初めてのピーマン
恥ずかしながら昨年初めて自分でピーマンを買った。小さい頃から苦手な野菜、ピーマン。唐辛子やししとうなどと形が似ているが、独特の苦味がどうも好きになれなかった。
大人になっても嫌いな野菜は多いが、加工すれば食べられるものも増えてきた。例えばトマト。びっくりドンキーに行った時、ハンバーグについてきたミニトマトを昔付き合っていた彼女に食べてもらったこともあるくらい苦手。
生は今でも食べられないが、トマト缶を買ってきて自家製トマトソースに凝りだした。しかもトマトソースをパスタにかけて食べている。数年前ならまるで考えられない。
そういえばここ数年で「まるで考えられない」という、ポジティブなこと(もちろんネガティブなこともある)をたくさん経験してきた。
まさか野球を続けてる自分に、海外から国の代表チームのコーチの話が来るとは思わなかったし、広告代理店の中で働くなんて思ってもみなかった。
「めっちゃきれい…」って一目惚れしそうになるくらいの美人さんと同じ職場で働くとも思ってなかった。
もちろんピーマンをスーパーから買ってきて、家の中に入れるなんて実家の家族ですら予想出来なかったと思う。
先日の晩御飯のメニューは回鍋肉。キャベツ、ピーマン、人参、白ネギ、豚肉を甜麺醤などの調味料と和えて炒める。甜麺醤の味が濃いからか、ピーマンを口にしてからすぐ他の具材を食べるとなんてことはない。
果たしてそれが克服と言っていいのか分からないが、昔はあんなに毛嫌いしていたピーマンも、今ではピーマンまるごと1つ入れないと何か物足りない。
そんなピーマンは必ず宮崎県産を選ぶ。尊敬している人の出身だから、という理由だが、手始めはなんでもいい。その人のお陰でピーマンを食べられるようになったのなら素晴らしいこと。
スーパーでは日本各地の旬の食材がたくさん売られている。安かろうが、高かろうが、今コロナ禍でどこにでも行けない時期だからこそ、その土地のものを大事に食べみてはどうだろうか。
手元にはピーマンが4つ残っている。折角あるなら、今まで通り細かく刻んで冷凍するのはもったいない。ピーマンの中にひき肉を入れて焼いたり、カレーに入れたり…
考えられなかったことが出来るようになったりしたように、あんなに苦手なピーマンが少しずつ食べられているようになったからこそ、大きさも少しずつ大きくしながら旬の味覚を味わえたら。