日系企業も出展、仏 『デジタルビデオゲーム・フェスティバル』 現地レポート
今週末 4月21日(金)・22日(土)、フランスのポルト・ドゥ・ヴェルサイユ見本市会場で日系企業 Nintendo や iiyama をはじめとした世界中のデジタル・ゲームメーカー協賛による『デジタルビデオゲーム・フェスティバル』が開催されました。
会場の隣には日本でもお馴染みのパン屋 PAUL があり、看板には Café de l'innovation (革新のカフェ) とあります。見本市の後で、ここで革新的なアイディアや出会いが生まれるのかもしれない。もちろん、会場内のカフェや休憩スペース、無料トイレも利用できます。
acer
会場を入るとすぐに見えてきたのは、真っ赤なフェラーリでの F1レースを体験出来るゲーム。シーンに応じてフェラーリの車体が揺れて臨場感が味わえる。acer (エイサー)はかつてフェラーリとコラボレーションしたノートパソコンも販売している。
フランスでは観光客のインスタ映えがしそうなクラシックなメリーゴーランドはよく見かけるのだが、日本のゲームセンターやカラオケのような、地元の若者の有り余るエネルギーや働く人のストレスを気軽に発散する娯楽施設が少ないように見える。
この日は、この機会に最新のF1レースのゲーム機を試そうと、地元の青年たちが行列を作り、いつになく目を輝かせているようでした。
Nintendo
会場を進んでいくと、Nintendo Switch ニンテンドースイッチの赤いブースに目に留まる。会場内に『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『マリオストライカーズ』などソフトウェアごとに Nintendo Switch のゲーム機のブースが設置され、幅広い年代の多くの参加者を飽きさせる事なく楽しませていた。
Nintendo Switch のブースは会場の三割ほどあり、什器や掛物などブースづくりに最も力を入れているように見えた。ロゴを立てた完成度が高い什器のデザインも会場に華を添え、ブランディングにも一躍かっていると思われる。
星のカービィは特にフランスの小さな子供達にも大人気の様子。フランスでもビデオゲームに眉をひそめる親御さんは多いが、このように、親子で一緒に体験する機会があれば、ビデオゲームに対しての安心感を得る事にもつながるのではないだろうか。
カメラを搭載してライブ感が楽しめる『マリオカート ライブ』を体験できるスペースもありました。フランスでは犬や猫を飼っている人が多いので、ペットと一緒に遊べたら更に楽しそうだ。
Hogwarts Legacy
『Hogwarts Legacy (ホグワーツ・レガシー)』は、ハリー・ポッターの小説で登場した世界を舞台とするロールプレイングゲーム。人物も背景もかなりリアルに描写されていて、ハリー・ポッターの小説の世界観に浸れそうだ。米Warner Bros から販売。
Discovery Tour
『ディスカバリーツアー:ヴァイキングの時代』は教育コンテンツに位置づけられており、全年齢を対象にしている。ヴァイキングとアングロサクソンの世界の歴史や伝統、偉人について、体験を通じてより深く学べる機会を提供する。大昔、パリのセーヌ川にもヴァイキングが来ていたそうで、現地の人にとってはヴァイキングはより身近な存在なのだろう。しかし欧州にいるとラテンとアングロサクソンの比較をよく耳にする。
しかし、よく何かと『教育』をいうワードが差別化で用いられているように感じるのだが、かつて、ビデオゲームを悪用して遠隔で孤独な青年達を洗脳してリアルな戦闘地へ送り込もうとするという犯罪が社会問題になっただけに、社会の中でビデオゲームのネガティブな面を払拭して、存在意義を肯定するワード『教育』等は必要なのかもしれない。
iiyama
