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惰眠を、むさぼる。

昨日は、ザワザワした1日だった。
まず、娘が咳をこほこほとし始めた。
熱はないので学校へ行った。
私は民藝館で雑誌民藝の編集会議があった。7月号が発売され、それは自分の初めて担当した特集号だったので、オンライン会議に出てもいいのだけれど直接の御礼と振り返りをせねばと駒場野まで行くことにした。雨がひどくふっていた。

ここのところ、生理前だからか夜中に目が覚めてしまってうまくねむれなかった。

夜中に目が覚めても朝5時にはきっかり目が覚めてしまって、本来なら7時間8時間寝るところが6時間半くらいになっていた。だんだんとじりじりと疲れが溜まって、胃が痛むことが増えていた。冷たいものを油断して摂ったり、ご飯を食べ忘れたりしてそのまま安定剤を飲むと脂汗が出るほど胃が捻じ切れるように痛む。

ひどい時は眩暈がして、このまま道路に寝てやろうかと思うくらいに痛みが増してくる。けれども痛くない時は全く痛くない。ちょっとした胃のむかつきはあったりするが、痛みはないのである。

というわけで胃のことなど忘れて朝の準備をした。夫が疲れきってゾンビのように台所と洗面所を行ったり来たりうろうろしている。こちらはやること山積みなので、動線に立たないで欲しいと言ってもうろうろしてしまう。こちらもイライラしてしまうのでぽいっと安定剤を飲んで家族を送り出した。

安定剤といのは、心身に負荷がかかっている状態だとよく効く。逆に元気な時に飲んでもかなり効果が薄い(あくまで当社比的なやつ)昨日は凄まじく効いた。低気圧、疲れ、ストレス。太鼓のキャラクターの陽気で可愛い「フルコンボだドン!」という声が聞こえてきそうなほどぐらりと眠くなる。

苛々を鎮静するというのは、つまり体を弛緩させるということなので、指先にうまく力が入らず頭がぼーっとしてくる。ずるり、ぬるり、ずるるるるる体の枠からいろんなものが溶けて流れ出しそうだ。

徹底的な運動や禁酒、カフェインの不摂取、早寝早起きなどで体をコントロールしている友人が「この感覚が嫌だから薬を飲まなかった」と言っていたのを思い出していた。それが許される時間と余裕があるなら、薬は飲まないかな、と冴えない頭を引きずりながら思った。

本来ならば、仕事の前には飲まない。基本的には仕事はちょっとした攻撃性が求められる。呂律が回らなかったり、ぼーっとしていたらイベントはできない。無理やりパンプアップさせるように自分のテンションを高めて、いい所に持っていく必要があるから、薬を飲んで無理やり緊張を解くとなかなかうまくいかない。

ただ、緊張というのは、良いものも悪いものも体はストレスとして認識して、体は非常事態宣言を発令する。長く続けば体に障りが出るし、回復も遅くなる。

仕事だけのときはまだ良かった。本当のストレスは家に帰ってからが本気を出してくる。どんなに体調が悪かろうと、育児や家事は回さなければならないし、やっと夫が帰宅したと思ったら「いつも体調悪い悪い言っているからまたかかと思って、ちょっと十分だけ仕事してきていい?」と言われた時は、ああ、体調が悪くとも自分でなんとかしないといけないのか、と思った。

やれやれ、そんなこんなで昨日は駒場東大前の駅に着いた途端に胃痛が激しくなり、這うようにして民藝館に辿り着き真っ青な顔をして「すみません、着たところですが胃が痛くて帰ります」と申告した。会議中倒れるのは避けたい。

でもこのまま帰れば道中倒れかねないなーーなんて思っていたら、奥で休ませてくれて、やわらかくてさっぱりしてやさしく甘いお菓子と、常温がいいですよねと水を出してくれて、座って目を閉じたらだいぶ痛みはマシになっていた。お腹も空きすぎていたのかもしれない。

少しだけ展示を見させてもらって、痛みが引いてきたのを見計らって帰ることにした。自分が特集した民藝を手にしたら、とても良い特集でありがたかった。このことはまた落ち着いたらちゃんと書きたい。

駅までの道のパン屋さんに行って、サクッと食べられるものを買った。ホームで電車を待つ間もぐもぐと食べた。

バスに乗って家に帰る。バス停から家までの間でもぐっしょりと濡れそぼりそうなほどに雨足は強い。買ったばかりのレインウェアはとてもよく水を弾いたけれど、体温調節がうまくできなくて窒息しそうだった。

