精神的に滅入っている部下への対処方法が知りたい。
*top画像はロンドン塔からみたロンドン橋です。日本では灼熱の8月でしたが、ロンドンは涼しくて世界中からの観光客で賑わってました。
企業研修では様々な質問をされます。最近は、特にメンタルヘルスに関する質問が多いように思います。管理職は健康的な職場環境を管理する役割があります。メンタルヘルスの観点からも部下の精神的なフォローも今では必須になってきています。その中で、部下に対してお悩みの方からの質問とそれに対する私なりの考えを紹介します。
Q,精神的に滅入っている部下への対処方法が知りたい。
A,精神的に滅入ってしまう原因は複合的です。身体的、精神的な病が根底にある場合もあるし、家族の問題もあるかもしれないし、仕事の体制、難易度
や人間関係の悩み、能力の限界、または、質問されている上司が原因の可能性もあります。他人の心の問題に関わる場合、医療や心理の訓練を受けていない
素人が必要以上に深入りすると、さらに状況を悪化させてしまうこともある、と理解していてください。
私たちが忘れがちなポイントは相手との距離感です。相手の問題と自分の役割とを「線引き」をして、自分の身を守ることです。共倒れは往々にしてあります。
大人の場合は、滅入っている本人が自ら解決しないといけない問題(ものの見方や価値観の狭さ)なども多々あります。
私たちはあくまでも治療者(ケアする人)の立場ではなく、「職場での普段の様子を近くで見ている人」としての立場と役割を忘れずに、まずは、何が普段と違う状況なのかをチェックしてみてください。
上司がやるべきこと
基本は、程度に応じて「仕事から離れて心身を休ませる」です。安心して仕事ができる環境を作ること、また、必要に応じて関係各所に手配することは上司しかできません。
部下のメンタル悪化を防ぐことを上司の役割と責任とするのが、職場のメンタルヘルスの考え方です。職場での部下の健康に配慮するのは法的にも管理職の役割です。そのため管理職にはメンタルヘルスの教育が義務付けられています。もし、管理職ではないけど部下がいる立場の人であれば、職場内での研修が必須であります。管理職権限が質問者にない場合は、直属の上司に相談してみてください。
アプローチの視点
(仕事上)(見かけ上)からのアプローチが自然です。この視点から見て、いつもと違う場合は声かけや様子を注意深く見ることが必要になってきます。
(仕事上)
・勤怠の乱れ
・勤務態度の変化
・ミスが増える
・言葉づかいの荒さ
(見かけ上)
・顔色、表情が悪い
・急激に太る、もしくは痩せる
・感情の起伏が激しくなった(普段穏やかな人が声を荒げる)
・姿勢が悪くなる(明らかに様子がおかしい)
具体的には、こんな声がけが考えられるでしょう。
・程度に応じて必要な部署につなぐ。「体調が悪いなら相談室や病院などに相談してみたら?」
・客観的に見てどう変化しているかを相手に具体的に指摘する。その上でどうするかを本人と話し合う。
「最近、勤怠が乱れているようだけど、何かあったの?」
「いつもはこんなミスしないのに、最近、立て続けに何回もミスしてるようだけど、どうしたの?」
愚痴を聞いてあげることの弊害
「しっかりしろよ!頑張れよ!」と飲みにでも誘って愚痴を聞いてあげたり、励ましたくなるかもしれません。その時はお互いにすっきりするかもしれません。・・が、長期的な視野に立つと、健康的な解決策にはならないようです。くだを巻くような愚痴大会ではなく、冷静な状態で、相手が望むのなら、気持ちや現在の状況を聞いてあげる時間をとるのはOKです。
ポイントは、相手の様子をよく観察して、相手を尊重した声がけや態度を意識することです。この場合は、一次感情のラベルづけ」ができます。「仕事のスケジュールがうまくいかなくてモヤモヤして〜」と話すのだったら、「それは心配だよね〜」など、言語化してあげることができるとなお良いです。
言語化されると言っている本人も気づかなかった気持ちが客観的にわかります。口に出して言うことでスッキリしつつも問題から距離が取れるようになります。モヤモヤからの脱出には感情の言語化が何よりも必要です。
まとめ
精神的に滅入っている部下への対処には、以下の3つを意識してみましょう。
管理職の役割を意識する。自分にはどこまでできるのか、限度を見極める。
距離感を持ちながらもの相手を尊重する対処にはどんなことがあるのか、声がけ、普段の様子のチェックなどやれることを考えてみる。
早めに専門家とのつながりをもっておく。
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きょうはここまで。お読みいただきありがとうございます。
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