iiyama のRGBの鮮やかな色で光るゲーミングPCやヘッドフォンも多くの参加者の目を惹きつけていた。このSF風の非現実感が演出できる近未来的でクールなデザインは、特に青年達に人気なようだ。ビデオゲームを更に楽しむ方法として、ハードウェアやアクセサリのデザインも重要になってくる。
ASUS
ASUS(エイスース)のブースでは、主に小学校高学年か中学生位の子供達がノートパソコンを試用していた。仏家電量販店でもASUSのノートパソコンはhpやLenovoと並んでリーズナブルな価格帯でよく見かけます。
eスポーツゲームを体験できるコーナーでは、多くの人々がサッカーゲームに熱中していた。フランスではサッカーは特に観戦する事に人気がある。日本の野球のような存在。
ドローンゲーム
かわいい小さいドローンを試用したゲームで、障害物を乗り越えて、的の中央に着地させる。ドローンの操縦の練習にもなりそうです。
JUST DANCE
Just Dance(ジャストダンス)は好きな音楽と画面に表示される動きに合わせて、誰もが気軽にダンスを楽しむことができるゲーム。この日はマルーン5の曲にのって参加者がそろってダンスをしていました。ビデオゲームをしない人でも参加が出来て、運動不足解消にもよさそうだ。
Lü
このプロジェクターを使用したボールのゲームも多くの人々が楽しめるゲームだ。ボールを投げて円の中央に当たると点数が入るシンプルなルール。ハードウェアが不要なので導入もしやすそうだ。主に欧米の小学校の体育館などで使用されているようで、体育の授業のDX化にいかがでしょうか。
VR体験
テニスと似たスポーツ『パデル』をVRで行うゲーム。VRの技術によって上下左右を見てもバーチャル空間が広がり、そこでゲームが出来るという全く新しい体験が出来る。今回のイベントではVRを用いた数々のゲームを見かけた。
VRで昔のパリのノートルダム大聖堂をバーチャル&タイムトリップできるコーナーも。最後は気球に乗って大聖堂の屋根からパリの空の旅に出るというバーチャルならではのファンタジックな演出だ。
ローカル住民でもワクワクする体験だが、是非、遠く離れた日本の方や、旅行をするのが難しい方こそ、VR技術で海外旅行を気軽に楽しんで頂きたいと思った。
VRを制作する企業や学校のブースもあり、VRの経験を提供していた。このイベントで初めてVRを体験した参加者も多いのではないだろうか。技術に興味を持ったら即、VRやモーションキャプチャー、機械工学、プログラミングの専門学校にコンタクトが可能。リアルなキッザニアのようだ。もちろんキャリア・ジョブチェンジを検討している大人でも入学可能な学校もある。
イベント
フランス語圏で人気のユーチューバーを招いたトークショーも開催されていた。観衆の多さから彼等の人気のほどがうかがえた。トークショーの他にコスプレのイベントもあり、完成度の高い衣装を身にまとったコスプレイヤーが会場を盛り上げていた。
入場に関して
入場は誰でも無料で入場可能だが、事前にウェブサイトに登録が必要。名前とメールアドレス、入場日を入力して送信すると、QRコードがメールで送られてくる。入場前に、入口で手荷物検査とこのQRコードの確認がありました。
どちらかというと海外メーカーがフランス特にパリ・パリ近郊の住人に向けたローカルなBtoCイベントだと思われるのでWEBサイトはフランス語のみ。
イベント開催の2週間程ほど前から、バス停の横など、街のあちらこちらの広告枠に告知ポスターが掲示され、それで知って来た人々がほとんではないだろうか。デジタルのイベントだが、きっかけは意外とアナログで、ポスターという古典的で不動的な媒体の強みも改めて気が付かされたイベントでした。
編集後記
大昔の絵画を見ても、欧米の絵画は奥行きがあり写実的で、日本の特に浮世絵はフラットでデフォルメされているように、やはり、欧米はリアルに見せかけた世界の中の写実的なキャラクターが売りで、日本はフラットな世界の中の空想的な可愛いキャラクターが売りな傾向があるように見えます。それぞれ魅力がありますね!