疲れている時、調子が悪い時、私は感覚が過敏になる。
元々視力が1.4、中耳炎になりかけで病院に行っても『普通の人より聞こえてますね』と言われる。そして嗅覚も元々良いのでそれらが過敏になると光でキンキンしたり、特に街中の会話を拾ってしまったり、匂いにやられたりする。

そういう時は子どもたちの喧嘩の声も苦痛なのでヘッドフォンをして薄く音楽を流す。匂いが強いものは作らない。呼吸も浅くなっているので深呼吸する。花の香りは栗や椎木以外は大丈夫で、香水や柔軟剤、タバコは倒れてしまうので気をつける。

中々スマホはやめられないけれどやめた方が目には優しい。

一番効果的なのは、シンプルに横になって目を閉じることだ。


家に帰って少し横になって胃痛はずいぶん和らいでいて、
結局オンラインで会議に出た。たまに少し胃が痛んだけれビデオを消したりして無事に終えた。

友人に言われたこともあってこのままではいけないと、大人しく胃カメラの検査の予約をとった。来週は胃カメラと子宮頚がん検診の結果のため2回病院に行く。

夜、昼に私の寄稿した原稿を送った感想を電話で聞かせてもらった。振り返りは自分では中々できないのでありがたかった。

早めに眠って、娘が夜中に暑いと言って起きたら3時で微熱。保冷剤や水を用意したりしていたらあっという間に4時で、痰が絡んでは眠りの浅くなる娘を、ヘッドフォンをしてトントンしてまた眠った。

6時に娘が起きて熱も下がり元気そうでほっとする。私はぐだぐだで、夫に朝ごはんの準備などは任せて惰眠を貪らせてもらった。久しぶりの二度寝はとろけるように心地よくて、気づいたら8時をすぎていた。

今日は娘の習い事の送迎をして、胃痛は来なかったけれど体温調節がうまくいっていない感じがした。送ってから少し散策しようとして、日差しがキツすぎてやはり暑かったり体が重かった。
あっけらかんとした扇風機くらいある真っ赤な花が怖かった。


ファミレスに入ってパソコンで映画を見た。



習い事の帰り、路線バスが満員で乗れず二駅分歩くことになった。これが噂の神奈川バス問題かと驚いた。


暑さに耐えかねて、娘と一緒に前から気になっていた和菓子屋さんに入ることにした。

なんとも美味しそうなアイスバーがあって、娘が食べたいな〜というので、お店の方に聞いたら乳不使用だった。甘酒と本葛と白桃で作っていますとのこと。娘が外で買い食い出来るコンビニのものではないアイスは珍しいのでちょっと高いけれど一本買った。

二人で交代で食べたらしゃりしゃりしつつ優しい甘さと果肉が美味しかった。疲れと暑さで熱った顔をした娘が、水を与えた草花みたいににっこりしていた。

てくてく歩いていたら後ろから
『くまこちゃーん』と呼ばれて、振り返ればアロハシャツに金髪のおじさんで、身構えたら先生だった。(レッスンは保護者は見られないので先生が誰だかいまいちわからない)
どうやら私が思っていたよりずっと、娘は頑張っていたようで褒められていた。




・・・
電車に乗ったらまた満員で揺れるところで娘にしがみつかれてはよろめき、

チラチラ視線を送ってくれていた部活の試合帰りであろう男の子たちがここにつかまったらいいよと手すりをあけてくれた。

話してみると中学2年生の彼ら。娘にとても優しくて、社内のペットボトルをひょいと拾って降りて、最後はさよならー!バイバーイ!と手を振って別れた。息子があんなイケメンに育ったら泣くだろう。

すごく暑くて体調も今ひとつで、振替も大変でマジでこのまま続けるのか?

と一瞬頭によぎったけれど、娘が嬉しそうで程よくしんどそうで楽しそうで、だいぶ強くなったものだ良かったなぁと思った日になった。



久しぶりにとんでもなく、古びて搾り切った雑巾みたいに体が動かない。

いっぱいいっぱい、やりたいことをがーっとするとその反動でしばらく大人しくしようと感覚的に思う。

特に体はよくできていて、気分が沈滞したり頭痛が起きる。否応なく休まざるおえない。

そんなことを書いていたら、じんわりと頭痛。そろそろ始まるというサインだ。

暑くなることでもあるし、しばらくバタバタ動かずにいようと惰眠を貪ることに決めて今日はおしまい。たまには惰眠も必要です。

みなさまどうぞご自愛ください。
おやすみ、おやすみ、また明日。





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