電視観望・天体写真撮影システムの機材選び③~鏡筒編
■鏡筒について
写真撮影にも使えるアポクロマートの屈折鏡筒で、レデューサー込みで焦点距離350mm以下の短焦点鏡筒を中心に選んでいます。2枚玉鏡筒は周辺画像に収差が残るのでレデューサーなどの補正レンズが必須です。小さな天体などを撮る場合はレデューサーを外して使います。出来ればフラットナーレンズがあれば尚いいです。長焦点距離が欲しい場合はエクステンダーを付けるか、更に長い屈折鏡筒やカセグレン鏡筒を選ぶと良いです。大口径の写真鏡筒なら反射鏡筒を選択するのも有りです。その場合、赤道儀はやや大きめのものが必要です。
電視観望ではレデューサー込みでF値(焦点距離÷口径)が5.6より明るい(数値が小さい)鏡筒が望ましい。
※以下は全てレデューサー込みの焦点距離と価格が基準になります。
◆入門用小型超短焦点望遠鏡(D50mm以下、FL250mm以下、10万円以下)
(カメラのセンサーサイズが1/2.8型〜1型向き)
安価で軽量な電視観望セットで使われる鏡筒です。
天体写真撮影を考慮しない純粋に電視観望のみの場合は表示するディスプレイが現在ではフルHDの200万画素が標準なのでセンサーも200万画素あれば足ります。それ以上の画素数は転送に時間がかかるだけになります。従って、安価な1/2.8型200万画素のセンサーが最適なカメラになり、それに適した超短焦点の鏡筒がこのクラスの口径50mm以下の鏡筒になります。カメラも鏡筒もどちらも安価で買えるメリットがありますね。50mm口径ぐらいならちょっとした天体写真撮影にも使えます。
ASKAR FMA135
(D30mmFL135mmF4.5) (6枚玉内ED1枚)
本体重量0.37Kg 39,800円
小さい安価な1/2.8型〜1/1.8型センサーのカメラと組み合わせられる焦点距離の短い30mm口径のFMA135が一番無難です。たった3cmの口径だけどEDレンズを含む3枚玉で、レデューサー内蔵(レンズ3枚)の高画質な鏡筒です。
BORG 36ED電視観望セット
(D36mmFL200mmF5.6)(2枚玉内ED2枚)
本体重量270g 49,368円
コボーグ36EDの電視観望版です。軽くてお手頃な値段です。
さらにレデューサー0.85×DG【7885】( 31,790円)を付けてFL170mmF4.7で使っている人もいます。
ASKAR FMA180pro
(D40mmFL180mmF4.5)(6枚玉内ED2枚)
本体重量0.8Kg 58,899円
このクラスで一番おすすめな鏡筒です。小型40mm口径ながらEDレンズ2枚も使っている凄いヤツです。レデューサーも内蔵しているので、これだけで1/2.8型~1型くらいのセンサーサイズのカメラに組み合わせられます。私のおすすめレンズです。
SharpStar 50EDP
(D50mmFL275mmF5.5)(3枚玉内ED2枚)
本体重量1Kg 56,800円
専用レデューサー×0.84倍(231mmF4.62) 17,992円
もう少し予算を上積みできるなら、50mm口径のこのSharpStar 50EDPⅲがいいでしょう。小型センサーのカメラでもバッチリです。
ASKAR FMA230
(D50mmFL275mmF5.5)(3枚玉内ED2枚)
本体重量1.5Kg 95,101円
付属レデューサー0.84(230mmF4.6)
このクラスで2番目におすすなのが、やや高価ですが、画質の評価の高いFMA230です。
ASKARブランドですが鏡筒のレンズ構成や焦点距離、レデューサーなど、ほぼSharpStar 50EDPと同じです。(元々ASKARはSharpStarのブランド企業です。)
外見やフォーカス方式に違いがあります。(ヘリコイド式とラック&ピニオン式)
2万円ぐらい差がありますが、見た目はこっちの方がカッコイイ。アルカスイスとファインダーアリミゾになっている取っ手が便利。
SkyWatcher EVOGuide50EDⅡ
(D50mmFL242mmF4.8) (2枚玉内ED1枚)
本体重量1Kg 38,500円
専用フラットナー 10,890円
安価なシステムを組むならEVOGuide50EDⅡもいいでしょう。
