
「複業・副業は、会社に言わないでいい!?」という理由と対策を考える
社員「え・・、この複業・副業はダメなんですか・・、収入は不定期・単発で、雇用されるわけではないんです・・」
上司「いや、何というかね・・本業に差し支えるし・・、敢えて聞かれたら、推奨しないっていうか、ダメっていうか・・」
社員「え?結局ダメなんですか?」
上司「いや、まあ、敢えて言うならダメっていうか・・」

こんなやり取りが頻繁に行われる時代にもなりました。
「敢えて言うなら?駄目?」 (・∀・) ・・・
許可が出ないなら、聞かなきゃよかった・・
複業・副業がばれただけ損で、上司の監視も厳しくなった気がする。でも、会社は、複業・副業は必ず、許可を得るように言われて、言わないわけにもいかないし・・
こんな悩みも多くないでしょうか?
でも、そもそも、なぜ会社に言うの?そんなこといったら、子供のPTA活動とか、交通費で1000円の謝礼が出るボランティアも許可を得るの?
会社を絡ませないで、活動はできないの?
これについて、解説していきましょう。
※以下は個人の見解・まとめであり、気になる点は、「法律の専門家」へご確認ください。
本当に複業・副業を会社に言わなければならないのか?を考える

まず、なぜ、会社に申告しなければならないのか?を考えましょう。
2018年に厚生労働省が出した「モデル就業規則」を見てみましょう。これはいわゆる就業規則のモデルであり、状況によりますが、これよりも不利な就業規則であれば、違法となる可能性があります。

これで整理しますと
会社に所定の届け出するのは「2.前項の業務に従事するにあたっては」の部分で、「1.他の会社等の業務に従事する」時と読めます。
え?だとすると・・
基本、他の「会社等」の業務に従事しなければ(※等ってありますが・・ここが解釈微妙)禁止もされていないし、会社にいちいち申告しなくていいってこととも読めます。
※等とあるので、会社ではなく、NPOや公共団体もあり得ますが、少なくとも個人が主体的に行うものは含まれないと読めそうです。
よって、多くの会社では
・許可なく他の会社の雇用されてはいけない
・許可なく他の会社の役員に就任してはいけない
上記2点を就業規則禁止としていて、これは許可を得ないとダメと読めます。これはわかります。
一方で、個人が主体的に行う
・株や不動産収入、ビットコイン売却益
・コンテンツ収入(Youtubeとかブログ)
・フリーマーケットで(商品やサービス)販売する。
(ココナラ、ストアカなど)
・ボランティア(収入を得ない活動 ※交通費・経費ぐらいは可)
・単発の講演収入、執筆収入
・ポイ活
↑これは、禁止もされていない(そもそも1項「会社等の業務」ではない)し、会社に許可を得なくていいのではという解釈はありえます。
何度も言いますが「ほかの会社等の業務」ではないですから。
上記まで申告・報告せよというなら
・子供のPTA活動もちゃんと報告せよ
・土日に社会人サークルに入るなら報告せよ
・地域ボランティアするなら、許可をとれ
と「余計なお世話では」と言われるプライベートなものまで会社報告ということだって考えれ、これらはおかしいと明らかにわかります。
(余談ですが、昭和時代は、上記もすべて許可制である会社もありました)
もし、「モデル就業規則よりうちは厳しいんですよ・・」という会社は、そもそも、その就業規則に違法性がないかも疑うべきでしょう。そもそも、モデル規則よりも、条件を悪くする会社で勤務していていいのか?も再考が必要でしょう。
なぜ、敢えてダメというのか?

冒頭のやり取りにある
「敢えて言うならダメ」というケースですが、
もしかしたら法律上では、明らかに認められるべき副業だとわかっているのですが、許可を出してしまうと、本業に集中しないと困るし、人事部への報告も面倒なので、認めないということが考えられます(それで、訴えられることもないだろうと思われている)
でも、明らかに法的に禁止できないので「敢えて言えば」「個人的には」と濁しているのかもしれません。
そもそも、昭和時代は、会社以外の活動(旅行、ボランティア、恋愛)はすべて、滞りなく上司に報告という軍隊みたいな時代もあったので、副業なんて認めたくないという上司世代の気持ち的な部分もあるかもしれません。
上記を踏まえた対策7選

上記の解釈を前提とすると、以下のようなものであれば、禁止もされていないし(そもそも禁止する権限は会社にない)し、会社許可制でなくてもいいと解釈もできます。
以下、対策7選(会社を絡ませず活動)を挙げていきましょう。
1.雇用はされない

雇用をされるのは、労務提供上の支障になる可能性もあり、労働時間通算や、社会保険の手続きなど煩雑になるので、あまりお勧めしません。ダブル雇用は、指揮命令される仕事が二つになり、やりがいという意味でも、大きくないと推察され、よほどの事情でない限り、避けたほうが良いと思われます。
2.競合他社での業務はしない

競合他社は、上記モデル就業規則にもあるように、協業により当該企業の利益を損ねる可能性もあるので、禁止されるリスクが高く、敢えて、競合を選ぶのは、避けましょう。
3.守秘義務には気を付ける

守秘義務には注意しましょう。勝手に、どちらかの企業の話を一方でしてしまうと、トラブルになる可能性があり、即刻副業が禁止になるリスクがあります。注意していても、片方の企業の書類を持ち出したり、データを紛失してしまうと大きな問題になります。秘密保持には十分注意して臨みましょう。
4.可能な限り、個人でできる仕事にする(ココナラ、メルカリ等C to C)

個人で完結する主にC to C系(ココナラなど)の仕事にする方が賢明です。あるいは、ブログや、動画などのコンテンツ収入です。雇用もされていないし、大規模な業務契約も必要なく、手離れの良い仕事でもあります。うまく軌道に乗れば、アルバイトするよりも収入が得られることもあります(アルバイトは、雇用になるので注意が必要です)
5.トラブルを起こさない

副業先でトラブルを起こすと、本業にも連絡が来て、名誉や信用失墜ということで、処罰される可能性があります。忙しすぎて、本業を休みがちとなるとこれも、「労務提供上の支障」とされて、許可制にされてしまう可能性もあります。副業こそ、面倒なトラブルを起こさないように注意したいところです。
6.確定申告は注意する(住民税を普通徴収にする、申告漏れしない)

会社側に知れる一つの原因として、確定申告時に住民税の通知(増額される)からばれるというものです。申告時に住民税は普通徴収にするなどして、会社側への通知をブロックしておきましょう。もちろん、多少の金額の違いなど、いちいち気にしない可能性もあるので、これで必ず企業側が気づくわけでもありません。
7.絶対、会社の誰にも言わない

最後がとても大事になります。会社に申告せずとも、ついつい同僚に自慢して、「こんな仕事してる」といってしまいたくなるものです。これは絶対に避けましょう。どこから、どう会社内で伝わるかはわかりません。言っても百害あって一利なしです。
まとめ

会社に届け出たほうが良いものもありますが、そもそも、全て報告しないといけないと、過度なプレッシャーを背負うこともないでしょう。そもそも、副業をすると=悪いことをするぐらいの意識を持つ方もいますが、国は副業を推奨していて、わざわざモデル就業規則まで改定しています。
それを、阻止したい企業に屈することなく、守るべきルールは守って副業して満てばよいのではないでしょうか?
※上記は個人の見解・まとめであり、気になる部分は法律の専門家へご確認ください。
<以下が大変参考になります>
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