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25日間フィビヒチャレンジ!24日目

 『画家の習作』Op.56より第3曲「祝福された者たちの踊り」でした。みんな幸せであってほしいと思って選びました。

 で、本文に入る前に
 フィビヒには「クリスマス・イブ」というメロドラマがあります!朗読と器楽伴奏による作品です!いつか上演できればと希望していますので、チェコ語を話せる役者さん、歌手さん、最近もういっそドイツ語でも…と思いつつあるけどチェコ語上演は本当にやってみたいことなので!ご興味おありの方ぜひお声かけを…というかもうお友達からお願いします!楽譜あります!

 さて、『画家の習作』Op.56はフィビヒ最晩年(1898〜99年)に書かれ、美術鑑賞が大好きだったフィビヒが各地の画廊で見た絵画の印象を描いた5曲から成ります。各曲には題材となった絵画があり、それぞれ

 1. 大きな森(ファン・ロイスダール 1628-82) ※曲タイトル「森の中の孤独」
 2. 謝肉祭と四旬節の争い (ブリューゲル 1528-69) ※曲タイトル同じ
 3. 最後の審判(フラ・アンジェリコ 1387-1455) ※本稿の曲
 4. ジュピターとイオ(コレッジョ 1489-1534) ※曲タイトル「イオとジュピター」、全音版では「イオとゼウス」
 5. 庭園の集い(ヴァトー 1684-1721) ※曲タイトル同じ

 となっています。この第3番は、全音「チェコピアノ作品集第2巻[近代]」の解説の中では「死者たちの踊り」とされていますが、恐れながら本稿では私の訳出で「祝福されたものたちの踊り」としました。なんとなくグレゴリオ聖歌に似ている気がして、元の歌何かあるのではと思っているのだけれど全然探し当たらない。求む情報。
 フラ・アンジェリコは最後の審判をいくつか描いているようで、イタリアにもありますがベルリンの絵画館にもあり、この曲のある録音(の、恐らく公式のYoutube)に"Berlin"とだけ書かれておりまして、もしかしてフィビヒが見たのはベルリンの方のなのかしら?と思っています(根拠が弱い。。そしてその後イタリアと書かれている?らしい録音の存在も知った)。

 天使たちが輪になって踊ってるところがそうなのかな?(解説できるほどの造詣がなくてもうほんとごめんなさい)

 ところで
 ちょっと詳しい方なら誰だって思うはずなのです、この絵画、いや名画を題材にしていてなぜ画家の『習作』なのかと…。なんなら画家の名作だし大作、もしかしたら自信作かもしれないわけなのだけど。私も私なりのスキルと辞書を注ぎ込んで調べて調べて調べても習作、Study、なんならEtudeなもので、なんとピティナのピアノ曲事典にこの曲は練習曲としてカテゴライズされていますがそんなわけはない。ラフマニノフの絵画的練習曲みたいなものかと思いたかったけどそんなこと書いてない。日本語で読めるフィビヒのwebとしては最大級、もしかしたら世界最大のフィビヒ関連webズデニェク・フィビヒ図書館さんでは『画家の作品』とされていてもうナイス落としどころ…!!

 イブなのでテンションが上がってしまった。時を戻そう。
 悩みました。かれこれ一年ほど。この曲を私が本番出すとしたらどう解説をつけるかと。そしてこの『習作』の2文字をどう理解したら良いかと。でも答えが出ないまま2020年が暮れようとしていました。

 そんなある日。
 コロナ前に子供がお世話になった遊べる絵本屋さんが開業まもないのに閉店することになり、その絵本屋のオーナーさんが書かれた過去のコラムを読み直していました。そこに安部公房が過去のインタビューで話したという一節が書かれていました:

「小説っていうのは、それ以前の、意味にまだ到達しないある実態を提供すると。で、そこで読者はそれを体験するというもんじゃないかと思うんだな」

 こ れ だ … !

 思わず元の映像に当たりました(NHK「あの人に会いたい」)。そしてこの言葉は恐らく芸術全般に言えること。フィビヒは若い頃から美術が好きで、ライプツィヒ音楽院を出てパリに行った時念願の美術を学んだという話も。いや、描くのを学んだかはわからないけれど。
 画家はフィビヒだ…。見習い画家フィビヒ、名画を音楽で模写して、その絵画的世界を描いてみせようとしたのか。確かに『画家の習作』の5曲は非常に描写的、旋律線があってもその歌はどこか少し遠くにあるか、美しいショーケース(キャンバス)に入っており、しかしそのショーケースの中で生きとし生けるものが確実に息づいており、私(奏者)がエネルギーをかけて歌いにいかないとという風には感じていた。

 それなら『画家の習作』で良いのだ、と、つい最近(私一人だけ)納得しました。
 これをお読みの皆様も各々答えを探してみてくださいね。

 さあ、明日はいよいよ最終日です!予告通り全音の一曲目「ジョフィーン島の夕べ」をお届けします。皆様どうぞ心あたたかなクリスマスをお迎えください!
 それでは、また明日!

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