インスリン抵抗性とは

インスリンの分泌の動き

血糖値 が下がる →空腹感感じる
血糖値が上がる →空腹感おさまる

基本的に血糖値が下がると空腹感を感じ、血糖値が上がると空腹感がおさまるシステムになっています。血糖値は食後速やかに上がり始め、食後1時間から1時間半位でピークに達し、2時間位で元に戻ります。インスリンは血糖値に関連して分泌されます。この時、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激され空腹感を覚えませんが、血糖値が時間と共に低下して来ると、空腹感を感じるようになります。

インスリンの反応が良くない
(骨格筋、肝臓および脂肪細胞など体組織に栄養を取り込む信号)

空腹時血糖値が高くなる
(細胞に栄養が取り込まれにくくなり血中に溜まる)

食事をするとより高い血糖値に上昇

インスリンが大量に過剰分泌される
(必要以上に分泌されて一気に血糖値が下がってしまう)

すごい空腹感や反応性低血糖

食事をとってしまう

悪循環を起こしてしまいます。

インスリン抵抗性とは

肥満者で頻繁に見られるインスリン抵抗性とは、骨格筋、肝臓および脂肪細胞など体組織が、インスリン信号に適切に反応しなくなること。インスリンは充分に分泌されているにも拘わらず、血糖値が下がらない状態をいいます。従って、典型的に空腹時血糖値が高くなっており、食事をすると血糖値が急激に上昇し、インスリンが大量に過剰分泌されることで、反応性低血糖症や空腹感を引き起こします。インスリン抵抗性が更に進行すると、脂肪細胞からの脂肪酸の分泌が阻害されます。

参照記事:Body Recomposition by Mr Lyle McDonald
Training the Obese Beginner: Part 1

『脂肪の燃焼が問題となるのは、男性で体脂肪35%以上、女性で40%以上の重度肥満者の場合で、血中の脂肪酸が過剰になり、色々な理由から酸化が損なわれるからです』

と書いていますが、この点を十分に理解するための補足説明にもなります

米国医師会は、2013年6月18日に開催された年次総会で、肥満を疾患と認める決定しています。肥満でもインスリン抵抗性を発症していない人、逆にインスリン抵抗性でも過体重ではない人が存在する”との見方をしています。


遊離脂肪酸の血液中濃度は、脂肪組織の中性脂肪が分解されて血液中へ出てくる量と肝臓や筋肉などの末梢組織へエネルギーとして取り込まれる量などのバランスにより調節されます。

インスリン抵抗性→遊離脂肪酸の血中濃度が常時高い状態になる

インスリン分泌が高まると、健康体では血液中の脂肪酸濃度は低下しますが、肥満者ではこの代謝経路が阻害されます。実例として、成長ホルモン・クレンブテロール・エフェドリンなどインスリン抵抗性を引き起こす薬物を使用しました。インスリンは脂肪動員(脂肪の分解→血中へ放出)を阻害します。その作用が低減され、脂肪が減るケースが認められています。

脂肪組織でインスリン抵抗性が起きる(脂肪組織に脂肪を取り込まなくなる)。メタボリックシンドローム発症者は、遊離脂肪酸の血中濃度が常時高い状態になります。

更に骨格筋でのインスリン抵抗性を引き起こす(筋肉に糖や脂肪が取り込まれなくなる)と、血中の遊離脂肪酸は慢性的に高まることになります。インスリンがストレージホルモン(蓄えろと信号を出すホルモン)として本来有している脂肪蓄積の役割も果たさなくなるので、摂取したカロリーは何処にも行き場が無くなり、血中のグルコースや脂肪酸が貯蔵されないままに増加します。

余剰カロリーを脂肪細胞から取り込まれなくさせて、何処か燃焼できる他の場所へ追いやることになります。これが肥満への順応でもあります。インスリン抵抗性がある特定の条件下では 、“善玉”になり得ることを意味します。

インスリン抵抗性は高炭水化物食のおいて体にあまり良くない

インスリン抵抗性は、高炭水化物食の条件下に於いてのみ“悪玉”になるということです。このことを念頭に置いて、低炭水化物/ケトジェニックダイエットがインスリン抵抗性を誘引すると云う記事を読むときは ”善玉“ になります。

インスリン抵抗性が実際的に良い働きをするのは、
“低炭水化物ダイエット”
”低カロリーダイエット“

の条件下では真実です。
もし脂肪細胞が余分なカロリーを締め出してくれるなら、脂肪減少を促進することが出来ることになります。
体脂肪を落としリーン(脂肪の少ない状態)になるための主な順応の一つとして、インスリン感受性を大幅に高めることですが、リーンになればなるほど脂肪の動員(分解→放出)はいっそう難しくなります。インスリン感受性は体重増加を予見しますが、その逆は真なりではありません。

抵抗性では脂肪を他で燃焼できるなら有益

肥満ではこのような順応は、他の組織が脂肪酸を最適に燃やすことができる場合に限り有益です。つまり、血中の大量の遊離脂肪酸が脂肪減少の一助となるのは、それらがエネルギーとして燃焼されるならばと云う条件付きの話です。だが、勝手に決められない。

インスリン抵抗性が食事療法の選択に関して、脂肪減少に関して代謝上の利点を持っているかどうかに関係なく、低炭水化物食(高タンパク質/高脂肪)がメタボリックシンドローム関連の様々の代謝パラメーターを改善することは明らかになっています。減量や脂肪の減少はなおさらである。

ちなみに、レプチンは血糖及びインスリンと関連しています。脂肪組織でのレプチン産生は、脂肪の取り込み量に因るものだと思っている人が多いと思いますが、実はグルコースのアベイラビリティ(可用性)によって大きく左右されます。レプチンレベルは、脂肪組織からグルコースを引きだす際には下がり、脂肪組織にグルコースを取り込む時には上がるのです。

レプチン (leptin) は脂肪細胞によって作り出され、強力な飽食シグナルを伝達し、交感神経活動亢進によるエネルギー消費増大をもたらし、肥満の抑制や体重増加の制御の役割を果たす16kDaのペプチドホルモンであり、食欲と代謝の調節を行う。 ギリシャ語で『痩せる』を意味するλεπτός (leptos) から命名された。

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