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【西心録】心の五線譜

▲昨今CDの売上が落ちていると聞く。インターネットのストリーミングサービスや曲をCDよりも遥かに安い値段で簡単にネットで買えるというのが一因らしい。たしかに便利になったがCDを買ってラジカセやパソコンで音楽を流して楽しだことのある人間からすると、1つの画面で全てが完結してしまうのには、少し寂しさもある。

▲関取花さんというシンガーソングライターをご存知だろうか?一時期"ひがみソングの女王"などと呼ばれテレビ番組にも呼ばれたこともある彼女の書く歌詞は人の心をモチーフにしたものが多い。「もしも僕に」という曲では自分の人生や親からの教えを、これから生まれてくるかもしれない我が子への思いに乗せて歌われている。

▲彼女がパーソナリティーを務めるラジオで新しいアルバムの発売を聞いた時、そういえば高校生からCDを買っていないことに気付いた。そして同時に新品のCDを開ける時の何物にも代えがたい独特の高揚感があることを思い出した。僕は数年ぶりにCDショップに足を運んだ。家に帰り開けてみると、スカイブルーを基調にした歌詞カードには様々な工夫が施され、イヤホンではなくスピーカーから聞こえてくる彼女の圧倒的な歌声に体全体で癒された。僕は久しぶりの開封の儀を心から楽しんでいた。

▲家にいることが何よりの感染防止手段と推奨されている今だからこそ、イヤホンから流れてくる音ではなく、体全体で音楽そのものを愉しんでみるのはどうだろうか?CDにしかついていない歌詞カードを見つめ、書かれている歌詞の世界に思いを馳せてみてほしい。きっと何も制限がかかっていない、自由な景色が広がっているはずだ。そして実際にそうなる日を信じて。

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