政府系金融機関より、民間のメーカーで働きたいと思った理由。
リクルーター制度
トヨタにはリクルーター制度で採用されました。リクルーター制度は、堅苦しい面接ではなく、大学の先輩から美味しい食事をご馳走になりながら、仕事の話を聞かせてもらったり、自分がどんな仕事につきたいか、などを話します。
学生の私にとって、5つ星ホテルに入っているレストランに足を踏み入れること自体が感動でした。「ビジネスの世界はお金があるんだな」と思っていました。ドトールやスタバしか行ったことがなかった私にとって、ホテルのラウンジで飲むコーヒー、高い天井、洗練されたホテルマンなど、全てが感動でした。そして、ラッキーな場合はお茶だけではなく、お寿司や高級中華などを食べさせてもらいつつ、先輩のお話を伺いました。
学生時代頑張ったことをエントリーシートに書いて提出するように言われました。私は、英語と答えました。小学校6年生の時、ドイツの学校に、英語もドイツ語もできないまま通い、語学の大切さを痛感した、という話を書きました。大学に入っても、英語の論文を苦戦しながら読んだり、英語に多くの時間を費やしました。気が付けばだいぶ英語が得意になっていました。
政府系金融機関ではなく、トヨタを選んだ理由
国際的な社会貢献に興味があったので、国際協力銀行にも応募し、内定をいただきました。国際協力銀行を選んでいれば、大学で学んだ国際関係論とキャリアに整合性があったと思います。大学の後輩から「就職活動のアドバイスをください」、と言われるのは国際協力銀行の面接対策ばかりで、トヨタのことを聞いてくれる後輩はいませんでした。
他方で、もともと私の夢は外交官でしたが、国家公務員試験に落ちてしまいました。政府系金融機関は、官僚からの天下りが多いです。つまり、国際協力銀行で仮に出世できたとしても、トップは外務省などからの天下りなのかな、と思いました。
その点、トヨタ自動車がフォルクスワーゲンを抜いて世界一の自動車会社になった年でもありました。「鶏頭となるもの、牛後となるなかれ」、ではないですが、外務省に行けなかった、と思いながら政府系で働くより、民間で一からやってみたほうが面白いのかな、と思いました。
「トヨタに入れば、ビジネスを通して日本政府に税金を払い、それが国際貢献に間接的につながる。世界各国で雇用を生み出すトヨタは、発展途上国の持続可能な発展に貢献している」と屁理屈のような理由をつけて、トヨタを選びました。