人材紹介の潮目が変わってきた? 前編
皆さん、こんにちは。カタリストエージェントの勝田です。
弊社は人材紹介業界を中心にして人材紹介事業を行っておりますが、最近、ここ数年の採用増一辺倒の状況から採用計画を見直す企業が増えてきました。具体的には採用自体をストップしたり、厳選採用にシフトしたりしています。
そこで今回と次回の2回に亘って「人材紹介の潮目が変わってきた?」というテーマを取り上げ、今後の人材紹介業界の採用の方向性を考察していきたいと思います。
まず前編の今回の記事では、今まで大量採用を続けてきた人材紹介会社各社が採用計画の見直しに至った背景について見ていきます。
一番多い理由は育成の問題
まず最初に人材紹介会社各社が採用計画の見直しに動いている背景として一番多いのは育成の問題です。
特に、人材紹介の未経験者も含めて採用を続けてきた企業は配属先によっては業界未経験者ばかりが増えており、そのことで既存メンバーの負担が増え、結果的には組織全体の生産性が低下しているというような話もよく聞きます。
ここ数年の人材紹介業界の中途採用の動きを振り返ると、毎年数十名から多い企業では100名以上の採用を継続しているケースがたくさんありました。その意味ではそろそろ育成重視に舵を切らないと会社が回っていかないというタイミングに差し掛かっているのかもしれません。
人材紹介会社の競争の激化
続いての要因は人材紹介会社の競争の激化です。ここ数年の業界の大きなトレンドの一つは人材紹介事業者数の増大です。実は人材紹介を営む新規事業所数は2012年(平成24年度)から10年以上も一貫して増大をしております。その数は2012年(平成24年度)の16,916事業所から昨年の2023年(令和5年)の30,113事業所へと実にこの11年間で13,197事業所も増えています。詳細は添付ファイルをご確認ください。
この伸びはコロナ禍を経ても全く影響を受けていないことがポイントです。むしろコロナ後の働き方の多様化(=リモートワークの普及)や企業の兼業・副業の解禁の流れなどを反映して直近では大幅に伸びています。
このように多くの人材紹介会社が新たに生まれたことも人材紹介会社の採用が増えていた要因ですが、一方で熾烈な競争を生み、企業ごとに差がついてきているのもまた事実です。
スカウトサイトの方針変更に伴う影響
最後は最近のスカウトサイトの方針変更に伴う影響です。具体的には、ビズリーチやリクルートダイレクトスカウトなどの大手スカウトサイトの方針変更などの影響をもろに受け、経営が厳しくなってきたという人材紹介会社の声も聞くようになりました。中には業績悪化に伴い、廃業や事業撤退をするというようなケースも出てきています。
逆に言えば、このような大手スカウトサイトの存在があったからこそ、業界経験がなくても多くの求職者にリーチすることができ、そのことが先にあげた人材紹介事業へ新たに進出する事業者が増えた要因にもなっていると考えることもできます。
いずれにしても大手スカウトサイト頼みで人材紹介業を行なっている会社は、今後は大変厳しくなってくるのではないでしょうか。
以上、今回は今まで大量採用を続けてきた人材紹介会社が採用計画を見直している要因について見てきました。それぞれの要因が単独で起きているということももちろんありますが、多くのケースはそれらが複合的に重なり合って事態が進行しているというのが現状だと思います。
冒頭の例のように弊社の限られた取引先においてもいくつかの企業でこのような採用計画を見直す事例が出てきたことは今までの流れとは違って、業界の潮目が変わってきた可能性もあるのではないかと思っています。
一方でこのような変化の中においても変わらず採用を継続している企業もございます。これらの企業はむしろ今を成長のチャンスと捉え、優秀人材を取り込むように積極的に動いています。
次回は「人材紹介の潮目が変わってきた?」の後編として、実際にどのような企業が採用に積極的に取り組んでいるのか?という点について見ていきたいと思います。お楽しみに。
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