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「嫌われる勇気」を持つ上司に直面してしまったら。

「無自覚な無能」と「自覚ある無能」、どちらが有害かと問えば、多くの人が「無自覚な無能」と答えるだろう。自覚ある無能は出しゃばらないが、無自覚な無能は無能を周囲に撒き散らす。

では「無自覚な嫌われ者上司」と「自覚ある嫌われ者上司」ではどちらが有害か。
断然「自覚ある」方が厄介。何故なら自分が嫌われていると知っている上司は部下に対して遠慮がない。そして嫌われている自分はそれだけ仕事に真摯であり、部下に気を使い、言いたいことも言えない他の奴らよりも有能だとすら思っているのだから。どんなに嫌われても仕事をこなすという信念はヒロイックでもある。同時にそれを自覚しているのでナルシストでもある。

「自覚ある嫌われ者上司」は当然ながら社内のほとんどの人間から嫌われている。とくに直属の部下からは蛇蝎のごとく嫌われているのが常だ。
だが表面上はわりと皆にこやかに過ごしている。内心、罵詈雑言の嵐であっても社会という枠組みにいる私たちは、他人に嫌悪や憎悪の感情をストレートにぶつけることを良しとしない。また当然のことであるが序列がしっかりとある会社内で序列上位である上司に対して、意見しようものならどのような目にあうかは火を見るよりも明らかだ。特に「自覚ある嫌われ者上司」であれば覚悟は完了しているのでその反撃たるや恐ろしいものになる。そして「自覚ある嫌われ者上司」はそんな一般的な感性を持つ人間の弱みを熟知しており、日々、社内をコントロールしている。

●「自覚ある嫌われ者上司」の特徴


さて、ここで彼らの日常を見てみよう。

彼らの勤務態度は非常に良い。無遅刻無欠勤は当たり前、部屋の加湿器の水入れは進んでやる、朝の挨拶や掃除も人一倍真面目に行う。なのでその人をよく知らない人(例えば新入社員や外部業者)から見れば嫌なことも進んでこなす人格者に映る。

しかしこれはすべて計算されている。笑顔で他人に近づき、自分の役に立つかを見定める。役に立つなら利用して価値がなくなればあっさり捨てる。独りでいることが普通の状態なので、媚を売る部下には一応優しく振る舞うが利用価値がないと判定すれば容赦はない。
嫌われていることに特にデメリットは感じておらず、むしろ人間関係に心を砕く必要がないことにメリットを感じている。自分以外は利用価値があるか、ないかという実にシンプルな信念に基づいているので情はもちろん、人が嫌がることはしないといった倫理観もまったく通用しない。

客観的に見れば危険な人物だが会社の評価は高い。
『どんなキツイ仕事でも進んでやるし結果も出している。普段もニコニコと朗らかで悪く言う人は皆無(恐怖支配が行き届いている)。部下の離職率が高いが辞めていく者からは「一身上の都合」としか聞いていない(辞める人間は本当の理由など話さない)。きっと真面目ゆえに指導が厳しかったりするのだろう。』と。

彼らは目上の者への懐柔もお手のものだ。とにかく真面目に厳しく振る舞う。場合によってはトップの決定に涙を流して異を唱えることもある。感情的なトップは思わず怒鳴ることもあるが、誰もが恐れる自分に対して一言物申すというその姿勢を評価する。
「ほほう、この俺に意見するとは…大したやつだ」
こうして「真面目で融通がきかないこともあるけど、いつも朗らかで人の嫌がることも進んでやる、トップに対しても物怖じしない人格者」が出来上がる。

●「自覚ある嫌われ者上司」と出会ってしまったら

さて、このような人物に出会ってしまった時、どうするべきか。

答えは一つ。「かかわるな」だ。

あなたがこのような人物に被害を被ったとして、それを「自覚ある嫌われ者上司」の上司に訴えようともまず無駄である。何故なら彼らには「信頼」の積み重ねがあるからだ。それが部下たちの血と涙の上に作られたものであったとしても、だ。もしかしたら上層部は「自覚ある嫌われ者上司」の真の姿を知っているかもしれない。それでもやはり無駄だ。知っていて重用しているのだから。

では同じ境遇の同僚たちと協力してみてはと考えるだろう。正直おすすめできない。「自覚ある嫌われ者上司」は同僚たち一人ひとりと面談し、ときに恫喝し、ときに懐柔し仲間内の結束など許さないからだ。
「いい?これはあなたのために言っているの!」
非常に悲しいことだが人は怒鳴られるだけで萎縮し、家庭や生活の安定をたてに取られるだけで心変わりをする。ストレートに言えば「裏切る」ものだ。

最後にもう一度言おう。

「自覚ある嫌われ者上司」と対したならば「かかわるな」。

身も蓋もない言い方で恐縮だが、このような人物に目をつけられてしまったら早い段階で退職も視野に入れるべきだろう。

他者と協力し成果を上げるという原始の時代から続く人類のDNAを否定し、独自の倫理観を持ち、他者を犠牲にしても良心が傷まず結果を出す。
そういう化け物を相手に我々人間ができることなどほとんど何もないのだから。

#ブラック企業 #嫌われる勇気


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