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FXのロスカットの仕組みは?知らないとヤバい回避方法と借金のリスクを解説

ロスカットとは、FXで一定の損失(含み損)が出た時、ユーザーを保護するためにFX業者が行う強制的な決済のことです。

ただ、相場の変動が大きいときなどは執行が間に合わず、時には口座残高がマイナスになり、負債を抱えてしまうリスクもあります。

いずれにしても、意図に反してポジションを失うことになるため、可能な限り避けねばなりません。

FXはレバレッジをかけてトレードするのが普通なので、ロスカットの仕組みを理解するのは必要不可欠です。

そこでこの記事ではロスカットの計算方法や、回避するための対策などをわかりやすく解説します。

また、具体的にどのような場合にロスカットが実行されるのかも紹介するので、参考にしてください。


ロスカットとは

ロスカットとは、FXで一定の損失(含み損)が出た時、ユーザーを保護するために、FX業者が行う強制的なポジションの決済のことです。

レバレッジを掛けて取引を行うFXトレードでは、価格の変動によって大きな含み損を抱えることがあります。

早い時点で損切りすれば良いのですが、ズルズルと損失が膨らんでてしまうこともあるでしょう。

そのままでは口座に入金した資金で維持できるポジションが限界を超えてしまい、口座残高がマイナスに振れる可能性が高まります。

そんな時、トレーダーに代わってFX業者が強制的にポジションを決済する仕組みが「ロスカット」です。

FX会社によっては「強制ロスカット」と呼ばれることも多いです。一般的な損切りを「ロスカット」と呼ぶ人もいるので、少し混同されがちですが、本記事ではトレーダーが自分自身で行う損切りではなく、FX会社が強制的に執行する決済注文をロスカットと表現しています。

ロスカットはトレーダーの保護が目的

株などの現物の取引とは違い、FXではレバレッジを掛けて取引できるのが特徴です。

国内の業者であれば最大25倍、海外業者なら数百倍以上という高いレバレッジが使えます。

そのような環境では、勝てば大きな利益を得られますが、想定した方向と逆に相場が動くと大きな損失を出すでしょう。

しかしロスカットがあることで、トレーダーは一定以上の損失を免れます。
もしロスカットがなかったら、口座に入れた資金を全て失うだけでなく、負債を支払う羽目になってしまうでしょう。

強制決済と言うと、マイナスのイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし実際は無用な損失を回避し、トレーダーの安全を確保するために必要な安全装置なのです。

例えばポジションを持ったまま寝てしまい、その間に大きな価格変動が起きてしまうかもしれません。
損切り設定をしているつもりでいて、実はしていなかったというミスもありえます。

また初心者の場合、相場の急変を目の前にした時、どうしたら良いか分からず茫然自失となってしまうこともあるでしょう。
損切りするタイミングを失って、「今さら損切りなんてできない」と手が止まってしまうかもしれません。

そんな時、自動的に強制決済してくれるロスカットは最後の、砦とも言えるべき存在です。
買いポジションで含み損が増大したら自動で売り注文を、売りポジションで含み損が増大したら自動で買い注文が執行されます。

強制ロスカットのタイミング

ロスカットの目的は、相場が逆行した際のトレーダーの損失を限定することです。

ただ、どのレベルでロスカットを行うかは、各FX業者によって違いがあります。

どの段階でロスカットを実行するかの基準は「ロスカットレベル」や「ロスカット率」「ロスカットライン」と呼ばれており、一部のサービスを除き、利用者側で勝手に変えることは出来ません。

そしてロスカットレベルは「証拠金維持率」でFX会社ごとに決められます。

証拠金維持率とは、取引を行うために必要な証拠金(必要証拠金)と、口座に残っている資産(有効証拠金)との比率です。
計算方法は少し面倒なので、後ほど詳しく説明します。

証拠金維持率は、多くの業者で50%や100%などに設定され、この数値を下回るとロスカットが執行されます。
簡単に言えば、100%であれば投資に使った金額と、含み損を考慮した資産の時価額が同額になったらロスカットされるということです。
50%なら、時価評価額が投資額の半分になったタイミングで執行されます。

数値が低いほど執行のタイミングは遅くなり、ギリギリまでポジションをキープできますが、ロスカット後の残額は少なくなるのが特徴です。
逆に数値が高いとロスカット後の残額は増えますが、早めにポジションが決済されてしまうので、そこから相場が戻って来たら悔しい思いをするかもしれません。

