【アーカイブ2019】エースのルーティン~滋賀大会延長戦8日目・伊吹
伊吹の絶対的エースである千田岳良(センダ・タカラ)には、打席に入る際の『ルーティン』がある。それは自分の応援歌を聞くこと。「落ち着いて周りが見えている証拠」。
3年前のエース・田濃良太に憧れて湖北の名門に入部した千田。冬場は1日10キロを4日連続で走り、それでも苦しい顔を見せない。「誰からも信頼される、まさにエース」と野村監督も賛辞を惜しまなかった。
強豪・光泉との試合は劣勢になり、1点を追う9回に打席が回ってきた。焦らないよう意識した『ルーティン』で、ふとあることに気付く。
「サッカー、バスケ、ホッケー部…クラスの友達の声も全部聞こえた」。片道2時間近くかかる大津の地まで、仲間が駆け付けてくれたことを確認した。
凡退後も最後まで同点を信じてキャッチボールを続けたエース。「やってきたことに自信はある。悔いはない」。マウンドと同じ『いつもの』笑顔だった。【2019年7月16日掲載】