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望遠鏡を使わないお手軽星空観察の始め方
■星空を眺めて見よう!
夜になると晴天の日は星が輝いています。
月や星を見ると宇宙を身近に感じられますよね。
・人間が見える星の数ってどのくらいあるの?
さて宇宙には数えきれない星があるのですが、その数は地球上にあるすべての砂粒より多いと言われています。
でも、実際に肉眼で見える星には限りがあります。
それは6等星までと言われています。(ちなみに1等星の1/100の明るさが6等星になります。数値1等級違うと2.5倍差です。)
その数は
1等星 21 (厳密には-1等星2、0等星8、1等星11)
2等星 68
3等星 183
4等星 585
5等星 1858
6等星 5503
1~6等星の合計8218個です。(南半球からしか見えない星も含んでいます。北半球では4300個ぐらいです。)
時間の経過を考慮しない一度で見えるのはその1/4ぐらいでしょうか?
案外少ないと思われますか?
でも、これ以降は数倍ずつ増えていきます。
(以下は天体望遠鏡などで観察可能)
7等星 16000
8等星 43000
9等星 12万
~17等星 1600万
~20等星 7億1000万
というようになります。
地球上にある可視光で観察できる天体望遠鏡では30等星弱ぐらいまで見えるそうです。
(ハワイにある口径8.2mの日本の『すばる望遠鏡』でも27等星までだそうです。)
ちなみに観測可能な宇宙には90垓個以上の星があるそうです。
・都会で見える星は?
何千という星が見えると言われても都会ではそんな数の星が肉眼で見られません。それは光害(ひかりがい)といって、私たちが暮らす街の光で、空が明るくなり、星が見えづらくなるからです。
都会の駅周辺の商業地では2等星もあやしかったりします。東京の住宅地なら夜中は3等星ぐらいまででしょうか?もう少し郊外なら4等星まで見えることがあります。天の川が見える山奥や島しょ部などは5~6等星まで見えます。
まだ電灯が普及する150年前はオイルやろうそくの灯りだけだったので、どこでも6等星まで見えたかも知れませんね。
■星空に興味を持ったら、まず肉眼で見よう!
一番お手軽なのは望遠鏡や双眼鏡を使わず肉眼で星を見ることです。
●星がよく見える条件とは
・360°見渡せる開けた場所。
(公園や河原など)
・月明りのない新月期
(新月の夜は都会でも星がよく見えます。)
・日没1時間30分後~日の出1時間前
(街明かりが消える午前0〜3時がベスト)
・天気が快晴で雲のないとき
・湿度が低いとき
・空の透明度の高いとき(春先より秋~冬の方がよく見える)
・近くに街灯や強い光源のない暗い場所。
・眼を暗順応させる。(瞳孔を開かせる)
(15分ぐらい暗い場所で眼を慣らしましょう。)
●星座早見盤を買ってみよう!
星座早見盤があるとさらに楽しめます。
オススメは下記のプラスチック製のスターディスクです。
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百円ショップでも紙製のものが売っています。
●おすすめ星座アプリ
Andorid/iPhone共通
・『星と宇宙-AR星座早見盤)』無料(画面下部にバーナー広告有り)
・『Stellarium(ステラリウム)』無料(画面広告無し)
・『星座早見』 無料(広告一切無し)
Andoridのみ
・Google『SKYマップ』無料(広告一切無し)
スマホの星座アプリを頼りにいろいろな星座や星を眺めて楽しみましょう。1ヶ月も毎日眺めているとだいぶ星がわかるようになります。人工衛星軌道アプリを使えばISS(国際宇宙ステーション)などが見つけられます。流れ星は20~30分空を眺めていると見られることがあります。
●惑星を見つけてみよう!
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肉眼で見える惑星は水星、金星、火星、木星、土星の5つ
内惑星の水星と金星は地球より太陽に近い場所を回っているので、日の出直前か日没直後の1~2時間ぐらいしか見ることが出来ません。
惑星は黄道(太陽の通り道)しか通らないので、見つけやすいです。夏は空の低い位置(冬の太陽の通り道と同じ角度)、冬は空の高い位置(夏の太陽の通り道と同じ角度)を通ります。
太陽系の惑星は太陽を中心にほぼ同一平面上に並んでいます。地上からだと円弧状に見える。それが黄道(こうどう)です。
天王星と海王星は地球から遠くにあるので、小さくて暗いので、肉眼で見えません。
惑星で明るい順だと金星>木星≧火星>土星>水星になります。(金星、木星、火星は1等星より明るいのですぐ見つけられる。)
太陽系の惑星は瞬きが少なく見えるか、瞬かないように見えるので区別がつきやすいです。
●1等星の名前と位置を覚えよう!
