ep.5 スウェーデンの性教育施設ツアー①~性暴力被害者を支援する温かな居場所~
皆さんこんにちは😁Airiです。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか??
実は、私はこの2月末に留学を終え、なんとなんと帰国して来てしまいました笑!!!😂(時の流れが早すぎる😭!!)
留学中、しっかりとアウトプットに時間を割けなかったことが心残りでありまして、帰国した今でもまだまだ書きたいことが山のようにある状態です。なので今は日本におりますが、引き続きこのnoteで北欧で得た学びのシェアを行っていきたいと思います💪💪
どうかお付き合いくださればと思います!!
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さてさて…さる2023年10月に話はさかのぼります。
コペンハーゲンから夜行バスに10時間ほど乗って、スウェーデンのストックホルムに滞在してきました!
さてさて、今回の滞在の目的は・・・
「性教育やSRHRに関連する団体や施設の見学」です!!
スウェーデンは、世界経済フォーラムが発行するジェンダーギャップ指数では毎年上位にランクインしていたり、2018年に性的同意法(明確な同意がなければ性犯罪であるとする法律、通称yes means yes法)が成立するなど、SRHR平等を牽引してきた存在です。性教育関連の施策も数多く施されており、まさに「性教育の先進国」とも言える国の1つなのです。
今回、私が日本で所属するNPO法人ピルコン(中高生など若年層向けに性教育を普及するために活動している団体)の代表メンバーがヨーロッパの性教育事情を視察しに来るため、そこに運良く一緒に同行させてもらうことになりました!
(私はストックホルムだけご一緒しましたが、メンバー達はそのほかにもロンドン、アムステルダム、ヘルシンキをまわっておりました)
この旅で得たスウェーデンの”性教育のいま”を、この記事で皆さんにシェアしていけたらと思います!!(大作になりそうなので、①~④に分けてお届けします!)
それではパート①、スタート~🚩
1000Möjligheter
どんな場所?
1日目、最初に訪れたのは、若者のためのシェルターを運営するボランティア団体「1000Möjligheter」(1000モイリイェター、英語にすると"1000 opportunities"=1000の機会)です。ここは、2010年に設立されたスウェーデンで最初の若者のためのシェルターであり、主に男子から女子への暴力をなくすための活動を行っています。
団体の目標は、「すべての若者に健全な人間関係を築く能力を提供すること」であり、そのためにデート・バイオレンス対策を重点分野のひとつに掲げています。この活動の対象は12歳から22歳の若者で、被害者・加害者・双方の友人に支援を提供しているとのことでした。
施設の雰囲気
街中のビルの一角に構えられたオフィスのなかに当団体のあるフロアがあります。中に入っていくとあたたかな光があふれ、観葉植物があったりかわいらしいソファやインテリアが並んだりと、素敵な空間が広がっていました。
後ほどお話の中でも伺ったのですが、インテリアデザインには特にこだわっているということで、相談に来る方々にとって「homeのようにくつろげるような空間」であることを重視しているそうです。こんな場所なら、確かに「何度も来たい」と思えるような雰囲気でした。
個人的に「公的な暴力被害相談所」と聞くと、パイプ椅子、タイルの床、折りたたみテーブル・・・の冷たい場所を(私の場合は)連想してしまいがちだなぁ・・・と思っていたぶん、この空間作りを目の当たりしたとき、予想以上に「空間デザインの持つ力は大きいのかも」と感じました。この発見は私にとってはとても目からウロコでした👀。
活動内容
お話をうかがったのはKarin Johanssonさん。両親サポート部門の責任者であり、心理学者として勤務されています。
さて、1000Möjligheterで行っている活動内容は以下の通りだということでした。
●Trauma-center:トラウマ・センター
PTSD等の症状を抱える方へのサポート、支援、治療を行う。
●Chat helpline:チャット相談
毎日20時~22時の間、匿名で相談を受け付けており、この団体に所属している心理カウンセラーによって運営されている。
●Support-contact:支援への接続
チャットを経由してボランティアによって実際的なサポートへの接続が行われており、匿名で利用することが出来る。ボランティアへの教育制度はきちんと備えられており、対応の質のチェックも行っているとのこと。
●Legal support:法的支援
団体に所属する法律家とのコラボレーションを通して支援が行われている。
活動の説明を聞く中で印象に残ったのは、この施設に直接相談にくる方も多い中で、「どのように相談にくる人たちに安全・安心を感じて貰うか」ということ。
Karinさん曰く・・・
の3つを大切にしているとのことでした。
この施設には、被害者だけでなく加害者の立場のひとも相談に来られるとのこと。どちらにしても、1000Möjligheterではこれらの姿勢を徹底することにより、相談者さんからの信頼を得たり、ここに相談に来ることのハードルを下げていたりするのだなと学びました。
驚いたこと:「ほとんどの暴力は男性から女性へ」
お話を聞いている中で驚いたことは、暴力のほとんどは「男性から女性に行われるもの」であると断定されており、被害者のメインは女の子であるというお話があったことです。
これを聞いて、「えっっ、、、💦」と私は思いました。
私のみならず、共に訪問した仲間達は少し戸惑っていた様子でした。というのも、私達はいつも活動する上で「インクルーシブであること」を大切にしており、「女性だけで無く男性も被害に遭う」「女性も加害者になりうる」ということを含めて、全ての場合を想定して伝えるようにしてきていたからです。それは紛れもない事実なのであるし、「多様性」社会に必要な姿勢だと、私も感じていました。
なので、「男性から女性への暴力がメインである」と断定してしまうの・・・怖いなぁ(ーー;)と思ったのです。
もちろん、Karinさんも「男女関係なく被害者にも加害者にもなりうるし、これは複雑な問題である」と言及されていました。
しかし重要なのは「リサーチベースであること」だということを強調しておっしゃっていました。ファクトに基づくと、被害者のマジョリティは明確に「男の子から暴力を受ける女の子」である。この事実を受け止めなければいけないし、同時に、加害者となりやすい男の子たちも「家父長制のシステムに組み込まれている」のであり、そこに「暴力とポルノの関係が存在する」とおっしゃっていました。
ここで1000MöjligheterのWebサイトから引用した文言を記載します。
もちろんスウェーデンでも、こうした目標を掲げる団体に「男性差別だ」というような主旨を主張するバックラッシュは存在しているそうです。
しかし、世の中で起こっている現象に真摯に向き合い、その根本的な改善を目指す1000Möjligheterの取り組みは論理的かつ力強いものであり、支援業務を越えて構造的なジェンダー不平等の問題に取り組む視野の大きさが非常に印象に残りました。
\\もっと知りたい方はこちら!//
▶団体ホームページ
▶ヘルシーな関係性構築のための支援サイト
このサイトからチャット相談が出来たり、「自分とパートナーとの関係性はヘルシー?」かどうかをチェックできるクイズがあったりします。
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というわけで・・・以上パート①でした!いかがでしたでしょうか??👀
スウェーデンでの今回の視察は2日間だけだったのですが、本当に学ぶことが多くて濃すぎる時間でした。
メンバーと、移動中の電車やバスのなかでも「さっきの話はこうだった」「あれは確かに驚いた」「日本と比べてこうだよね」など、話が止まらず頭をフル回転させていたのを覚えています。
そんな盛りだくさんのスウェーデンツアーはパート④まで続く予定なので、皆さん首を長くして(?)お待ちください!
それではまた~✨
Vi ses 🥰(デンマーク語で「またね!」)