翁まひろ

物書き/遺跡発掘人/既刊:中華怪奇譚『牡丹と獅子』、時代小説『菊乃、黄泉より参る!』(角川文庫) ジャンル問わず、気ままに「書く」楽しみを味わっていきたく思っています。ポートフォリオ:https://lit.link/okinamahiro

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物書き/遺跡発掘人/既刊:中華怪奇譚『牡丹と獅子』、時代小説『菊乃、黄泉より参る!』(角川文庫) ジャンル問わず、気ままに「書く」楽しみを味わっていきたく思っています。ポートフォリオ:https://lit.link/okinamahiro

マガジン

  • お礼SS

    角川文庫より発売中の『菊乃、黄泉より参る! よみがえり少女と天下の降魔師』と、『牡丹と獅子 双雄、幻異に遭う』を読んでくださった皆さまへのお礼SSです。

  • 雲渦巻く〈雲南省〉少数民族自治区探訪記

    2004年2月から2005年9月まで、中国雲南省の省都「昆明」で留学した元留学生の古い記録

  • 中国四川省の鉄道「芭石鉄路」

    2009年に訪れた、菜の花畑の中を走る鋼鉄の男爵、中国四川省の鉄道「芭石(ばせき)鉄路」の記録。

  • モロッコ旅行記

    2011年1月、憧れの地「モロッコ」で13日間の旅をしたときの旅行記。

最近の記事

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自己紹介

はじめまして。翁まひろと申します。 扇(おおぎ)と間違えられがちですが、おじいさんの「おきな」です。 小説家やってます 2023年4月、第8回角川文庫キャラクター小説大賞、大賞&読者賞の受賞作として『菊乃、黄泉より参る! よみがえり少女と天下の降魔師』(角川文庫)を上梓し、デビューした小説家です。 一冊出しただけで、小説家と言ってしまうのはどうなんだろう。 と、ためらいを覚えつつ……よわよわメンタルを鍛えるためにも、あえて……あえて小説家と言わせてください……! ▼デ

    • エッセイ|女ひとり熱海の秘宝館に行く

      どうしてなの。 ……と言われると、わからないとしか答えようがない。 三十五歳の誕生日に、女ひとり、熱海の秘宝館に行った。 秘宝館というものの存在を知ったのは、中学生か、高校生の頃だったように記憶している。 親に隠れて、こっそり聴いていた深夜ラジオの中で、男性パーソナリティが「秘宝館に行ってきてさー」と話しはじめたのだったと思う。 スタジオではすぐに笑いが起きたが、「秘宝館」がなんなのかは説明されなかった。「みんな知ってるよね」という前提で語られていたのだ。 深夜のちょっと

      • 短編|白淵山のご機嫌な雨(牡丹と獅子・番外編)

        こちらは、本年7月発売の『牡丹と獅子 双雄、幻異に遭う』(角川文庫)を読んでくださった方へのお礼SSです。 手にとってくださった方、読んでくださった方、また感想をお寄せくださった方、お手紙やイラストを書いてくださった方、本当にありがとうございました。言葉にならないほど嬉しかったです。 てんこ盛りの感謝をこめて、本作を捧げます。 時間軸としては、本編終了後の「日常の一幕」となりますが、本編の大きなネタバレはなく、単独としてもお読みいただけるかと思います。楽しんでいただけますよ

        • エッセイ|一瞬スーパーマンになった

          昔、中国に留学をしていた。 留学先は、中国の南部「雲南省」と呼ばれる、少数民族自治区。 平均海抜2000メートルで、慣れないと階段をのぼるだけでも「ぜぇはぁ」と息があがる高地だった。 私が暮らしていたのは、留学先の雲南師範大学の教員宿舎だ。 外に引っ越した教員が、大学からあてがわれた部屋を、安価で生徒に貸しだしてくれていた。 いっしょに暮していた「同屋(トンウー/同居人)」は日本人女性。 学校で、同級生が「借りてる教員宿舎から引っ越すことになったんだけど、だれか借りたいひ

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        • お礼SS
          2本
        • 雲渦巻く〈雲南省〉少数民族自治区探訪記
          8本
        • 中国四川省の鉄道「芭石鉄路」
          6本
        • モロッコ旅行記
          15本

