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私は『KING OF PRISM』に恋した♡
私が『KING OF PRISM』(以下キンプリ)という作品に初めて触れたのは、2016年の3月。
きっかけはSNSで密やかに、しかし大きな波紋を目にしたのが一番最初。
どうやら「内容はわけわからん(ケツからはちみつ等)だけどなんだか癖になる、電子ド◯ッグのようなアニメ映画だ。とりあえず見に行け」という情報が、チラホラと入ってきていました。
当時の私は、なんとなくの興味を持っていましたが、映画館へ足を運ぶというわけでもなく、時を過ごしていました。
ある時、とある生放送の録画でキンプリの監督の菱田監督からのお願いを目にする機会がありました。
菱田監督が手紙を読み上げるシーンでした。
そこで分かったのは、『プリティーリズム・レインボーライブ』(以下プリリズRL)という女児向けアイドルのTVシリーズアニメ作品の男子バージョンのスピンオフであるということ。
予算が足りなくて、それでもなんとかキンプリを作り上げたこと。
今後も続きを作りたい。しかし上映館数は少ない。
だから、ぜひ映画館に足を運んで下さい。応援して下さい。
淡々と、でもキラキラした美しい目をした監督のお願いを見て、近くの劇場でせっかく上映しているのだから、そして約1時間という短い上映時間だし、応援の意味も込めて、見に行くことにしました。
「行かないと後悔する」と私の野生の勘が言っていました。
声出しオッケー、サイリウムや小物オッケー、コスプレオッケーというハードルが高く思えた、そして今では当たり前となった「応援上映」…は選ばず、通常上映に行きました。
最初はとても軽い気持ちでした。
いざ上映が開始されると、話が進んでいくスピードの速さに置いていかれつつも、歌い踊り飛躍するスタァ達にぐいぐいと引き込まれていきました。
キャラは当時、総勢メインが12人プラスアルファ。それに加えて、同じくらいの人数のサブキャラクター達がどんどん登場していきました。
見終わる頃には、何も考えられない、本当に頭が真っ白でした。思考が停止するという貴重な経験です。
でも謎の感動がありました。
当時、私がSNSに投稿した感想は「何がなんだかよくわからなかったけど、なんか楽しかった気がする」でした。
何が起こったのか、全く言語化出来なかったんです。
元々、セカイ系のアニメが好きな私なので、展開がよく分からないものには慣れていたはずなのに。
考える隙を与えず、キラキラとした煌めきをドバドバと脳内に直接入れられているような、1時間だと見くびっていた私を呪いました。
あっちへこっちへ振り回されて、でも見た後の不思議な多幸感。
私は見てよかったなぁ、と思い、でもその1回きりで再度見に行くということはしませんでした。
その頃の自分は「映画は劇場で1回だけ見るもの」という先入観があったのです。
そう。2作目の『KING OF PRISM PRIDE the HERO』(以下キンプラ)の上映が決まるまでは…。
キンプリの翌年2017年6月にキンプラが公開されるため、キンプリの復習上映と名のついた再上映がありました。
今度は応援上映に行ってみたい!!
私は前回は一人で見に行きましたが、興味を持ってくれそうな友人を誘って、キンプリ応援上映、そして新作キンプラ応援上映の予定を1日に詰め込みました。
その時、生まれて初めてのペンライトを一本買ってみました。
ジョブであったはずのキンプリ応援上映後、2人して劇場を出るまで、無言でした。
道に出るととにかく足がフラフラふわふわして、まっすぐ歩けず、衝撃というか破壊力がすごすぎました。
2人とも感想を言いたい、けど何も出てこない。
通常上映と応援上映はこんなにも違うのか。内容は同じなのに、圧倒される力、周りの統制の取れた声援から受けるエネルギーにすっかり当てられてしまいました。
そして夜に入れておいたキンプラ応援上映。
一回目の応援上映である程度のしきたりを身に着けたので、キンプリよりは若干平和に終了。
そこで感じたのは、もっと応援上映を楽しみたい、もっとストーリーも追えるようになりたい、またあの感動を!!