どちらが良いかは性格やトレードスタイルによるので、業者を選ぶ時の検討材料にしましょう。

執行前に教えてくれるマージンコール

なお、ロスカットは一般的にいきなり執行されるわけではありません。
ロスカットされる水準に至る少し前に、マージンコールと呼ばれるアラートがメールで送られてきます。

マージンコールが発動すると、FX会社によっては、追加証拠金の入金(追証)が迫られる場合があるので注意が必要です。

国内FX会社では、追証が必ずあります。

例えばマージンコールレート(追証レート)が100%、ロスカットレートが80%の国内FX会社の場合、証拠金維持率が100%を下回った段階でマージンコールが発生します。そして、次の日までに証拠金維持率が100%に戻るように入金を促されるといった具合です。

指定期日までに入金ができなければ、たとえロスカットレートに到達していなくても、ポジションが一部強制決済され、証拠金維持率が100%に戻されます。

海外FXの場合は追証はないので、マージンコールレートに到達しても、追加入金を迫られることはありません。ただ、新規のポジションが持てなくなったりと、一部制限はかかるので注意が必要です。

マージンコールについては、以下の記事で詳しくまとめています。

例:BigBossのロスカットルール

ロスカットに関する設定は各社によって様々ですが、ここでは筆者がメインで使用しているFX会社「BigBoss(ビッグボス)」のロスカットルールを例に説明してみます。

BigBossではFX口座ごとに証拠金維持率が判定され、その比率が50%を割り込んだ時点で、マージンコールが発せられます。

そして証拠金維持率が20%以下になるとロスカットの対象となり、保有中のポジションについて、成行注文で決済が発注されます。

これらはいずれも海外業者としては標準的な設定です。

BigBossは最大レバレッジが2,222倍と国内業者より遥かに高いので、ポジションを持つために必要な証拠金(必要証拠金)は少なくて済みます。
その一方で、ロスカット率も低めになっているので、より大きな含み損に妙楽得るのが特徴です。

またゼロカットシステムを採用しているので、国内業者とは違い、もし口座残高がマイナスに振れてしまっても、借金を背負うことがありません。

≫BigBossの公式サイトへ

各社のロスカット基準

ロスカットを行う基準はFX業者によって異なりますが、大きく分けると国内業者と海外業者で差があります。

国内業者の場合は、ロスカット基準(証拠金維持率)は比較的高めです。半数程度は100%、残りも多くは50%程度に設定されています。
これは使えるレバレッジが最大でも25倍のため、発生する含み損も一定の枠内に収まるケースが多いからです。

それに対し海外業者の場合、ロスカット基準は多くが20%程度と、比較的低めになっています。
これは、国内業者とはケタ違いの高レバレッジが使える業者が多いことが原因です。
少しの相場変動でも大きな影響を受けるため、基準が100%や50%だとすぐにロスカットに引っかかり、安定的にポジションを持てないための対応となります。

国内業者に比べ、ギリギリとも言える状況になるまでロスカットされません。
そこで海外業者の多くは、ゼロカットシステムと呼ばれる仕組みを用意しています。
これはロスカットが間に合わず、証拠金を超える損失が出た場合、その分をFX業者が負担してくれるというサービスです。

これにより、入金額以上の負債を抱える心配がなく、安心できるのが海外業者のメリットでしょう。
一方、国内業者の場合は、ロスカットが間に合わなかった時に借金を抱える危険がゼロではないので注意が必要です。

ロスカット(証拠金維持率)の計算方法

ロスカット自体はFX業者のシステムで自動処理されるので、自分で計算する必要はありません。
しかし、無用なロスカットを避けるためには、自分でもその目安を知っておいた方が良いでしょう。

実際にどこでロスカットされるかを割り出すには、一定の計算式が必要です。
しかし残念なことに、その内容はあまり直感的なものとは言えません。
書籍やWebサイトにある情報なども、用語はバラバラですし、使われている数字が端数だと分かりにくい面もあります。

そこでここでは、できるだけ丁寧に説明をしていきます。

  1. 証拠金維持率とは?

  2. 必要証拠金

  3. 有効証拠金

  4. 証拠金維持率は大きいほど安心

証拠金維持率とは?