        記事

          エッセイ|心象の街に焦がれる

          どういうわけか、坂の街を見ると、心の奥がうずく。 うずく、という表現が正しいかどうかわからない。 ときめく、とか、わくわくする、だとかいう言葉でも正しい気がする。 心の深い深いところ、普段は眠っているようなところが、ふいに目を覚まして、なにかに感動している……そんな感じ。 その「心のうずき」は、とてもかすかで、それでいて爽やかな風をともなって、心のなかに吹きあれる。    ――思いだして、とだれかが言っている。 その感覚は、小さいころからあったように思う。 坂道を見ると

          エッセイ|心象の街に焦がれる

          過去の自分が「今の私」を救ってくれる~「執筆記録」のススメ~

          突然ですが、みなさまは「測量野帳」というKOKUYOが出しているノートのことをご存じでしょうか。 魅惑の「野帳」について 測量野帳。通称、野帳。 文房具店にいけば、だいたい一冊は置いてあるので、見たことのある方も多いかもしれない。 私が測量野帳に出会ったのは、発掘の仕事で「測量」に挑戦したときだ。 測量会社の方が、作業着の胸ポケットに入れて、つねに携帯していた。測量をするときには必ずそれを開き、なにかの数字を手早くメモしていく。それを見て、思った。 「なんか、かっこ

          過去の自分が「今の私」を救ってくれる~「執筆記録」のススメ~

          掌編|猫と待ちあわせ

          「よう、待たせたな」  時計屋の軒先で、所在なくたたずんでいたミィルは、少し斜に構えた口調で呼びかけられて、はっとした。  慌てて振りかえると、赤い石畳に姿勢よく座した、一匹の黒猫がいた。 「クロ……」 「その単純な名前で呼ぶなよ!」  黒猫は尻尾をぴんっと立たせて、落ち着かなげに顔を前肢でぬぐった。 「車の野郎が、水たまりを轢いたんだ。泥水、よけそこなって、頭からかぶっちまった。それで身繕いしてたら、”待ちあわせ”してたことも忘れちゃって……なかなか泥が落ちなくてさあ」

          掌編|猫と待ちあわせ

          短編|夜の屏風(菊乃、黄泉より参る!番外編)

          こちらは、第8回角川文庫キャラクター小説大賞受賞作『菊乃、黄泉より参る!』に宛ててファンレターをくださった方へのお礼SSです。 発売から一年半が経ちましたため、一般公開させていただきます。 ネットでもたくさんの方に菊乃&鶴松を好きになっていただき、とても嬉しかったです。心からの感謝をこめて、本作を捧げます。 単独でも読めますが、時間軸としては本編第四章あたりの、とある一夜の出来事です。どうぞお楽しみください。 夜の屏風 「鶴松はいつも、さりげなくわたしを気づかってくれる

          短編|夜の屏風(菊乃、黄泉より参る!番外編)

          商業出版における企画とプロットとは! 役立ち情報一覧

          こんにちは、翁まひろです。 7月25日に角川文庫より中華風ブロマンス『牡丹と獅子 双雄、幻異に遭う』が発売されますが、こちらは俗に言う(?)「受賞後第一作目(二作目)」となっております。 ということで、今日は、創作界隈の方ならもしかしたら聞き及んだことがあるかもしれない魔の二冊目――「二冊目の壁」に挑んだお話です。 といっても、私自身にはノウハウを語るほどの技術はありません。 なので、私自身が実践してみて「役立った」と心から感じたnoteの記事を、僭越ながらまとめさせてい

          商業出版における企画とプロットとは! 役立ち情報一覧

          【7/25発売】新作『牡丹と獅子』に込めた想い、題材選び、ブロマンスとは!?

          こんにちは、翁まひろです! これまで何度か告知をさせていただいた、中華風ブロマンス『牡丹と獅子 双雄、幻異に遭う』が、いよいよ今週25日に、全国書店で発売となります。 KADOKAWAさんのシステム障害により、いまだ流通に影響が出ています。 新刊は通常通りに発売されますが、売り切れたあとの再入荷に支障が出ている書店も多いようです。もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、書店で見かけた際にはぜひお早めに…! (25日よりもはやく書店に並ぶこともあるので、どうぞご注意くださ

          【7/25発売】新作『牡丹と獅子』に込めた想い、題材選び、ブロマンスとは!?

