中国四川省の鉄道「芭石鉄路」③
蒸気機関車をチャーターする
午後は、芭石鉄路を訪れた一番の目的、蒸気機関車の包車(チャーター)をする。
決して高くはない値段で、数時間、蒸気機関車を貸切にし、自由に……それはもう本当に自由に、運行させることができるのだ。
特等席で釜焚きを拝見
早速、運転席に入れてもらった。鉄道員さんの釜焚きの様子をウキウキと見学。
中腰の姿勢で、熱い火の中に、石炭を手際よく投げ入れていく。
ちなみに私は運転席に座らせてもらえたが(運転席といっても、壁から突き出た小さな板)、哥哥はとんでもないところに押しこめられてしまった。
機関車と石炭を積んだ貨車の間にある、小さな隙間……。
激しく揺れる中、哥哥は根性で、動画を撮影しつづけた。あっぱれ、鉄魂!
菜の花畑と蒸気機関車
この旅を手配してくれたのは、鉄道に詳しい中国人のガイド、陳さん。
これまで何度もお世話になっているガイドさんで、今回も充実した鉄道プランを立ててくれた。
道もろくにないような地形の入り組んだ地域では、線路は子どもたちにとって歩きやすい通学路だ。
私自身は、素人の鉄っちゃんなので、すぐ「写真の手前に植物を入れたら、きっとステキだ!」なんて安易な考えに走ってしまう。
いざ撮れた写真を見ると、「あれ。この植物は、いらなかったなあ」なんて思うことしばし。
でも、「撮ってみなけりゃわからない」ギャンブル感が、鉄道写真を撮ることのおもしろさだと感じる。
チャーターってなにするの
「ここで列車を止めてください!」
お願いすると、すぐに列車は止まってくれる。
哥哥と私は、すかさず機材を担いで、運転席をとびおり、山の斜面を駆けあがる。
ぜえぜえ言いながら、蒸気機関車を俯瞰で撮影。
そしてまた斜面を駆けおり、列車に飛びのって、運転再開……。
そんなことを繰りかえしながら、次々と蒸気機関車を撮っていく。
時には「もうちょい手前に戻ってください」なんて言って、バック運転をお願いすることも。
蒸気機関車のチャーターってこんなことができるんだ!?
はじめてのとんでもない経験に、感動しきり。運行本数の少ない路線ならではの自由度だ。
菜の花畑の中を駆けぬける鋼鉄の列車はとても美しい。
トンネルを抜けた先にある「芭沟駅」。
トンネルから抜けでてきた蒸気機関車が、小さな駅に停車する。
観光地を走る蒸気機関車もいいけれど、やはり生活に密着した、石炭の匂いをまとわせた蒸気機関車は、よりいっそうかっこいい。
次回予告
中国四川省の鉄道「芭石鉄路」④
「黄村井駅」で下車し、しばらくの休憩。