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金言449:教えてあげない

9年間お世話になった会社で、直属の上司が発したなかで記憶に残っている言葉のひとつです。

初めて聞いたとき、冗談だと思いました。笑いながら、教えてくれた内容について「これは教えると損するから教えてあげない」とたびたびコメントしていました。
例えば、日常の意思決定過程でのチェック項目とか、ケアレスミスを減らす工夫とかでした。積み重なるとその人の暗黙知となるノウハウなどについての話でした。

ビジネスシーンでの「教えてあげない」は、昨今の若者たちとのかかわり方でも参考になる手法です。40~50歳の年長者に対して無礼な態度をとる25~30歳の従業員は、10年・20年後に同じ立場になり同じ思いをするはずですが、現在の愚行について今は「教えてあげない」と対応します。

理由は、その年代になるまでにそれなりの修羅場をくぐりその都度学習してこなければ理解できない勤め人の知恵だからです。経験による知恵は本人の貴重な財産ですから、安易に
開示するのはもったいないです。

最近「教えてあげない」ことがひとつ増えました。
刑事ドラマで「現場100回」といって、ベテラン刑事が執拗にクライムシーンに出かけていきます。先日、相場師から同じことを聞きました。成功パターンを繰り返し練習することについてでした。練習回数を増やすと、それまで見えなかったものが見えてくるそうです。
「教えてあげない」ことを教えることで相場師は生き残っているのかもしれません。

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平史理 taira fumitoshi
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