獣医師から「尿量を記録してください」と言われないわけ Catlogアドベントカレンダー \Day 7/
執筆:小川篤志(獣医師)
Catlog Boardは、現在予約販売中の新プロダクトです。いつもお使いのトイレはそのままに、トイレの下に敷くだけでこんな情報が自動で記録できるようになります。
【Catlog Boardで記録できるもの】
①体重
②トイレの回数
③トイレにいる滞在時間
④尿やうんちの量
大変ご好評いただいており、Makuakeでのクラウドファンディングでは目標金額の達成率は5,000%をゆうに超え、感謝の気持ちでいっぱいであるとともに、猫様飼われ主さんのみなさんの健康意識の高さに感服しております(本当に...!)。そんな健康意識の高いみなさんに、ぜひ知っておいていただきたいものがあります。
「尿量」って、実はものすごく大事
先ほどの【Catlog Boardで記録できるもの】の4項目のうち、どれが一番大事か!と言われたら、④尿やうんちの量、と答えます。特に、尿量ですね。その理由は、『気付きにくいこと』と『重篤な病気の指標になること』です。
普通は知らない猫様の尿量
あなたの猫様の1日尿量はわかりますか?まずわかりませんよね。でも大丈夫。当たり前です。普通、尿の量をはかったりするなど日常生活でありません。だから、尿の量が増えたり減ったりすることに気付くことは、ほぼ不可能です。
特に、尿量が増える、というのは実はとても危険なサインなのです。一般的には、健康な猫様の1日の尿量は、以下の式で計算できます。
1日の尿量=体重kg × 10〜30ml
4kgの猫様なら、1日の尿量は40〜120mlが目安ですね。個体差もあるようですが、これ以上の尿が出ているなら注意が必要です。
なぜ、尿量のモニタリングが重要なのか
猫様が腎臓病になりやすいことを知っている方は多いと思います。超がつくほど気をつけるべき病気です。実は、この尿の量こそ、「家でもわかる腎臓病の指標」なのです。
腎臓は、ざっくり「血液を濾過して、いらないものを尿として排泄している」器官です。でも実は大事なキーワードが抜けています。正確にはこう。
腎臓は、血液を濾過したあと、必要な水分を再度吸収して、いらないものを尿として排泄している
この再吸収というのが腎臓(ひいては身体にとって)すごく重要な機能なのです。1日に濾過している量(原尿)は、実は数十リットルにもなります。そしてこのほとんどを再吸収することで、身体の水分を保持しています。
しかし、腎臓が病気になると、この再吸収がうまくいかなくなりはじめます。すると、吸収できなかった水分がそのまま排泄されてしまうため、「多尿」という症状がみられます。
当然、多尿になると水分が多く失われるため、脱水します。身体はそれを補おうとして「多飲」がみられます。これが腎臓病でよく見られる「多飲多尿」という症状です。
特に7歳以上は要チェック
腎臓病は、ある日突然かかるわけではありません。徐々に徐々に、ゆっくりと進行していきます。とてもサイレントです。なので、健康なうちから腎臓病の指標になる尿量を日々記録しておくことは、とっても大事なのです😻
これだけ尿量が大切なのに、救急医であった私は臨床医時代に「尿量を記録してください」と飼い主さんに言ったことはありません。ほとんどの方が言われたことはないでしょう。なぜなら、簡単かつ正確に計って記録するのが難しいからです。
Catlog Boardは、いまお使いのトイレの下に敷くだけで、自動で尿量や回数を計測できます。特に、腎臓病になりやすい7歳以上の猫様とお暮らしの方は、ぜひご検討ください。
現在は公式ストアからご予約いただけます。Catlog Boardでわかることなど、商品の詳細についてもこちらからご覧くださいませ。
執筆:小川 篤志(獣医師)
TRVA夜間救急動物医療センター 副院長、宮崎犬猫総合病院 院長を経て、アニコム ホールディングス株式会社 経営企画部長、アニコムキャピタル株式会社 代表取締役、香港アニコム有限公司 代表取締役等に従事。2020年よりRABOに所属。
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