言葉が消えた朝。
頭がしんと静かだ。
朝起きたら、言葉がどこかにいってしまっていた。
しばらくすごしていると、頭の中に、言葉のかけらのようなものがたくさん蠢いていることに気づいた。出口をさがしてうぞうぞと湧いてきたかけらで、頭の中がいっぱいになる。
でも、考えていないわけじゃないのに列にならずにばらけてしまってまとまらない。
毎日あんなに長い日記を書いていたのだもの、そんなこともあるかな、と思って湯船に体を沈めた。
スーパーに行ったら、八重咲のトルコキキョウがとても綺麗で、去年山形の新庄に行って、道の駅でトルコキキョウとカスミソウを一抱え買って新幹線に乗って帰ったのを思い出した。
気持ち良いのと幸せなのは違う
小さくて綺麗な百日紅はもうない
褪せた薔薇がそこらに、切られることなく立っている
ほんのすこしの雨だとしても、降らせることは難しい
育てていた鳳蝶が、帰ってきたら羽化していて、あまりに窓に向かって激しく飛ぶものだから
そっと窓を開けてしまった。
夜の雨は幸福。
虫の声、ほんの少し涼しい。
志賀直哉の短編集、ひとつひとつの描写が丁寧で、時に丁寧すぎるくらいだけれど、やさしくて、生活を覗き見ているようでとても良いです。
城の崎にて を高校の教科書で読んで好きだった記憶。
おやすみなさい。
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