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ノルアドレナリン枯渇時代を切り抜けるアイディア
世間ではCOVID-19を感染症法の5類に引き下げようという話題が出て,なんだがコロナ禍も終わりのような錯覚を受けるが,医療業界ではむしろ状況は深刻化している。
医療逼迫はさまざまな形で影響があり,救急集中治療分野では必須医薬品とも言えるノルアドレナリンの出荷制限の事態に陥っている。
ノルアドレナリンは代表的な昇圧薬の一つで,ショックを相手にするわれわれの業界ではなくてはならない医薬品だ。特に
急性アシドーシスとの闘い
救急では様々な場面で pH が酸性に傾いたアシドーシスに出くわす。
ほとんどの場面でアシドーシスはわれわれの攻撃目標ではない。言い換えれば,それはわれわれが倒すべき「病因」の本体ではなく,あくまで仮の姿なのだ。
しかし,「ほとんどの場面」でそうではあるが,一部では介入すべき対象になることがある。この見極めが一つポイントになる。
手を出すべきではないアシドーシス医師国家試験の勉強をしていると,
先生!輸血でカルシウム補正しなくていいんですか?
研修医「先生,輸血したらカルシウム補正しなくていいんですか?前にいた病院では輸血◯単位につきカルシウム製剤をルーチンで投与していました」
ワイ「おやおやおや、素晴らしい。いい質問ですね」
できる研修医からの質問をいただいたので今日はこのトピックスを見ていきましょう。この疑問は自分もかつて抱いたことのあるものでした。
なぜ輸血で低カルシウム血症がおこるのかそもそもなぜ輸血をすると低カルシウム血
解熱薬飲んでもアウトカム変わらないって言ったやつ,出てこいよぉぉ!!
先日,COVID-19 のワクチン 4 回目を接種しました。もう 4 回目かあ,もうそろそろワクチン慣れして欲しいなあ〜というところなのですが,自分は毎回副反応で発熱しています。今回も接種翌日はほとんど使いものにならないくらいの症状でした。
一方,世の中に目を向けてみると実際のコロナ感染も相まって代表的な解熱薬のアセトアミノフェンが枯渇し,別系統の解熱薬のロキソプロフェンも出荷制限がかかるほど解
SNSに見るプレゼンテーションの学び
あらゆる職種でプレゼンテーション能力が問われるこの時代。どうやって勉強していけば良いのだろう?今日は身近な SNS を題材にプレゼンテーションのヒントを探ってみた。
聴衆を 3 つに分けるプレゼンテーションをする際には,聴衆がどれだけ自分に食いついているかで 3 つのグループに分ける。
レベル1 聴きたくて集まっている
レベル2 興味はあるが根気を伴う
レベル3 無理やり集められた
この 3
初診患者を救急外来で看取る難しさ
症例(架空):
呼吸不全からの意識障害で家族から救急要請となった症例。当院の受診歴はない。保存的な加療では改善が見られず,人工呼吸管理でないと命の危険があった。
しかし搬送時から家族は何もしてくれるなとの訴えがあった。家族が言うには患者は呼吸器の持病があり,以前から人工呼吸器の装着は希望していなかったと。しかし,院内にはそれを証明する客観的記録は残っていない。かかりつけの開業医は救急車を呼ぶように
なぜ医者は失敗を認めないのか
医者になって思うことのは,「医者ってなかなか失敗を認めないなあ」ということ。院内で重大な結果に繋がりかねない出来事や状況について報告するインシデントレポートという制度がある。これについて医師の報告率はいつも低い。これはなぜなのだろうか。
今回,『失敗の科学』という本の紹介も兼ねて記事を書いた。失敗を有効活用して極限まで重大インシデントを減らせる組織もあれば,隠蔽して有効活用できない組織もある。そ
まだ花粉症で消耗してるの?
自分も花粉症なのだが,実は自分のセルフメディケーションが間違いだらけだったことがわかった。あらためてエビデンスを調べ直して実践したら,驚くほどコントロール良好だったのでここにご紹介する。
とくに花粉症の「飲み薬」だけで頑張ってるひとはいませんか?そういうヒトにぜひ読んでいただきたい。
※重症の方は無理せず医療機関を受診しましょう。
※本記事は成人男性を念頭に置いて記述しています。
※本記事は特
ネット環境に無知な不動産業界
年度末が迫ってきました。引っ越しシーズンです。
新たな新居をもとめてこの時期は物件探しが活発化します。
いまやインターネット環境は水,電気に並ぶ重要インフラと言えます。さらにコロナ禍でテレワークが加速し,ネットの重要性は増すばかりです。しかし不動産業界はあまりにインターネットの知識が不足しており,まともな物件探しも困難な状況です。「高速インターネット」や「光ファイバー」と書かれている一見良さそ
警察に証拠提供を求められたら
病院にはいろいろなヒトが患者さんとなってやってくる。
病気や自分の不注意で怪我をしたヒト,動物に噛まれたヒト,交通事故にあったヒト…
なかには刑事事件の被疑者になってしまった患者さんを診ることもあります。
たとえば交通事故で意識障害の鑑別のために採取した血中エタノール濃度。後にこれを「飲酒運転の証拠」として提出を求められることがあるかも知れません。他害事例などでは,血中薬物濃度や尿中薬物検査