モロッコ旅行記⑪ 7日目「アトラス山脈で雪合戦!?」
砂漠と雪合戦とイフランの街
サハラ砂漠の極寒の夜。
日の出前の6時頃、ハマドに起こされ、駱駝に乗って、まだ暗い砂漠へと漕ぎだす。
小高い丘に立って、朝日が昇っていくのを見つめる。
黄金に染まる砂地には、夜のうちにつけられた獣の足跡が。
狐、ネズミ、トカゲ……獣たちの姿はやはりどこにもなく、ただ痕跡だけがそこにある。
見る場所を変えると、砂漠は途端に色を変える。
カメラだと、肉眼よりもはっきりと色の違いが出た。
すっかり日も昇りきり、ふたたび駱駝に乗って出発。
およそ2時間の航海を終え、ふたたびオーベルジュに到着する。
次なる目的地はイフラン
預けておいた荷物を受けとり、朝食を食べていると、1日ぶりの運転手オマルが登場!
楽しかったサハラ砂漠と、駱駝ドライバーのハマドさんに別れを告げて、ふたたび私たちは車に乗る。
次なる目的地は、世界遺産の古都「フェズ」。まずはその中間地として、「イフラン(イフレン)」と呼ばれる街を目指す。
荒野と緑の渓谷
車はあっという間に、砂漠地帯から山岳地帯へと入っていく。
途中、緑でいっぱいの渓谷を見わたす。
赤い砂漠ばかりを見続けた目には、緑のある光景というのは、なんとも奇妙に映る。
フランス軍が作ったというトンネル。掘りっぱなしの古い隧道だ。
雪山を見晴らす街で昼食を
途中、車窓から王様が作ったというダムを見ながら、車を走らせること4時間半。お昼すぎに、アトラス山脈を見晴らす町に到着する。
そこのレストランで昼食をとることに。
ミントティーのような香りの強いものが得意ではない私は、オレンジジュースや、リンゴジュースにたびたびお世話になる。味は日本と大差なく、安心して飲むことができる。
まさかの雪合戦!?
昼食を食べたあとの道中、私たちはとんでもない光景に出くわすことになる。このときの私は、モロッコという国の多彩さを、まだまだ理解しきれていないのだった。
15:30頃、車窓を見ると……。
雪だ―――――!?
モロッコといえば、乾燥した砂漠地帯、アラビアンナイトの世界といったイメージがある。けれど、アトラス山脈の標高の高いところ(このあたりは標高1,500m)では雪も見かけるのだ。
当たり前といえば当たり前なのだが、朝まで真っ赤な砂漠にいたというのに、この突然の雪景色にはただただびっくり!
「雪合戦をするぞー!」
全員、大はしゃぎで、おもわず白熱の雪合戦をはじめてしまう!
雪遊びはモロッコ人にとっても娯楽らしく、ところどころでたくさんの車が止まり、雪ぞりを楽しんだり、雪合戦をしたりしている人々を見かけた。
フランス保護領時代の保養地「イフラン」
それから一時間、車はとある町へと立ち寄る。
ムーミンでも現れそうな小川の流れる森林の中に、突然現れる、赤い尖がり屋根の家々。
モロッコとはとても思えない、スイスかどこかのような雰囲気の町、イフランだ。
標高1,650m。フランス保護領時代の1929年に保養地として作られた町。
現在は、王様や富裕層の別荘地になっており、途中、厳重に警備された王様の別荘を見ることができた。
ヨーロッパ風の館は、お伽話の中のように美しかった。
カフェで休憩。
中はこじんまりとしているものの、アットホームな雰囲気が漂う、居心地の良いカフェになっている。
立派なガラスケースの中には、クッキーやケーキ、贈呈用のリボンがかけられた箱などがおさまっている。
歴史のあるカフェなのだろうか、壁には開店当時のものと思われるお店の外観を写した写真がかけられていた。
その隣には、ふたりの軍人らしきひとの姿も。
この日も私と友人はジュラバを着ていたのだが、イフランでは浮いてしまっていた。
イフランの町には、あちこちにカフェがある。
オードリー・ヘップバーンのような素敵な女性が現れても不思議ではない雰囲気だ。
尖がり屋根の上に、大きな鳥の巣を発見する。
コウノトリだ。マラケシュでもたびたび見かけた鳥だが、イフランでも定番の住民らしい。
イフランの象徴である、ライオンの彫像。
かつてモロッコにはライオンがいたと言われている。
暮れはじめたアトラス山脈を越えて、夜遅い時間になって、ようやくフェズに到着する。
フェズは大渋滞で、ホテルにつく頃には夕飯の時刻を超えてしまっていた。
次回予告
モロッコ旅行記⑫ 8日目「青の街シェフシャウエン」
本日の目的地は、友人に「どうしても行きたい」と頼んで、オプションで増やしてもらった場所「シェフシャウエン」だ。
マラケシュが赤の街なら、シャウエンは青の街。
この日、また新たなモロッコの顔を見ることになる……。