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日本から見える15個の1等星をすべて覚えましょう!(南半球でしか見られない6個を加えると全天で21個の1等星がある。)
(福島県いわき市以南の太平洋側の水平線が見える高い場所や海沿いからだと16個目のカノープスが見られることがある。東京だと水平線からの最大離角2°、沖縄本島だと11°)
(冬)ベテルギウス(オリオン座)、リゲル(オリオン座)、アルデバラン(おうし座)、カペラ(ぎょしゃ座)、ポルックス(ふたご座)、プロキオン(こいぬ座)、シリウス(おおいぬ座)
(春)レグルス(しし座)、スピカ(おとめ座)、アークトゥルス(うしかい座)
(夏)アンタレス(さそり座)、アルタイル(わし座)、ベガ(こと座)、デネブ(はくちょう座)
(秋)フォーマルファウト(みなみのうお座)
※ 太字の星は特に明るくて見つけやすい1等星。
秋~冬の時期は一晩で15個中14個(アンタレス以外)の1等星を見ることができる。
天頂付近かそれより北を通るカペラ、アークトゥルス、ポルックス、デネブ、ベガは長い時間夜空にあるので、最初に覚えておくといいでしょう。
●見つけやすい星座の名前や星の並びを覚えよう!
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あと、季節ごとに代表的な星座も覚えるとその星座から他の星座が辿れるようになります。
(冬)オリオン座、ぎょしゃ座、冬のダイヤモンド
(春)北斗七星(おおぐま座)、しし座、春の大曲線
(夏)はくちょう座、さそり座、夏の大三角
(秋)カシオペア座、アンドロメダ座、秋の四辺形(ペガスス座)
※特に太字の季節ごとに有名な星の並びを最初に覚えましょう!
※星座では、冬に天頂よりやや南を通る三ツ星が特徴のオリオン座と夏の天頂より北を通る十字の形が特徴のはくちょう座は見つけやすいので覚えておきましょう。天頂より北にあるカシオペア座と北斗七星は必ずどちらかは夜空に有るので目印になります。
北極星(こぐま座の2等星ポラリス)はほぼ地球の自転軸の方角にあるので、一年中同じ場所(観測地の緯度と同じ角度)をほとんど動きません。
■スマホやデジタル一眼カメラで星座を撮ってみよう!
肉眼で見るだけでなく、是非、スマホや一眼カメラで星座の写真を撮ってみてください。
●スマホの星空撮影アプリ
以下は星空の写真を複数枚撮影したものを加算平均合成(暗い天体を浮き上がらせて、画面のノイズを減らす効果がある)する星空撮影アプリです。
Andorid
・夜撮カメラ(無料制限有、300円)
・GooglePixelシリーズ標準カメラアプリ(夜景モードにして三脚にスマホを固定するとスマホが感知して自動的に星空撮影モードになります。)
iPhone
・星撮りカメラくん2(無料)
・星撮りカメラさん2(680円)
(上記アプリを使わなくてもスマホの標準カメラアプリの夜景モード等でもある程度、星空は撮れます。)
スマホと三脚、三脚用スマホホルダーの3点が必要です。
三脚はアマゾンで2~4千円ぐらいのもので充分です。
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Bluetoothのシャッターリモコンがあれば尚いいです。
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スマホホルダーはちょっと高価ですが金属製でネジ止め式のUlanziのST-02Sが使いやすいです。
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無ければ百円ショップで買えるものでとりあえず大丈夫かも?(最近では上記のスマホ用三脚のようにオマケに付いていることも多いです。)
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(画面を拡大して探してみてくださいね。)
●デジタル一眼カメラでの星空撮影方法。
デジタル一眼カメラ(レフレックス/ミラーレス)はキットレンズや標準レンズでも大丈夫です。もし明るい単焦点レンズがあれば尚いいです。
広角レンズがあれば広い範囲の星空が撮れます。
50mm以下の焦点距離のレンズを使用。三脚も必須です。
撮り方はピントはマニュアルにして無限遠∞にピントを合わせます。(正確にピントを合わせるには、ライブビュー画面から最大に拡大表示しながら、フォーカスリングを回して、星が一番小さくなったところがピントの合っている場所です。)
露出はマニュアル(M)に設定し、感度をISO1600~ISO6400ぐらいで設定。絞りは開放絞り(Fの一番小さい数値)か一段絞った(数値が約1.4倍)ぐらいにして、シャッター速度をおおよそ『200÷レンズの35mm換算焦点距離』以下に設定する。(例えばAPS-Cサイズのカメラでレンズの焦点距離が18mmなら200÷(18×1.5)=7.4≒8秒)(フルサイズカメラで14mmなら200÷14=14.2秒≒15秒)
これは、長秒露光している間に星が地球の自転で1分間に15′(1/4°)の角度で動いてしまうので、シャッター速度は上記の計算した秒数以下でないと星が伸びてしまう。望遠レンズだと1~2秒ぐらいが限界です。(北極星に近いほど若干の余裕があります。)