50mm口径で小さ目の天体を狙うにもいい焦点距離になります。周辺画像が若干流れるので、フラットナーは必須です。
◆小型短焦点望遠鏡(D55〜65mm、FL320mm以下、20万円以下)
(カメラのセンサーサイズが1/2.8型〜4/3向き)
電視観望セットではよく使われる口径の鏡筒です。
電視観望にも天体写真撮影にも使えます。
SharpStar 61EDPHⅲ
(D61mmFL360mmF5.9)(3枚玉内ED2枚)
本体重量1.92Kg 81,000円
専用レデューサー×0.75倍(270mmF4.4) 39,000円
このクラスで一番おすすめは、コストパフォーマンスのいいSharpStar 61EDPⅲです。レデューサー付けるとF4.4とそこそこ明るいレンズになり暗い天体にも対応できます。
ASKAR 65PHQ
(D65mmFL416mm F6.45)(5枚玉内ED2枚)
本体重量2.8Kg 130,480円
専用レデューサー×0.75倍(FL312mmF4.8) 33,111円
次に、おすすめなのはこの65PHQです。豪華なレンズ構成の高画質鏡筒で、眼視も考慮された設計になっています。
ZWO FF65APO
(D65mmFL416mmF6.4)(5枚玉内ED2枚)
本体重量2.8Kg 136,200円
専用レデューサー×0.75倍(312mmF4.8) 31,700円
上のAskarの65PHQと同じ仕様です。(OEMのようです。)
機材をZWOで揃えるならこれもありです。
WilliamOptics Z61MarkⅡ
(D61mmFL360mmF5.9)(2枚玉内ED2枚)
本体重量2.2Kg 93,500円
専用レデューサー×0.8倍(288mmF4.7) 48,400円
WilliamOpticsのZ61MarkⅡも手に入れやすい価格で売れ筋です。
ASKAR SQA55
(D55mmFL264mmF4.8)(5枚玉内SD1枚ED1枚)
本体重量2.2Kg 127,759円
ASKARの最新鏡筒のSQA55も気になります。
FL55SSの対抗馬になりそうですね。
ASKAR FRA300Pro
(D60mmFL300mmF5)(5枚玉内ED1枚)
本体重量3.1Kg 136,225円
定番のFRA300Proもやや重いですが、十分考慮されるべき機種です。
BORG 55FL
(D55mmFL250mmF4.5)(2枚玉内FL2枚)
本体重量0.5Kg 91,630円
専用レデューサー0.8×DGQ【7880】(200mmF3.6) 72,930円
2枚玉フローライトの高画質の超短焦点鏡筒です。専用レデューサーでF3.6と明るい鏡筒になります。1/2.8型や1/1.8型センサーサイズのカメラにもピッタリです。
TAKAHASHI FS-60CP
(D60mmFL355mmF5.9)(2枚玉内フローライト2枚)
本体重量1.4Kg 105,600円
専用レデューサー×0.65倍(230mmF3.8) 93,500円
Vixen FL55SS
(D55mmFL300mmF5.5)(2枚玉内フローライト2枚)
本体重量1.9Kg 101,000円
専用レデューサー×0.79倍(237mmF4.3) 84,700円
日本のメーカーのTAKAHASHIとVIXENの鏡筒もコストパフォーマンスはいまひとつですが、使用している人も多く、フローライトレンズを使った安定の画質を誇っています。
タカハシ FCT-65D
(D65mmFL400mmF6.2)(3枚玉内フローライト)
本体重量1.9Kg 156,200円+鏡筒バンド19,800円
専用レデューサー 65D FUレデューサー0.65×(FL260mmF4) 93,500 円
FC/FS マルチフラットナー1.04× 24,200円
タカハシの最新鏡筒です。レデューサー入れると20万円以上になってしまいますが、タカハシの3枚玉フローライトアポクロマートが20万円以下で買える鏡筒です。中心像はタカハシの高級機種のTOAやTSAに引けを取らないらしいです。専用レデューサー付けるとF4の明るさになります。ライバルのビクセンVSD70SS(50万円)にどこまで迫るか?
