
でも動かぬ彫刻や絵画を見て退屈しますか。
世阿弥曰く。
上手は下手の手本、下手は上手の手本
人生を何年歩いても、シテ方の一歩にすら及ばぬ自分がいます。
二十代から能楽に傾倒していた。
世阿弥の「花伝書」はもちろん、金春禅竹の「明宿集」も愛読の書だった。
中世の人が能楽という芸能を通じて人生観、そして世界観や宇宙観までをも思索していたことがわかる。
企画展を見終わり、能面が欲しいという知人に付き合って都内数ヶ所を廻った。
中でも魅かれたのが銀座鳩居堂にあった能見一秀作の小面。
30万円近い金額だった。
かなり手頃な値段だが、物欲より食欲を優先させるのが正しい消費行動と信じている私の食指は微動だにしなかった。