ロスカットに関する計算は、実のところ、証拠金維持率の計算を指しています。
つまり証拠金維持率とは何か?が分かれば、ロスカットに関する疑問も解決するということです。

証拠金維持率は、必要証拠金と有効証拠金という2つの数値の比率です。
似たような用語が続くので分かりにくいのですが、簡単に言えば次の計算式で導くことができます。

  • 必要証拠金=投資に使った金額(A)

  • 有効証拠金=現在の資産評価額(B)

  • 証拠金維持率=B ÷ A
    =時価資産 ÷ 投資額

それぞれ詳しく見ていきましょう。

必要証拠金

実際に通貨の売買のために投じた資金になります。
中には「取引用の資金としてFX会社に入金したお金」という説明もありますが、多くの場合は誤りです。
「多くの」というのは、一部にはそうした計算をしている業者や口座設定もあるからですが、一般的な運用ではありません。

例えば、レバレッジ1,000倍の口座があり、そこに資金として10万円を入金したとしましょう。
1ドル100円の時に10万ドルを買うと、運用額は1,000万円です。
実際に必要な資金はその1/1,000ですから、1万円となります。

この時、必要証拠金は、買うために投じた1万円です。
口座に入れた10万円ではありませんし、投じた1万円を除いた9万円でもありません。

買う時にいちいち「使った資金は1万円です」という表示が出るわけではないため、ここは分かりにくい部分でしょう。
また同じ10万ドルを買う場合でも、レバレッジが25倍なら、1,000万円の1/25である40万円が必要です。
このように、レバレッジが変わると、同じ額の通貨を買うために必要な証拠金は変化します。

また、時には必要証拠金が「ポジションの維持に必要な金額」と書かれる事もありますが、これも誤解の元でしょう。
この説明だと「投じた1万円を除いた9万円」とも読めるからです。

必要証拠金は、ポジションを立てるために必要となる元手で、レバレッジと相場によって決まります。
式としては、「通貨の価格 × 取引数量 ÷ レバレッジ倍率」です。

例えば、上記の2つの例では、次のようになります。

  • 100円 × 10万通貨単位 ÷ 1,000 = 1万円

  • 100円 × 10万通貨単位 ÷ 25 = 40万円

有効証拠金

有効証拠金とは、持っているポジションの損益を反映した、現在の時価資産(資産評価額)のことを指します。
具体的には、その時点での含み益・含み損と、口座で自由に使える資金の合計です。

上記の例(レバレッジ1,000倍)では、まず口座に入れた10万円がベースとなります。
そこから1万円の含み益が出た場合、それを足して、見かけの時価資産は11万円です。
逆に2万円の含み損を抱えたら、10万円から2万円を引いた8万円が見かけの時価資産になります。

「見かけの」と言うのは、価格の変動は必要証拠金にも影響を与えるため、正確にはその差額も反映させなくてはならないからです。

レバレッジ1,000倍で2万円の含み損が出た場合、その分、価格は安くなっています。
そのため必要証拠金はその1/1,000に当たる、20円だけ低くなるということです。
レバレッジが25倍なら1/25ですから、必要証拠金は800円ほど下がります。

証拠金維持率は大きいほど安心

証拠金維持率は、上記の2つの金額の比率です。

式としては「有効証拠金 ÷ 必要証拠金」となり、意味的としては「時価資産 ÷ 投資額(×100%)」となります。
この数字が大きいほど、手持ちの資産に余裕があることになり、ロスカットされる危機は遠ざかるのです。

損失が増えて時価資産を減らしていくと、証拠金維持率の数字は悪くなっていきます。
大元の入金額が大きければ、多少の損失が出ても資産自体には余裕があるので、いきなり危機が訪れることはありません。
しかし入金額の多くをトレードに注ぎ込んだ場合、少しの含み損で資金が一気に削れてしまいます。

例えば、口座に10万円を入金し、うち1万円を投資に当てた場合を考えましょう。
1ドル100円の時にレバレッジ1,000倍で買った10万ドルが、99.8円に下がったとします。
0.1円の下げで生まれる損失は、2万円です。

投資額以上の損失を出してはいますが、口座に資金があるので切迫はしていません。
時価資産は、「10万円 – 2万円 = 8万円」となり、簡易計算で「8万円 ÷ 1万円 = 証拠金維持率は約800%」となります。
(厳密には必要証拠金が20円、低くなっています)

しかし口座への入金額が3万円だったら、時価資産は、3万円 – 2万円 = 1万円となり、証拠金維持率は約100%となってしまうのです。

【事例】ロスカットが発生するケース

実際にどのようにロスカットが発生するのか、もう少し細かく推移を見ていきましょう。
ここでは下記を条件とし、後半では、レバレッジ等の条件を変えた場合の比較も行います。

