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ため息414:横に展開し、縦につながっていくメカニズム
どこかでだれかが何か良いことをはじめると、それは集団内で必ずマネされます。そのマネが一定のパーセンテージに達すると、遠く離れたところでも同じ現象がはじまり、社会全体に浸透していきます。船井幸雄氏は「百匹目の猿現象」としてこのメカニズムを説明しています。
実例を紹介すると、
「1950年、京都大学霊長類研究所の研究者たちが、宮崎県串間市の幸島という島にいる20匹の猿にサッマイモの餌付けを試みはじめました。1952年に成功し、はじめの頃、猿たちは、サッマイモの泥を手や腕で落として食べていました。1953年のある日、1歳半のメス猿が泥を川の水で洗い流してから食べはじめたのです。メス猿のこの行動は1957年には20匹中15匹がまねるようになりました。その後、川の水が枯れたことなどもあり、いつの間にか猿たちは海水でイモを洗って食べるようになりました。海水の塩分がイモをおいしくしたのか、猿たちのイモ洗いは淡水から海水へと変わっていったのです。そうしてあるとき、大分県の高崎山の猿たちの中にも水でイモを洗う猿たちがいるのが見つかりました。彼らは幸島の猿たちとはなんの関係もない猿たちです。やがて高崎山の猿たちにもイモ洗いの行動は広がっていき、現在もおこなわれています。」
(出典:船井幸雄著、「百匹目の猿」、サンマーク出版)
この猿のイモ洗い現象が遠く離れた幸島から高崎山へ伝播した現象を、「百匹目の猿現象」といいます。これは、ある臨界値をこえるとその行動は他の場所に生息する猿たちの間にも自然に伝わるのではないかいう発想です。
これを人間界に当てはめると、ひとりが良いことをすればマネされてひろがっていく、それが良いことだという事実の告知がある一定まで徹底されると、こだまのように共鳴作用を起こし、一種の波動となって時空をこえて広く伝わっていくということになります。横に展開し、縦につながっていくメカニズムです。著者は良いことを例にあげて説明されていますが、「悪事千里を走る」といいますので、悪いことでも同じことです。良い猿のイモ洗いは悪い人間には模倣犯罪となってしまいます。
どこかでだれかが何か良いことをはじめると、それは集団内で必ずマネされます。そのマネが一定のパーセンテージに達すると、遠く離れたところでも同じ現象がはじまり、社会全体に浸透していきます。良いビジネス用語で言い換えるといわゆる「横展開」です。
NPOとかNGOとかいう組織も101匹目かもしれません。
1969年東大の山本、日大の秋田などが全共闘ののろしを全国にひろげました。パリのカルチェラタン、フランシーヌの場合、ヒッピー、ウッドストックなど、このヒトたちが証明した歴史のひとコマといいかえることができそうです。
もっと身近な例があります。夜間人気のない遊歩道の壁に悪ガキがやったマーキングを放置すると次々にマーキングが増えていきます。そしてマーキングポイントも伝染していきます。
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