①大きな鏡がありました
登下校には、1回電車を乗り継ぐ必要があった。西から東に向かって、次に電車は北向きに乗る。ちょうどその乗換駅に、公的なフィットネスがあった。
HPは地方公共団体のそれっぽく、色味は少なくてシンプルだった。ジムについてのページを見ると、それは地下にあるらしく、「使用には初回のオリエンテーションが必要です」と書いてあった。
とりあえず、電話で予約した。
「では、きゃっしーさん、10月17日10時からですね。動きやすい服装と、室内用の運動靴をお願いします。」
当日、駅からグーグルマップを見ながら向かうと、青少年活動センターという看板は案外簡単に見つかった。エントランスを抜けると、開放的なロビーがあって、右奥には図書室らしきものがあった。
そのまま階段を上って、2階の受付を目指す。2階の中央にはおおきさとしては、スタバの2人掛けくらいのテーブルが6.7台置いてあって、数人の男女がそれぞれに勉強らしきことをしてた。受付はその先に有って、市立中央図書館のカウンター彷彿させた。
中学校の職員室のような、なんだか声の掛けづらい雰囲気があったけど、ちょっと大きめの声で「あの~」と言ってみた。一番手前の机で、帳簿のようなものをのぞき込んでいる、30代くらいの男性が来てくれた。
「はい。こんにちは~」
事情を説明すると、
「わかりましたー。では、こちらにお名前を書いてもらって、年齢確認の為に、何か身分証明書鵜のようなものはありますか?」と聞かれた。
そうやった、ここは、市内に住んでいる人もしくは、通勤通学している人が使用できて、年齢によって料金が違うんやった。
とりあえず、ATの普通自動車の免許証を渡した。
確認をされて、びよんびよんの温泉とかにある、手首に着けれるようなロッカーのカギをもらった。
お姉さんにバトンタッチになって、地下のジムまで一緒に来てくれる。エレベーターはやけに広くて、降りると正面にジムの入り口が見えた。
「この機械に受付でもらったキーをかざしてください。」
あ、普通のカギとプレートみたいなのがある。
機械にかざすと、ぬぃーんがしゃく、と音がして開錠された。
「ここから、靴を履き替えてください。」
「こっちが、ジムになってるので着替えたらここに来てください。」
「ここが更衣室で、シャワーはあちらです。」
「ロッカーは鍵の番号のところを使ってください。」
「貴重品は必ず身につけてください。」
等の説明があり、お姉さんは帰っていった。
とりあえず、着替えた。家の押し入れにあった中学時代の紫色のジャージとクラスTシャツ。一応、ポニーテールにした。
にしても、なんだか照明が弱い。さすが、節電してらっしゃる。
ジムには、誰もいないらしく、とりあえず中央のストレッチスペースで待っていた。ジム全体を半分に分けるように、目の前に大きな鏡がある。
白いポロシャツのお兄さんが来て、「こんにちは~きゃっしーさんですか。」と言った。「今日は、おひとりなので、早速始めていきましょうか。」
ランニングマシーン、永遠に階段を登れるような機械、バイクが数台、バランスボールが鏡のこちら側にあった。
どれかひとつ体験できるとのことだったので、階段みたいなやつにした。
私の身長が156cmで、よいしょっと、右ひざを持ち上げて、マシーンに乗った。画面の右にあるボタンを押すと、エスカレーターのように動き始めた。置いていかれないように、足を歩かせた。
「あ、もういいです。」と言って、降りた。
鏡の裏側には、腹筋、背筋、胸筋、ハムストリングス等の特定の部位を鍛えるために設計されたマシーンがいくつか。
奥の壁と鏡との角に置かれていたのは、スミスマシーンっぽいやつ。でも、左右の柱からは、ロープのようなものが伸びていて床に座って、背中を鍛えられるらしい。
それが、気になったので教えてもらった。
床に座り、膝は少し曲げる。身体を前に倒して、ロープを一本引っ張る。おへそ辺りに力を入れ、背中が曲がらないように、ロープをお腹に引っ張る。重りに引き寄せられるように、スターティングポジションに戻り、またお腹側に引っ張る。
背中全体に効くらしい。
次は、太もものを教えてもらった。太ももが太いのが少し悩みです、と言った。
椅子に座ると、右側に重り調整の柱がある。とりあえず18kgにセットして、丸太のようなクッションの下に足首を入れた。
横のバーは握っていいらしく、グッと足首を持ち上げた。
なんとなく、わかった。他にも、いくつかのマシーンを一緒に教えてくれた。まだ、私以外の利用者はいない。
「他に、何か聞きたいことはありますか。」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。」
お兄さんが、ジムから出ていったので、
バイクでもして帰るか。
18分くらい乗って、後ろを振り返って、部屋を出た。
フローリングの廊下を歩いて、更衣室へ。
汗もかいてなかったので、ジャージからジーパンに着替えた。
このジムのいいところは、あまり人がいないところ。
マシーンを待つことは、まずない。更衣室で誰かに会うこともたぶんない。
スタンダードなマシーンは、置いてある。
料金面も良い。入会金もいらないし、1回あたりの値段も安い。
スタジオはなく、スタッフさんは常駐していないけど、好きなトレーニングがあるなら好きなだけ出来る。
そんなジムでした。
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