  • 証拠金維持率(ロスカット率):20%

  • レバレッジ:1,000倍

  • 口座への入金額:10万円

  • 通貨ペア:米ドル/円

なお計算の都合上、スプレッドやスワップ、その他の手数料などは考慮しません。

初期状態

まずは上記のポジションを持つ前の資産状況です。

  • 口座残高:10万円

  • 為替レート:–

  • ポジション:–

  • 必要証拠金(投資額):0円

  • 含み損益:0円

  • 新規注文可能額:10万円

  • 有効証拠金(時価資産):10万円

  • 証拠金維持率:–

この時点ではまだポジションがないので、証拠金維持率に数値はありません。

ドル円の買いポジションを立てた瞬間

資金の中から1万円を使ってドルを買いました。
レバレッジ1,000倍なので、運用規模は1,000万円分となり、ポジションサイズは10万ドルです。

  • 口座残高:10万円

  • 為替レート:1ドル100円

  • ポジション:10Lot(10万通貨)

  • 必要証拠金(投資額):1万円

  • 含み損益:0円

  • 新規注文可能額:9万円

  • 有効証拠金(時価資産):10万円

  • 証拠金維持率:1,000%

買った直後なので含み損はありません。
1万円でドルを買ったので、残り最大9万円まで新規注文ができます。
投資額に対する時価資産の割合(証拠金維持率)は、1,000%です。

相場が0.2円、下落した場合

100円で買ったドルが99.8円になった場合です。

  • 口座残高:10万円

  • 為替レート:1ドル99.8円

  • ポジション:10Lot(10万通貨)

  • 必要証拠金(投資額):9,980円

  • 含み損益:-2万円

  • 新規注文可能額:9万20円

  • 有効証拠金(時価資産):8万円

  • 証拠金維持率:801.6%

2万円の含み損が出たので、時価資産は8万円となりました。
一方、必要証拠金は20円下がり、代わりに新規注文可能額に振り分けられます。
投資額に対する時価資産の割合(証拠金維持率)は、まだ高水準です。

相場が0.5円、下落した場合

100円で買ったドルが99.5円になった場合です。

  • 口座残高:10万円

  • 為替レート:1ドル99.5円

  • ポジション:10Lot(10万通貨)

  • 必要証拠金(投資額):9,950円

  • 含み損益:-5万円

  • 新規注文可能額:9万50円

  • 有効証拠金(時価資産):5万円

  • 証拠金維持率:502.5%

5万円の含み損が出て、時価資産は半減しました。
証拠金維持率は、まだ危険域ではありません。

相場が0.9円、下落した場合

100円で買ったドルが99.1円になった場合です。

  • 口座残高:10万円

  • 為替レート:1ドル99.1円

  • ポジション:10Lot(10万通貨)

  • 必要証拠金(投資額):9,910円

  • 含み損益:-9万円

  • 新規注文可能額:9万90円

  • 有効証拠金(時価資産):1万円

  • 証拠金維持率:100.9%

証拠金維持率が100%に近づきました。
一部のFX業者ではロスカット寸前であり、警戒が求められます。

相場が0.94円、下落した場合

100円で買ったドルが99.04円になった場合です。

  • 口座残高:10万円

  • 為替レート:1ドル99.04円

  • ポジション:10Lot(10万通貨)

  • 必要証拠金(投資額):9,904円

  • 含み損益:-9.6万円

  • 新規注文可能額:9万94円

  • 有効証拠金(時価資産):4,000円

  • 証拠金維持率:40.39%

証拠金維持率が50%を割ってしまいました。
国内のFX業者なら、どこでもロスカットされる水準です。
20%という低い水準の海外業者でも、マージンコールが発信されるレベルです。

相場が0.98円、下落した場合

100円で買ったドルが99.019円になった場合です。

  • 口座残高:10万円

  • 為替レート:1ドル99.019円

  • ポジション:10Lot(10万通貨)

  • 必要証拠金(投資額):9,902円

  • 含み損益:-9.81万円

  • 新規注文可能額:9万98円

  • 有効証拠金(時価資産):1,900円

  • 証拠金維持率:19.19%

証拠金維持率が20%を割ったので、強制ロスカットが執行されます。

ロスカットされる価格を求める

証拠金維持率が指定された数字になるとロスカットされますが、指定された数値から、ロスカットが適用される価格を概算で割り出せます。

上記の場合、必要証拠金の誤差を無視すれば、ロスカットが執行されるのは有効証拠金が必要証拠金(投資額)1万円 × 20% = 2,000円を切った時点です。
つまりおおよそ、98,000円の含み損までは耐えられることになります。

