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カジュアルワインゼミ研究講座「日本ワインの可能性4(同品種比較)ピノ・グリ/ピノ・グリージョ」

 先日はカジュアルワインゼミのアカデミーコース(研究講座)のシーズン10の第4回を開催。シーズン10のメインテーマは「日本ワインの可能性」、要は同品種のワインを価格等を考慮し、日本ワインと輸入ワインを比較試飲していく内容。

第4回となる今回はイタリア品種でやろうと思い品種を色々考えるも、なかなか絞り込めない、甲斐ワイナリーさんにバルベーラあるとか、カンティーナ・ヒロさんにネッビオーロあるとかわかっていても、元々の構成が同品種及び同価格帯の日本ワイン2種で産地違い、そこにその品種の本場や注目の生産地を3種揃えてのサンプル構成なので、難しいったらありゃしない。

結局のところ、悩みに悩んで今回は「ピノ・グリ/ピノ・グリージョ」に決定。とはいえ、ここからサンプル考えるのも地獄の苦しみでした。まあ、そんな戦いの末のラインナップは以下の通り。

Sample-1
 Colpasso Pinot Grigio Terre Siciliane 2022
 コルパッソピノ・グリージョテレ・シチリアーネ
 生産地:イタリア/シチリア州
Sample-2 White Wine
 Okushiri Winery Pinot Gri 2022
 奥尻ワイナリーピノ・グリ
 生産地:日本/北海道
Sample-3 White Wine
 California Roots Pinot Grigio N.V.
 カリフォルニア・ルーツピノ・グリージョ
 生産地:アメリカ/カリフォルニア州
Sample-4 White Wine
 Willy Gisselbrecht Pinot Gris 2019
 ウィリ・ギッセルブレッシュトゥピノ・グリ
 生産地:フランス/アルザス地方
Sample-5 White Wine
 Chateau Jun Pinot Gris 2022
 シャトー・ジュン ピノ・グリ
 生産地:日本/山梨県

 ちなみにピノ・グリ/ピノ・グリージョの品種事態の特性としては、ややマイルドな酸味で糖度な上がりやすく、シャルドネやヴィオニエのような旨味に振った品種でデザートワインにも使われるという所でしょうか。

 セット1はイタリアのコルパッソと北海道の奥尻の比較。
小売価格はコルパッソが2000円程度で奥尻が3,000円程度、まあ生産量の違いもあるので輸入コストを考えてもこの辺の差はしょうがないかなと。
コルパッソはイタリアと言ってもピノ・グリージョの本場であるフリウリよりかなり温暖なシチリアのワインなので、酸はかなり弱めかなと思っていたら、いわゆるがぶ飲み系のピノ・グリージョのあっさりした感じではなく、爽快さを重視した綺麗な酸と豊かな旨味、シチリア有数の造り手らしく質の高さが伺える感じ。
驚いたのが奥尻のピノ・グリ、イタリアのがぶ飲み系ぐらいかと思っていたらコルパッソと同等の旨味、北海道という冷涼な気候という事もあり、酸は奥尻の方が強くなるが、そこも上品な果実味がカバーしていてバランスがすこぶる良い印象。
本当はもっと果実味を抑えて造りたいのかもしれないのかなと思うけど、多分樹齢の若さもあって今は味わいの厚みを補うためにもフルーティーに仕上げた方が良いという判断なのかもという勝手な想像(笑)。日本ワインの中でもピノ・グリ/ピノ・グリージョの造り手は本当に少ない事を考えると貴重なワイン。

セット2は奥尻のピノ・グリ残しで、カリフォルニア・ルーツとの比較。
カリフォルニアルーツも小売価格が2000円程度、やはりカリフォルニアらしいマイルドな酸と華やかな果実味、完熟感の強い印象だが、決して豊満な印象ではなく、ワインとして重視しているのは爽快さなのかなと思う。
奥尻と比較すると、生産地の気候は大きく違えど、スタイルは実は非常に似ていて、果実味を生かした造りは共通するところ。
コルパッソを含め、いずれも爽快さを重視したピノ・グリ/ピノ・グリージョでありながらもドライなコルパッソとフルーティーな奥尻&カリフォルニア・ルーツ。

 セット3はアルザスのウィリ・ギッセルブレッシュトと山梨のシャトー・ジュンの比較。小売価格はウィリ・ギッセルブレッシュトが2000円程度でシャトー・ジュンは限定生産で4000円。
ギッセルブレッシュトのピノ・グリは、全くもってイタリアのピノ・グリージョとは異なる、ピノ・グリの本場アルザスならではの旨味を重視したスタイル。元々ゲヴェルツトラミネールと並び非常に糖度の上がる品種だけに、飲み応えに顕著に表れる。個人的にもアルザスのピノ・グリは大好きなだけにちょっと色眼鏡で見てしまうのがお恥ずかしい…
そんな本場アルザスとの比較に臨んだシャトー・ジュンでしたが、ちょっとばかりボトルコンディションが悪く比較するには難しい結果でした。
コンディションの悪いワインのコメントはどうしてもキツイ言葉になるので今回は差し控えておきます、とはいえ自分の印象が正しいかは知りたいので機会があったらまたテイスティングしてみます。

 今回のテイスティングは日本のピノ・グリ/ピノ・グリージョの可能性を知りたいという側面だけでなく、イタリアのピノ・グリージョに近いのか、アルザスのピノ・グリに近いのかというのも知りたい部分だったので、そこは非常に興味深いテイスティングでした。

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