【連作短歌】県立高校
地元一の進学校で読まされる「鶏口牛後」は釈迦に説法
何者か分からずめまい覚えつつどんな顔して廊下を歩こう?
メネラウス狐の顔をなぞりつつ文字盤で泳ぐイルカを見ていた
“Juvenile delinquency” 今日覚えた熟語がわたしを挑発している
「比較する際は条件を揃えよ」と言うなら偏差値とか無意味じゃん
偏差値で裁かれながら顔面で格付けされる多層の地獄
図書室は一番空気が重い場所 みんな勉強してる、勉強してる、勉強してる
悪口に汚れた耳に押し当てた階段下の板のささくれ
あいつのことこんなに恨み続けたらいつかあいつの顔になっちゃう
卒業式の日
卒アルの写りがあまりにひどいので死ぬまで絶対悪事はできない
紺色の袴うしろに脱ぎ捨てて「女子高生」にあかんべえした
父母へ ゲルフとギベリンは結局覚えられなかったけれど私は今日も元気でいます
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