30秒以上の露光や85mm以上の望遠レンズで撮るなら地球の自転(日周運動)に合わせて回転し、星を追尾するポータブル赤道儀が必要です。
さらに、本格的な天体写真を撮るなら大きな超望遠レンズも搭載できる耐荷重の大きい2軸赤道儀が必須です。
星雲などの発する赤外域の光をセンサーに感光させるためにセンサー前面に装着されている赤外カットフィルターを取り除く天体改造をすると星雲がよく写ります。(カメラを天体改造すると通常の写真の色がおかしくなります。)(天体専用CMOSカメラを使う方法もあります。)(無改造でもフジフイルムやペンタックス、シグマのカメラは比較的hα領域が写りやすいです。)
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あと、レーリーズコードやシャッターリモコンなどがあればシャッターを押したときのブレを抑えられます。ない場合はセルフタイマーを5秒か10秒に設定して撮影してください。
星が写りにくくなる原因の街明かり(光害)をある程度軽減して、明るい星ほど、より大きくなるようににじませるkenkoの『スターリーナイトプロソフトン』フィルターがあるとさらに綺麗に星座が撮れます。
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(6枚ぐらいの画像を加算平均合成しています。横線が何本かあるのは人工衛星の軌跡です。)
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■星空写真に星座線を引いてみよう!
スマホなどで星座写真撮ったら、その画像に本やネットの星座の画像などを参考に自分で星座線を引いてみましょう。星の名前とか入れるといいかもです。
これ凄く勉強になります。私はこの方法で星の名前や星座を覚えました。
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(下の方が白っぽいのは光害の影響です。)
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(高倍率ズームレンズの広角側なので周辺減光が激しい)
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■星空をさらに楽しむ道具
●単眼鏡や安価な双眼鏡を買ってみましょう。
実際に肉眼で観察することから始めるなら、最初はアマゾンで2~4千円台の安い10×40(10倍で口径40mmという意味)ぐらいの単眼鏡でもかまいません。
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4千円台なら安価な双眼鏡も買えてしまいます。
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口径は40mm以上で、倍率は10倍以下のものが星見に最適です。口径が大きいほど暗い星も見えます。倍率は10倍を超えると手ブレしてかえって星が見にくいです。なるべく口径が大きくて、倍率の低いものほど星や星座は見やすいです。ズーム式は暗いので星空観察には使えませんので絶対買わないでください。
もし手ブレして見にくい場合は三脚に載せて観察してください。
双眼鏡を三脚につける場合はビノホルダーが必要です。
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双眼鏡について詳しくは下記の記事をご参照ください。
●単眼鏡や双眼鏡で色々な天体を覗いてみよう!
先ずは一番近くの天体の月を観察してみましょう。
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単眼鏡や双眼鏡で星団や星の並びを眺めるととっても綺麗です。
オススメの星団はプレアデス星団((すばる)(おうし座)やペルセウス座α星散開星団、二重星団ℎーχ(ペルセウス座)、プレセペ星団(かに座)、ヒアデス星団(おうし座)、ベレニケの髪の毛(かみのけ座)など
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さそり座〜いて座~たて座〜わし座〜こぎつね座〜はくちょう座~ケフェウス座~とかげ座〜カシオペア座~ペルセウス座~ぎょしゃ座~ふたご座~いっかくじゅう座〜とも座の天の川の中を辿るのも綺麗です。
星雲や銀河の場所を探してみましょう。
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秋の四辺形の一番明るいアルフェラッツから辿ると見つけやすいでしょう。アンドロメダ座には、3つの2等星のα(アルファ)星のアルフェラッツ、β(ベータ)星のミラク、γ(ガンマ)星の二重星で有名なアルマクがほぼ等間隔に並んでいます。その真ん中のβ(ベータ)星のミラクからカシオペア座に向かって4等星のμ(ミュー)星(37番星)から4等星のν(ニュー)星(35番星)と辿り、その右にある32番星(5等星)と結んだ線の間の真ん中上(カシオペア座方向)に有ります。
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自分のお気に入りの星空の場所を見つけて見ましょう!