このように、98,000円 ÷ 10万ドル = 0.98円下がるとロスカットされ、残る残金は2,000円が目安になることが分かるでしょう。

ロスカットの水準による違い

ロスカット率は各社によって異なるため、違いについても見てみましょう。
レバレッジ25倍、口座に10万円を入金し、4万円で100万円分のドルを買った場合の証拠金維持率の推移を示します。​​

ここで、94円の部分を見てみましょう。
ロスカット水準が100%の場合、ここを少し割った所でロスカットされ、4万円強の損失となります。

次に92円の部分を見てみましょう。
ロスカット水準が50%なら、ここまでポジションを持てますが、ロスカット後の損失は8万円を超えます。

実際は短期でここまで急変することは考えにくいため、もう少し実践的な数値にしてみましょう。
同じく口座に10万円を入金し、8万円で200万円分のドルを買った場合です。

スタート時点ですでに125%と、先ほどよりかなり余裕が減っていることが分かります。

ロスカット水準が100%の場合、99円を少し割った所でロスカットされ、損失は2万円強です。
50%の場合は97円までポジションを持て、ロスカットにより6万円程度の損失が出ますが、先ほど50%の例よりは損失額が抑えられます。

このように、同じ入金額でも、立てたポジションが大きいほどシビアになるのが特徴です。
また、ロスカット水準の設定によっても状況が異なることが分かるでしょう。

ロスカットを回避する方法

損失という痛みを伴うロスカットは、出来ることなら避けたいものです。
ここではロスカットを事前に回避するための方法をお伝えします。

全てに共通するのは、証拠金維持率を高い数値に保つということです。
ロスカットはこの数値を基準に執行されるため、数字が大きいほど安心できます。
基準が100%なら200%や300%、50%なら150%や200%を目安にしましょう。

  • 事前に出来ること
    1、実効レバレッジを下げて、ポジションサイズを小さくする
    2、損切り設定をしっかりしておく
    3、スキャルピングなど短期取引に絞る
    4、マージンコールを確実に受信する

  • ロスカットの危機に遭遇した時の対処
    1、口座に追加入金をする
    2、保有ポジションの一部、または全額を決済する

事前に出来ること①:実効レバレッジを下げて、ポジションサイズを小さくする

証拠金維持率は、実際に運用しているポジションサイズと、口座への入金額のバランスとも言い換えられます。
つまりポジションサイズを一定の大きさに収めれば、ロスカットされる可能性は下がるはずです。

レバレッジをフルに掛ければ大きなポジションを持てますが、為替変動のリスクも強く受けてしまいます。
ここで有効なのは、実効レバレッジを抑えることでしょう。

実効レバレッジは、実際に利用可能な最大レバレッジではなく、口座残高に対するレバレッジの掛け具合です。
例えば、最大レバレッジが100倍の口座に10万円を入金すると、1,000万円分のポジションを立てられます。
しかしポジションサイズを下げて、100万円分のポジションに抑えた場合はどうでしょうか?
入金した10万円に、10倍のレバレッジを掛けているとも取れるでしょう。

実際には、一部のサービスを除き、トレーダー側でレバレッジの増減調整はできません。
これも、業者側の処理としては、1万円に100倍のレバレッジを掛けて立てたポジションです。

しかし証拠金維持率を導く計算的には、1万円に100倍のレバレッジを掛けた場合と、10万円に10倍のレバレッジを掛けた場合とで結果に違いはありません。
初心者のうちは、この実効レバレッジを上げすぎないようにするのが鉄則です。
目安としては、数倍程度が安心でしょう。

高いレバレッジを使う場合は、安定している相場状況に限るなど、何らかのルールを作りましょう。

事前に出来ること②:損切り設定をしっかりしておく

含み損が増えると、証拠金維持率はどんどん悪化します。
相場が予想と逆に行ってしまった場合に備え、エントリーとセットで的確な損切り予約も入れておきましょう。

損切りラインはその時々によって適正な幅が異なりますが、一般的な利幅を狙うエントリーであれば、負けた時の損失が総資金の2%を超えないようにするのが目安です。

的確に損切りするには、自分の中でルールを作り、機械的にそれを当てはめていくようにしましょう。
取引の度に基準が変わったり、感情的に決めてしまうと、安定性が損なわれます。