          短編|ペルニの市

           ぬくぬくとした毛皮にもぐりこみ、母の胸に小さな体を寄せて眠っていたロソは、うっすらと目を開けた。  声がする。  父と、伯父が小さな声で話をしているのだ。 「今年もペルニの市がたつ。わしらが狩りに出ているあいだ、市の開催を知らせる使者がやってきたそうだ」 「そうか……これでやっと、ひと息つけるな」  鼻から上だけを毛皮の外に出すと、天幕の内に焚かれた火のそばで、ふたりの黒い影が酒を飲みかわしているのが見えた。 (まだ、ねむらないのかな)  ロソは父と伯父の影が、炎の動きにあ

          短編|ペルニの市

          告知|中華風ブロマンス怪異譚『牡丹と獅子』書影公開!(7/25角川文庫)

          こんにちは、翁まひろです! 先日、第一弾の告知を掲載させていただいた、2024年7月25日発売予定の『牡丹と獅子 双雄、幻異に遭う』(角川文庫)の続報です。 このたび装画を担当してくださったカズキヨネ先生(@yonekaz)による、素敵すぎる書影が公開されましたので、第二弾の告知としてご紹介させてください……! 作者、初見で危うく昇仙しかけました……美麗すぎて……(感涙) 描いてくださったのは、本作のW主人公、美貌の毒舌道士「洛宝」と、豪放磊落な便利屋「英傑」のふたり。

          告知|中華風ブロマンス怪異譚『牡丹と獅子』書影公開!(7/25角川文庫)

          雲渦巻く〈雲南省〉少数民族自治区探訪記~巨岩の村「宝山石頭城」~

          世界遺産にも認定されている「麗江古城」から北に117キロの位置に、「石頭城」と呼ばれる村がある。話によればその村は、金沙江の河岸にある巨大な奇岩の上にあるのだという。 2004年10月、チベット辺境まで向かう長い旅のはじまりに、私と旅の仲間はこの「石頭城」を訪ねることにした。 前日に雨が降ったため、村までの道はひどくぬかるんでいる。タクシーをチャーターしたのだが、あまりに道が悪いため、途中で運転手が「ここからは無理だ。歩いてけ」と匙を投げてしまった。 「村までは6キロほ

          雲渦巻く〈雲南省〉少数民族自治区探訪記~巨岩の村「宝山石頭城」~

          雲渦巻く〈雲南省〉少数民族自治区探訪記~元陽・ハニ族の長卓祭②~

          元陽の町からさほど離れていない山中にある村で、ふたたび長卓祭が開かれると聞き、私たちは祭の見学をさせてもらうことにした。 ▼前回の記事はこちら 四十分ほどかけて山道を登ると、目の前に安静とした村が現れた。 これまた名前がわからないので、勝手に「元陽村」と名づけることにする。 村の周囲を取り巻く森。私たちが到着したちょうどその頃、村人たちも森に集まりはじめる。 長卓祭が始まるまで、しばし、だらだらタイム。 さあ、祭の始まりだ! 爆竹の激しい音に、子供たちはみんな、耳を

          雲渦巻く〈雲南省〉少数民族自治区探訪記~元陽・ハニ族の長卓祭②~

          短編|銀河バス停留所

           夕暮れどきだった。  私はその日の仕事を終え、家の近くまで直通でいけるバスの停留所に立っていた。  片手には、リサイクルショップで買った仕事用のバッグ。もう片手には、職場近くのスーパーで買った夕飯入りのビニール袋。  ちなみに夕飯は、半額シールの貼られた「辛味噌モツ」。焼けばすぐに食べられる、下味のついたモツだ。 (臭い、もれてるかなあ)  最近、やっかいな案件を任されたせいで、どうにも体がだるい。やたらと味の濃いものが食べたくて、つい辛味噌モツを手にとってしまった。  買

          短編|銀河バス停留所

          雲渦巻く〈雲南省〉少数民族自治区探訪記~元陽・ハニ族の長卓祭①~

          【閲覧についてのご注意】 この記事には、豚を生贄とする場面が出てきます。写真にも一部、豚を捌く場面などが映りこんでいます。苦手な方は、写真を非表示するなど、ご自分の心を守るようお願いいたします。 ▼前回の旅行記はこちら 一口に「元陽」と言っても、その範囲は非常に広い。 日本のメディアでも目にする機会のある「元陽の棚田」は、ある程度、決められたスポットで撮影されていて、実際には全体のほんの一部にすぎない。 そんな中、元陽でカメラマンをやっているという日本人の方が、今回の旅

          雲渦巻く〈雲南省〉少数民族自治区探訪記~元陽・ハニ族の長卓祭①~