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言葉を聞き取ること②

1998年4月

あきひろは豊中市立高川小学校に入学した。在籍は養護学級(現支援学級)だが、全ての時間を原学級で過ごし、養護学級担任の先生があきひろに付いた。他に養護学級籍の子どもがいなかったので、登校してから下校まで先生が一人付いてくれるという、恵まれた状況でのスタートだった。

とはいえ、保育所からさらに大きな集団に入ったあきひろの混乱は大きかった。帰宅すると疲れた様子で、レッスンも新しい課題をやろうとすると、これまでなら「おしまい」と言うところを、頭を左右に振るので心配になり、しばらく休んでいた。

新しい課題は、文を読んで意味を理解すること②でやったことを聞き取りでできるようにすることで、学校にも慣れて落ち着いてきた頃合いを見計らって、当時トイレのこだわりが強かったことを利用し、シルバニアファミリーのウサギと小物を使って取り組むことにした。

〈用意した物〉

ウサギ:お父さん、お母さん、あっくん、ゆうじくん

小物:トイレ大・小、手洗い場、ベッド、体重計

〈ステップ1〉

母「あっくんはおしっこをしました。ゆうじくんはうんちをしました。」と言いながら、ウサギをそれぞれトイレ大・小の所に置く。「あっくんは何をしたの?」 あきひろ「おしっこ」

母「ゆうじくんは?」 あ「うんち」

やはり、あきひろはトイレのことだと1回めから聞き取ることができた。それで、手洗い場で「手を洗っている」、ベッドで「おふとんごろん」、体重計で「大きくなったかな」、と日常の言葉でパターンを変えてやった。

〈ステップ2〉

ステップ1と同じ会話でウサギを動かさないで言うことにした。するとあきひろは、それを聞き取って、あっくんウサギはトイレ小、ゆうじウサギはトイレ大の所に置いた。

〈ステップ3〉

ウサギ4人と小物を全部テーブルに置いて話す。

母「お父さんは手を洗いました。あっくんはおしっこをしました。お父さんは?」 あ「てをあらいました」

母「あっくんは?」 あ「おしっこをしました」

あきひろはトイレの話が楽しすぎて、そればかりやりたがってしまうので、そこに捕われないように滑り台とシーソーも加えた。

母「お父さんはトイレに行きました。あっくんは公園に行きました。ゆうじくんはお布団で寝ています。お父さんは?」 あ「トイレ」

母「あっくんは?」 あ「こうえん」

母「ゆうじくんは?」 あ「おふとん」

〈ステップ4〉

質問を変える。

母「トイレに行ったのは誰?」 あ「おとうさん」

〈ステップ5〉

視覚的な手がかりのない情報を聞き取れるよう、小物は使わずウサギだけにする。

母「お母さんは果物屋でバナナを買いました。何を買ったの?」 あ「ばなな」

〈ステップ6〉

ウサギなしで、聞き取って答える。

こうして言葉を聞き取る課題が達成できた。聞き取りを集中してやったことで、言葉を聞き取ること①でやっていた3語文以上のエコーが確実にできるようになった。

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