◆短焦点望遠鏡(D70mm以上、FL400mm以下、30万円以下)
(カメラのセンサーサイズが1/1.8型〜APS-C向き)
天体写真撮影を始めるにはこのクラスの鏡筒をおすすめします。このクラスの鏡筒だと分解能も高く、精細な画像が撮れますので、カメラもそれなりに画素数がある機種がいいでしょう。大きく重いので、架台のバランスも気を付けましょう。
ASKAR 71F
(D71mmFL490mmF6.9) (4枚玉内ED1枚)
本体重量3Kg 101,459円
専用レデューサー×0.75倍(367.5mmF5.2) 39,600円
コストパフォーマンスでこのクラスの一番おすすめです。
Askarの新製品で、受注生産品です。REDCAT71の対抗馬でしょうか?レデューサー付けたときのスペックはほぼ同じくらいですね。こちらはレデューサー込みの値段でもREDCAT71のほぼ半額になります。
フルサイズセンサー対応の安価な70mmクラス鏡筒です。眼視観望も考慮された明るさを抑えめにした無理のない設計は好感が持てます。但し、電視観望では少しでも明るいレンズの方が短時間で済むので有利ですが。1/1.2型以上のセンサーサイズのカメラで使いたいですね。
ASKAR FRA400
(D72mmFL400mmF5.6)(5枚玉内ED2枚)
本体重量2.6Kg 184,570円
専用レデューサー×0.7倍(280mmF3.9) 36,757円
次点は、軽量でレデューサー使用時にF3.9とこのクラスの屈折鏡筒では一番明るい部類になり、暗い天体にも強いです。
その場合、焦点距離も短いので、1/1.8型センサーでも充分使えます。
WilliamOptics REDCAT71
(D71mmFL348mmF4.9)(4枚玉内ED1枚)
本体重量3.7Kg 275,000円
少々値段お高めですが、このREDCAT71も大流行しましたので十分検討の価値があります。性能は申し分ないです。赤猫好きの方はどうぞ。1/1.2型以上のセンサーサイズのカメラがおすすめです。
BORG 72F
(D72mmFL400mmF5.6)(2枚玉内FL2枚)
本体重量1.06Kg 195,800円
専用レデューサー0.72×DGQ【7872】(FL288mmF4) 72,930円
マルチフラットナー1.08×DG【7108】(FL432mmF6) 50,490円
ボーグの72mm口径鏡筒でレデューサー付けるとこのクラスでは単焦点の288mmで、F4の明るい鏡筒になります。
1/1.8型センサーでも充分使えます。フラットナー付けると小さい天体にも使えそうです。
◆中焦点鏡筒 口径80mm以上、焦点距離500~1000mm、30万円以下
(カメラのセンサーサイズが1/1.2型〜フルサイズ向き)
暗い空の場所で小さ目の天体を大きく写すにはこの位の口径と焦点距離があった方がいいです。但し、F値が暗いので電視観望ではレデューサーが必須です。
本格的に天体写真を撮るにはこのクラスをおすすめします。
尚、レデューサーを外せば、眼視観望にも向く鏡筒になります。
このクラスは重量が5Kg以上の鏡筒が多いので、赤道儀も耐荷重8Kg以上のやや大きめのものが必要です。
ASKAR V
80mmレンズユニット装着時(D80mmFL500mmF6.2)(3枚玉内ED2枚) 本体重量3.9Kg(補正レンズ込み)
60mmレンズユニット装着時(D60mmFL360mmF6.0)(3枚玉内ED2枚) 本体重量3.2Kg(補正レンズ込み)
243,267円(レデューサー(×0.75)、フラットナー(×1.0)、エクステンダー(×1.2)付属)
このクラスで一番おすすめな鏡筒セットです。
