色合いへのこだわりと《旅のガラス》第6回 創作編
色合いにこだわって十数年ガラスを触ってきた筆者。今月、今までの経験則とは外れたところで素敵な色合いを見つけたぞ。今回は色合いについても話していこう。
旅をしてレポートを書き、作品にする旅のガラス企画、創作編の始まりだ。
今回の旅編はこちら。
早速今回の作品を見ていこう。
今回の作品「あの空の続き」「シャンパンナイトビュー」
上の3点は「あの空の続き」というタイトルをつけた作品だ。2種類の色ガラスを使って制作した。きれいな色合いを作ろうとがんばった作品たちだ。
一番下の作品は「シャンパンナイトビュー」この作品については後で触れよう。
色合いの黄金律
「あの空の続き」この作品はシンプルにグラデーションのきれいなガラスペンを作りたいと制作したものだ。
今回、2種類の色ガラスを組み合わせてグラデーションを作った。
色について語らせていただこう。
色というのは合うものと合わないものがある。混ざるときれいに見えるものもあれば、2色が対立して統一性がなくなるものもある。
色それぞれに個性があると筆者は感じている。
読者のみなさまは色の三原色というものをご存知だろうか? この世にある全ての色はシアン(青に近い色)、マゼンタ(赤紫に近い色)、イエロー(黄色)の3色をもとにしているという。赤い絵の具と青い絵の具を混ぜれば紫の絵の具が作れる。黄と青を混ぜれば緑。赤と黄でオレンジ。色の三原色を混ぜることで全ての色を表現できるというわけだ。
カラープリンターもこの3色のインクを搭載していろんな色を出している。
2色のグラデーションを作る際に、合う色には一定の法則がある。
・薄いものと濃いものの組み合わせ。青と水色、赤とピンクなど。
・同系色の組み合わせ。青と緑、赤とオレンジなど近い色。
この組み合わせは目にやさしく入ってくる。ケンカのしない安定した色の組み合わせだ。
「あの空の続き」でも写真の下2点は上記のルールを考えて作っている。
写真1番上の作品については後で触れる。
写真中央の作品は青とピンク。これは同系色であり薄い色と濃い色の組み合わせだ。2色が混ざって紫にも見える。
写真下の作品は赤と黄色。これも同じで2色が混ざってオレンジにも見える。
この法則に基づいて使う色ガラスを決めることが多い。透明ガラスは光の三原色という、色の三原色とはまた違うルールも入ってくるが、ややこしいのでその辺は感覚で作っている。
新しい色の組み合わせ
写真1番上のガラスペンを見ていこう。
この色合いは厄介だ。水色に近い青緑と赤紫のグラデーションだ。
濃淡は良い。だが、上記のルールに入らない色合いだ。同系色ではない。
色相環という色の三原色をもとにした図がある。これで考えるとわかりやすいが少し離れた位置にある色の組み合わせだ。離れすぎると目がチカチカする色合いになる。
これは組み合わせるのに勇気がいる。そして、元になった2種類の色ガラスを見ても完成が想像しにくい色だった。
作ってみると美しいグラデーションができた。筆者は感動した。今まで作ってこなかった色合いなので目新しくもあった。大喜びでガラスペンに仕立てて写真を撮った。
もう1種のガラスペン「シャンパンナイトビュー」を見ていこう。
イメージが降りてきた「シャンパンナイトビュー」
読者のみなさまは「シャンパンナイトビュー」というタイトルを見てどんな様子を思い浮かべるだろうか。
ナイトビューは夜景という意味である。
筆者は旅から帰ってきて何を作ろうかと作業机のたくさんの色ガラスを見ていた。シャンパン色のガラスを見ているとイメージが降りてきた。
ビルの高層階のレストランでカップルがグラスに注がれたシャンパンを鳴らして乾杯している。窓の外にはきらびやかな都市の夜景が広がっている。
これだ。そう思ってシャンパン色のガラスと夜色のガラスをグラデーションした。夜色のガラスを軸の後ろにしてそこに夜景をイメージするような造形をしよう。
都市の夜景は飛行場の誘導ライトのように整列し、今回の旅に影響されたデザインになった。
落ち着いた中に可愛さも見られるような素敵なガラスペンになったと思う。
今回の感想
色合い的に美しい「あの空の続き」とイメージを形にした「シャンパンナイトビュー」が作れておおむね満足している。これからペン先を研磨して仕上げてからBASEにアップするぞ。
販売は10/26(土)21:00から開始予定だ。
《旅のガラス》第6回 創作編はここまでとなる。読んでくれてありがとう。
また次回にお会いしましょう!
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