一番良いのは予約を入れたら、後は相場から離れてしまうことです。

事前に出来ること③:スキャルピングなど短期取引に絞る

時間を掛けて利幅を狙うタイプの取引をすると、相対的に大きな損失が出やすくなります。
そもそも、遠い未来の価格を予測するのは困難です。
しかし、より短い期間の予測なら、目の前のチャートを分析して確度を高められるでしょう。

特にスキャルピングなどの短期取引は、1回の利幅が大きくないため、失敗時の損失も一定の範囲に収まりやすいのが特徴です。
常にチャートに張り付いているので、想定外の動きにも対応できます。

素早い対応を必要とされるスキャルピングが難しいなら、1日単位で取引を終わらせるデイトレードでも良いでしょう。

事前に出来ること④:マージンコールを確実に受信する

いざロスカットの危機に瀕した時、忘れてはならないのは、マージンコールを確実に受信できるようにしておくことです。

ロスカットが迫ったことを知らせるマージンコールは、いつでも必ず確認できるようにしておきましょう。
受信に気が付かないと、知らないうちに強制決済されていたという結果にもなりかねません。

もしマージンコールが来たら、悪化してしまった証拠金維持率を健全な数値に戻しましょう。
後は、相場の状況や時間との戦いです。
できる対処はあるので、以下で説明していきます。

ロスカットの危機に遭遇した時の対処①:口座に追加入金をする

証拠金維持率を回復させるため直接的に有効なのは、口座に資金を追加入金することです。

証拠金維持率は「有効証拠金(時価資産) ÷ 必要証拠金(投資額)」で割り出されます。
この数値を改善するには、有効証拠金を上げるか、必要証拠金を下げるかしかありません。

口座への資金追加は、このうち有効証拠金を上げるための策です。
含み損が膨らんだため、時価資産も大きく減ってしまいました。
そこに追加入金を行うことで、資産金額を上げることができるのです。

ロスカット比率の2〜3倍程度を目安に、ひとまず安心できるレベルの金額を入金しましょう。
中途半端な金額にすると、一時は回復した証拠金維持率が再び悪化し、追加入金ごとロスカットに遭ってしまう危険もあります。
そうなると入金しなかった方が良かったという結果にもなってしまいます。

たとえば1ドル100円の時、レバレッジ25倍で1万ドルを買った場合、必要証拠金は4万円です。
この時、口座への入金額が5万円だった場合、初期の証拠金維持率は125%となります(先ほども上げた例です)。

そこからレートが下落して99円になったとしましょう。
含み損が1万円になるので有効証拠金は4万円、必要証拠金は39,600円となり、証拠金維持率は101%に低下します。
ロスカット率が100%であれば、まさに風前の灯です。

そこで口座に4万円を追加入金しました。
すると有効証拠金は8万円となるので、証拠金維持率は8万円 ÷ 39,600円 = 202%まで回復します。
ここまで高めれば、ひとまず安心でしょう。

仮に2万円の追加入金でも、証拠金維持率は6万円 ÷ 39,600円 = 151.2%まで回復します。

このように追加入金は一時的な避難措置という側面があるため、実際に行う場合には、相場の先行きを含めて慎重な検討が必要です。

問題は、大きなトレンドが生じている場合でしょう。
その状況では、入金による対処をしても、大きな動きに押し流されてしまう危険があります。

効果的なのは、大きなレンジ相場や強力な水平線など、反発が期待できる価格帯が近くにある場合です。
そこまで凌げばなんとかなる、というメドが立っていれば、足りない分の差額を入金で埋める意義はあるでしょう。

ロスカットの危機に遭遇した時の対処②:保有ポジションの一部、または全額を決済する

証拠金維持率を改善させるもう1つの方法が、必要証拠金(投資額)を下げることです。
これはすなわち、ポジションを手放すことに他なりません

最も効果的なのは、全額を決済してしまうことです。
そうすれば、少なくともその時点でロスカットを受ける可能性はなくなります。

早めにポジションを閉じると、自由に使える資金が確保できるので、絶好のエントリーチャンスが来たらそれを活かせるというメリットもあるでしょう。

ただせっかく立てたポジションですから、全額の決済には抵抗があるかもしれません。
ロスカットまで多少の余裕がある場合は、いきなり全額を閉じてしまう必要もないでしょう。
また、複数のポジションを持っている場合は、その中から任意のポジションを選んで閉じるという方法もあります。

ここでも、先ほどと同じ条件で見てみましょう。

5万円を入金し、1ドル100円の時にレバレッジ25倍で1万ドルを買い、必要証拠金は4万円です。
そこからレートが下落して99円になり、証拠金維持率が101%に低下した所で、ポジションの半額を決済したとしましょう。

