【2023 夏 高校野球 3回戦】仙台育英vs履正社 どこよりも詳しく見どころ解説
2023 夏の甲子園
第105回 全国高校野球選手権大会
3回戦
仙台育英(宮城)vs 履正社(大阪)
ここで対戦するのはもったいない
今大会の優勝争いを左右する大一番!
3回戦屈指の好カードとなった。
もはや説明はいらないであろう、優勝候補同士の対決である。
昨年の優勝校である仙台育英と、2019年の優勝校である履正社。
履正社は優勝した2019年以来の出場の為、「夏の甲子園連勝中」の両校の対戦でもある。
甲子園常連となった名門校ではあるが、両校の甲子園での対戦は今回が初めてとなる。
ともに複数の好投手を擁し、打線にも力がある。
1回戦・2回戦の勝ち方からも「強い」という印象を持ったファンが多いだろう。
宮城vs大阪
甲子園で宮城代表と大阪代表の対戦は春夏合わせると過去に15回。
対戦成績は大阪の8勝7敗とほぼ互角の戦績で、数々の名勝負を生み出している。
直近の対戦は2017年。
今回と同じ3回戦で、仙台育英が9回2アウトからの逆転サヨナラで大阪桐蔭を破り、大阪桐蔭の春夏連覇を阻んでいる。
今回も戦力が拮抗しているだけに、過去同様に激戦が繰り広げられるだろう。
チームの紹介
仙台育英(宮城)
昨年、東北勢初の全国制覇を成し遂げた仙台育英。
普通であれば優勝の翌年は谷間の世代になってもおかしくないのだが、今年のチームは昨年以上の戦力を誇ると言えるだろう。
昨年も大活躍した投手陣から高橋・湯田・仁田という3本柱がそのまま残り、攻守のキーマンであった橋本・山田・齋藤陽・尾形ら野手も主力として全国制覇を経験した選手が多数残っている。質・量・経験値ともに申し分のない戦力である。
投手力からみていくと、中心となるのは何と言っても高橋・湯田・仁田の3本柱だ。いずれの投手も150キロ近いストレートを持つ本格派投手である。
しかも球速以上に、この夏に登板した5投手全員のコントロールの良さが際立つ。宮城大会5試合39イニングで四死球5個、甲子園でも2試合で出した四死球は高橋が初戦で与えた3つのみ。
仙台育英史上最強の投手陣というより、高校野球史上でも最強と言える投手陣ではないだろうか。
あえて懸念点をあげるなら、そのコントロールの良さが全国レベルになると裏目に出ている点である。四死球が少ないというのは、逆に言うとストライクを取りに来ているとも言える。
ストライクを取りに来る甘い球を浦和学院・聖光学院ともに狙ってきて、今大会の2試合で被安打25,11失点に繋がっている。
それだけに仙台育英バッテリーとしては初球の入り方に気を付けたい。
一方の打線は宮城大会から好調をキープしている。
特に1番の橋本の初回の出塁がチームに勢いを生んでいる。
橋本・山田・湯浅・齋藤陽と続く上位打線は相手チームにとって脅威だろう。決して振り回さず、コンパクトなスイングで強い打球を飛ばす。
また9番を務める住石が甲子園に来て2試合続けて大活躍をみせている。
9番に住石がいるというのも仙台育英の売りの一つだが、積極的に打順を変える須江監督なので、履正社戦では打順変更があるかもしれない。
強打に注目が集まる仙台育英打線ではあるが、本来このチームの最大の特徴は足を絡めた機動力である。須江監督は履正社戦でも間違いなく足を絡めての攻撃を仕掛けてくるだろう。
それだけに走者の動きにも注目したい。
履正社(大阪)
履正社は鳥取商に6-0、高知中央に10-4で勝利しての3回戦進出となった。
ともに前半からリードを奪い、危なげない試合運びを見せた。
大阪大会決勝で大阪桐蔭に3-0と完勝し、甲子園でも盤石なこの夏の戦いぶりから現在では優勝候補と目されている。
しかしセンバツでは初戦で高知に敗れ、春季大会では4回戦で大商大高に敗北。
2019年の全国制覇したチームに憧れて入学してきた世代だが、力はあるものの大事なところで結果が出ず、悔しい思いをしてきたチームだった。
そして夏の大阪大会でも初戦で、捕手としてチームの中心でもあった4番の坂根が右手の故障で離脱と不安要素が多かった。その逆境の中で勝ち進んできた、という自信がこのチームの最大の武器なのかもしれない。
投手陣の中心はタイプの違うサウスポーのWエースが特徴的だ。
2人を一言で言うなら「柔の増田、剛の福田」といった感じか。
背番号1の増田は130キロ台後半のキレのあるストレートとスライダー、右打者の外角に沈むチェンジアップが特徴的だ。コントロールも良く、非常にテンポが早くチームにリズムを生んできた。
もう一人のエースは150キロ近いストレートが武器の福田。
大阪大会では大阪桐蔭の強力打線に対して3安打完封と完璧な投球を見せた。今大会での球速は140キロ台前半ながら、非常に体重の乗った重そうなストレートには球威を感じた。
控えの2年生右腕・高木も甲子園で2試合登板しており、147キロのストレートで球場をどよめかせた好右腕だ。ただ2回戦の高知中央戦は9回に登板したものの甘く入った球を痛打され、3安打2失点を喫しているのが気がかりではある。
打線は機動力でやや仙台育英に劣るものの、非常にパワフルだ。
チームの中心は1番の西と4番の森田。
特に森田は2試合連続でホームランを放っており、今大会でもスカウトから注目を集めている。
チームとして2回戦では2盗塁を決めてはいるが、チームとして仙台育英ほど積極的に機動力を使うスタイルではない。どちらかと言うと、オーソドックスにどっしりと腰を据えて攻撃するイメージである。
また故障したものの本来チームの4番であった坂根も大阪大会終盤から代打で活躍を見せている。甲子園でも代打でヒットを放っている。
おそらく代打での登場になると思われるが、2回戦ではマスクもかぶっており、先発出場が可能な状態に戻ってきているのかもしれない。
もし主砲の坂根がスタメン復帰するようだと、チームの打力は大幅にアップするはずだ。
守備も安定しており、中でもショート森沢はフットワーク・グラブさばきともに注目したい選手である。
この試合のポイント
両校ともに序盤から得点を奪い、主導権を奪って試合を進めるのが特徴のチームである。甲子園では両チームと2試合とも初回に先制点を奪っている。特に仙台育英はこの夏、相手に1度もリードを許していない。
それだけに投手の立ち上がり、初回の攻防が最大のポイントになるだろう。
トップバッターとして活躍を続ける仙台育英の橋本、履正社の西はともに非常に力のある好打者だ。この二人の初回のバッティングにはぜひ注目したい。
個人的には仙台育英は高橋、履正社は増田のエース同士が先発するのではないかと見ている。
両投手とも本来ならコントロールを乱すタイプではない。ただ序盤から緊迫感の漂う試合になることが予測される為、本来の力を発揮出来るかが大きなカギになるだろう。
そして両チームともに、おそらく継投を考えてると思われる。両監督の継投のタイミングも試合の流れを掴む上で大きなポイントとなるはずだ。
17日、甲子園は浜風が予測される。
仙台育英としては履正社の右打者の森田・坂根の長打には気をつけたい。
履正社としては仙台育英の機動力を警戒するあまり、キャッチャーの配球がストレートに偏ってしまわないよう注意が必要だ。
今大会の優勝争いに大きく影響するのは間違いない大一番。
白熱の好ゲームに期待したい。
甲子園ラボ
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