口径80mmと60mmの2つのレンズユニットとレデューサー、フラットナー、エクステンダーという3つの専用補正レンズと組み合わせて6つの焦点距離(270mmF4.5〜600mmF7.5)を楽しめる鏡筒セット。(3種類の補正レンズを組み合わせると60mmレンズユニットでは270mmF4.5、360mmF6.0、446mmF7.43、80mmレンズユニットでは384mmF4.8、495mmF6.18、600mmF7.5の合計6通りの焦点距離での撮影が可能)
システマティックなところは、まるでBORGのような望遠鏡です。
勿論、どちらのレンズユニットもEDレンズ2枚使った3枚玉アポクロマートで画質も優秀です。
1/2.8型〜フルサイズまで様々なセンサーサイズのカメラを組み合わせられる。但し80mmレンズユニットにすると耐荷重5Kgの赤道儀では冷却式カメラやオートガイダー一式、ASIAIRなどで0.1〜0.5Kgぐらい重量超過になります。
ASKAR 80PHQ
(D80mmFL600mm F7.5)(4枚玉内ED2枚)
本体重量4.7Kg 212,990円
専用レデューサー×0.76倍(FL456mmF5.7) 40,893円
ED2枚使った3枚玉+フラットナー1枚の構成の80mm口径の高画質な鏡筒です。レデューサー込みでもF値やや暗いですが、眼視にも使用できます。
ZWOのFF80APOはこの鏡筒のOEMっぽいですね。
このPHQシリーズには107mm、130mm、151mmと更に大口径のラインナップが有ります。
SkyWatcher ESPRIT80ED
(D80mmFL400mmF5)(3枚玉内ED1枚)
本体重量4Kg 専用フラットナー付属 244,200円
SkyWatcherのフラグシップ鏡筒のシリーズの中で30万円以下で買える鏡筒です。口径80mmにしてはF5と明るい鏡筒の部類です。専用フラットナーを使えば四隅の星像までキッチリ写ります。専用のレデューサーの発売はないようです。口径50mmのファインダーも付属。眼視にも撮影にも向く鏡筒です。センサーサイズ1/1.2型でも十分使えます。
ESPRITシリーズには更に大口径の100mm、120mm、150mmの機種が有ります。
ASKAR 103APO
(D103mmFL700mmF6.8)(3枚玉ED1枚)
本体重量5.5Kg 173,518円
専用レデューサー×0.8倍(FL560mmF5.4) 29,376円
このクラスで2番目におすすめな鏡筒です。
100 mmクラスの3枚玉では破格の鏡筒です。
Z4まで予算出せない人はレデューサー込みでも10万円安いこちらはいかが?
1型以上のセンサーサイズのカメラで使いたいですね。
ASKAR 120APO
(D120mmFL840mmF7)(3枚玉ED1枚)
本体重量6.5Kg 222,122円
専用レデューサー×0.8倍(FL672mmF5.6) 32,444円
大口径120mmでこの値段で買えるのは凄い!
4/3以上のセンサーサイズのカメラが望ましい。
だけど、あえて1/2.8型センサーで5000mm相当の超望遠撮影も楽しそう。
このシリーズは140mm、185mm、203mmというさらに大口径レンズもラインナップされています。203mmはもはや天文台に据え置きされている屈折鏡筒レベルです。
SHRPSTAR Z4
(D100mmFL550mmF5.5)(6枚玉内ED2枚)
本体重量5.6Kg 309,848円
30万円を1万円オーバーですが、10cmの大口径で明るい鏡筒の名機なので、一応掲載しておきます。予算のある人はこれ買って幸せになりましょう!(笑)
(紹介しているおすすめ鏡筒がほぼほぼSharpstarとASKAR(Sharpstarのブランド企業)の製品になってしまっています。特にASKARはコスパのいい魅力的な新しい鏡筒どんどん出して攻めています。)