この時点で、損切りによって5,000円の損失が確定します。
残りのポジションは5,000ドル相当で、含み損は5,000円、必要証拠金は19,800円です。

すると証拠金維持率は、40,000円 ÷ 19,800円 = 202%まで回復します。

さらに小さく、ポジションの1/4を決済した場合はどうでしょうか?
確定する損失は2,500円、含み損は7,500円、必要証拠金は19,900円です。

その結果、証拠金維持率は、40,000円 ÷ 29,700円 = 134.6%となります。

このようにポジションを手放すことは、大きな効果を生むので、追い詰められる前に損切りすることを意識しましょう。

ロスカットのリスク

ロスカット自体はシンプルな仕組みであり、トレーダーを保護するためのものです。
しかし注意すべきリスクもあるので、ここであらためて確認しておきましょう。

  1. 執行が間に合わないと、借金を背負うことも

  2. いつ、どんな事件あるか分からない

  3. 「追証」がある場合は見逃さない

執行が間に合わないと、借金を背負うことも

本来、トレーダーの資金がマイナスになるのを防ぐためのロスカットですが、相場の動きがあまりに激しいと執行が間に合わないことがあります。
これにはいくつかの理由があります。

まずロスカットするかどうかの判定は、各社ごとの基準を元に、一定のタイミングで行われます。
例えば、1分に1回チェックをする、などです。
するとその間に相場が急変した場合、計算結果がロスカット水準を超えてしまう可能性があります。

また、ロスカットはあくまで決済の自動化です。
発注された取引自体は、通常と同じく市場を通じて行われるため、その結果は取引が終了するまで分かりません。
ロスカットは大きな価格変動に巻き込まれて発生することも多く、そうした一方的な相場では、損切り注文が上手く通らない事もありえます。
取引が成立しても、損切り側に非常に不利な価格になってしまう事もあるでしょう。

また要注意なのが、週明けの市場で時おり見られる、価格の大きな乖離です。
いわゆる「窓開け」と呼ばれる現象で、これが生じると損切りに限らず、全ての取引が影響を受けます。

また滅多にあることではありませんが、FX会社のシステムトラブルやネットワークの障害などで、ロスカットがうまく執行されない可能性もあります。
通常の取引でも相場の急変時など、システムの負荷が高まるとサーバーが応答しなくなったり、反応に時間差が生まれることがあるでしょう。

このような幾つかの理由によって、口座に入金した金額以上の損失を出してしまう危険があるのです。
ここで生じた損失は、FX業者に対する借金として処理されるので、返済しなくてはなりません。

いつ、どんな事件あるか分からない

ロスカットに限ったことではありませんが、社会的な事件が起きると、FX取引にも大きな影響を与えることがあります。

例えば2015年にスイスフランが対ユーロで急騰した「スイスフランショック」や、2011年の東日本大震災の際には、多くのロスカットが発生したと言われています。
突然の要人発言なども、事前に予測するのは難しいでしょう。

これらによってロスカットに障害が発生するのは、利用者にとってはたまったものではありません。
しかし、業者としても不可抗力の面があるのが難しい所です。

明らかなシステムエラーなど、状況によっては業者側が発生した損失を補填してくれる場合もありますが、確実というわけではありません。
また日本語対応が不十分な海外業者では、そうした交渉なども大変でしょう。

FXの取引では、いつどのような事件が起きるか分かりません、
執行が間に合わず借金を背負う可能性も忘れずに、常にリスクを許容できる余裕を持って、取引を行うことが必要です。

「追証」がある場合は見逃さない

FX業者によっては、ロスカット水準に達してもすぐには執行はせず、猶予が設定されることもあります。

その場合、証拠金維持率が規定に達した時点で、追加証拠金の入金を求める案内が届きます。
追加証拠金とは証拠金維持率を戻すためのもので、名称を略した「追証(おいしょう)」は、多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか?

追証は、入金の期限が定められています。
多くは翌営業日となっていますが、中には、翌々日まで待ってくれる業者もあります。
ネットバンクを使えば、十分、余裕のある日程でしょう。

ただその入金を忘れてしまうと、せっかく待ってもらったのに無意味になってしまいます。
マージンコールと同様、追証の連絡は見逃さないようにしましょう。

もちろん、即時ロスカットが執行されてしまう業者もありますし、追証を繰り返して傷口を広げてしまうこともあります。
業者選びの際は、自分にとって最良のサービスを行っている業者を見極めましょう。

ロスカットで失敗してしまわないために

ロスカットに関するリスクを避けるには、いくつか注意すべきことがあります。
下記のような事項に自分が当てはまると思った人は、ロスカットで損失する可能性が高いので注意しましょう。

  1. 相場が荒れていても気にせずエントリーしてしまう

  2. FXをギャンブルとして認識している

  3. 損切りが苦手でポジションを持ち続けてしまう

相場が荒れていても気にせずエントリーしてしまう

ロスカットは値動きの激しい時におきがちですから、そうした相場では無理にエントリーをしないことが鉄則です。
その値動きを逆にチャンスだと捉えてしまい、勢いに乗れれば大儲けだ!と思ってしまうのは、極めて危険と言えるでしょう。

それで長年に渡り利益を出し続けている上級者ならともかく、経験が浅いうちは控えましょう。
ビギナーズラック的に勝てても、いずれは大きな損失を出してしまう可能性があります。

また大きな災害や事件、経済的な波乱があった時なども、エントリーは控えてください。
相場が荒れている時は、チャートが十分落ち着くまで待機しましょう。

FXをギャンブルとして認識している

先ほどの事項とも関係しますが、FXを丁半博打のように、運任せのギャンブルとして認識してしまうのも問題です。
確かにエントリーした後は、それより上がるか下がるかで勝負が決まるという意味では、1/2の可能性に賭けることにはなります。

しかし安定して収益を上げるには、エントリーにしても決済にしても、何らかの根拠やルールに基づいて決めることが不可欠です。
常に優位性を考えて冷静に取引していれば、最終的には収益を残せる可能性が高いのがFXです。
逆に言うと、運任せに取引していると、想像以上に早く口座の資金がなくなってしまいます。

損切りが苦手でポジションを持ち続けてしまう

証拠金維持率を保つため、損切りが重要であることはすでに説明済みですが、どうしても損切りを避けたい気持ちに勝てない人も多いでしょう。
しかし損切りしてこそ、フリーの状態で新しいエントリーチャンスをものにできるのです。

損切りが出来ないというのは、FXにおいては致命的となります。
一気に全てポジションを解消するのに抵抗があるなら、何回かに分けて決済しても構いません。
どちらにしても、ロスカット水準に達すれば、問答無用で勝手に決済されてしまうのです。

もちろん、追加入金や、ギリギリのタイミングでポジションを軽くすることで証拠金維持率を回復させることはできます。
しかしその判断が遅ければ遅いほど、痛手は大きくなってしまいます。
そうなる前にエイヤ!と損切りできるようになってください。

ロスカットに関するよくある質問

最後に、ロスカットに関してよくある疑問や質問をまとめました。

ロスカットと損切りは何が違いますか?

ロスカットも損切りも、含み損を抱えたポジションの決済という意味では変わりません。
大きな違いは、それを自分の意志で行うかどうかです。

損切りであれば、いつどこで、どれだけ決済するかを自分で決められます。
しかしロスカットは自分の意志とは関係なく、FX業者側が自動で執行する決済です。

また自動で執行されるロスカットには、業者ごとに決められた基準があるのも違いです。
その基準を利用者側で変えることはできません。

ロスカットされるタイミングはいつですか?

FX業者によってタイミングは異なり、同じ業者でも口座によって異なることもあります。
通常、リアルタイムに近い頻度で証拠金維持率がチェックされ、数値が規定を割り込んだ時点ですぐに執行されるのが一般的です。

また、数値が規定を割り込んだ翌営業日に、まとめて執行されるケースもあります。
この場合、それまでに追加入金をして証拠金維持率を回復させれば、ロスカットされずに済むのがメリットです。

それ以外では、特定の時刻にまとめて証拠金維持率がチェックされ、数値が規定を割り込んでいたらすぐに執行されるパターンもあります。

ロスカットで借金が発生したら?

証拠金維持率が規定の数値を割り込んでから、実際にロスカットが執行されるまでに時間差が生じ、相場変動により資産がマイナスになってしまうことがあります。
この場合、マイナス分はFX業者に対する借金となるので、返済しなければなりません。

不足分は業者が指定する期間内に入金を行います。
そのまま放置してしまうと返済の不履行となってしまうので、業者から催促の連絡が来る他、口座の凍結措置などが取られるかもしれません。
最悪、法的な措置を取られる可能性もあるので、期間内に入金をしましょう。

ロスカットに手数料はかかりますか?

通常、ロスカットで手数料が発生することはありません。


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