沼った瞬間でございます。
キンプリシリーズは毎度毎度ロングラン上映をするので、多くて週二回、職場からそのまま新宿へキンプラを見に行く生活が始まりました。もちろん休日にも行きました。
あ、今日行こうかなー、ここの時間空いたから行こうーといった気軽な感じで、生活の一部となっていました。
ペンライトも2本、3本と増えていき、通勤用バッグにはいつも忍ばせていました。
その時は仕事が忙しくて、悩んで、煮詰まっていた時で、キンプラがなければ、私は早々に倒れていたことでしょう。
時々、結局初応援上映を共にした友人も沼り、何度か一緒に行きました。
アニメ自体を観ない親友にも「trfの曲、流れるよ!」と嘘じゃないけど、半分騙した形で連れて行ったこともw
10回以上行っていると言ったら「頭がおかしい」と言われました。ありがとう。
見れば見るほど、メインのキャラクター達だけではなく、彼らを見守る人たち、家族、恋人、敵対している側のキャラクターでさえ、全てが愛おしく感じるようになりました。
アイドル関係は2次元も3次元もハマったことがなかった私でしたので、「箱推し」という全てのキャラ、もしくはグループ全員を推す、という言葉も覚えました。
私は最推しが十王院カケルの、作品全部の箱推しです。
もっと世界観を知りたいとプリリズRLも仕事後や休日を使って、51話を完走。
そしてプリリズRLを見た後に新たな発見があり、頭を整理して、理解したがゆえに号泣することもありました。
未だに家で見直しても泣いてしまいます。
入場者特典が多いキンプリシリーズ。ある時、リアルのライブチケット購入の権利を得る抽選券を頂きました。
なんと一発で当選。
さっそく例の友人に仕事終わりの職場でLINEにて連絡。
キンプリでの主人公ポジションの一条シンくん風に
私「〇〇さんに言いたいことがありまーす!!」
友人「なーにー??」
私「ライブのチケットが当たりましたー!運営さーん!映画館のスタッフさーん!ありがとうございまーす!
〇〇さーん、一緒に行ってくれますかー!?」
友人「ふぁうわあああああ」
応援上映風のこんなやり取りで、県をまたいで、しかも私が生まれ育った幕張でのライブに参加することが決定しました。
参考:応援上映の雰囲気の分かる映像↓
カケルのイメージカラーのオレンジ色の服を揃えて、その頃には痛バッグも作り、キンプラに通いつつ、2017年10月21日、その日を迎えました。
実は同時並行で他のアニメ作品にもハマっていたので、イベントは慣れていました。
しかし、始まってみたらまさかまさかの本気のライブ!
ボイスドラマとか、みんなでちょっとしたゲームをしたり、というものを想像していたので、ヘトヘトになりながら、でも生で聞く歌は全部素敵で、サプライズも大盛り上がり。
気付けば約15回、劇場でキンプラを観ていました。100回超えが普通の世界なのですが、私の人生では最多です。
翌月、11月頭には「東京ではチケットが取りづらいだろう」という発想から、舞台KING OF PRISM、通称ブタキンを見るために大阪旅行を控えていました。2回観た公演はとても煌めいていました。
その後、少し体調を崩して療養する中でも、キンプリ、キンプラのBlu-rayを観て、アルバムを聴いては、元気を貰い続けていました。
そして念願のTVシリーズと、アニメ本編の劇場公開。全て行くことは叶いませんでしたが、初回と、カケル回は見に行くことが出来ました。
その後、プリズムショー(いわゆるライブ)だけを再編集した作品も映画公開されていましたが、体力が戻りきっておらず行くことは出来ませんでした。
2020年2月後半にブタキン2が来て、今度は東京公演へ。私が行った公演後、すぐにコロナの緊急事態宣言が出て残りの公演が中止に。
舞台自体が素晴らしかっただけに、とても悲しかったです。
コロナ禍では、ツイキャスでの応援上映配信も皆と楽しみました。
そして昨年2024年8月にTVシリーズのプリズムショーの再構成プラス撮り下ろし、新曲もある劇場版の舞台挨拶に行き、その後は引越し準備真っ只中の間に3回、計4回行くことが出来ました。
この時は、劇場公開の発表があってすぐにアクセサリー作家の方にイメージを伝えて、カケルイメージのピアスを作成して頂き、着用していきました。
そしてまた今回、新作制作の発表があり、嬉しいという前に、続編が作られることへの安堵がほとんどを占めています。
まだ終わっていない、終われないと私の中での強い思いがあったからです。
何故こんなにも、2017年からの8年間、この作品を愛し続けているのか。
それは、そこには怒涛のような人間ドラマが詰め込まれているからだと思います。
ライバルのトップである法月仁さんに関しても、ただのいじわるで冷酷な人間ではない。
今、そこにあるものには、必ず理由がある。それをしっかりと描いてくれる。これがこの作品の大きな魅力です。
一人残らず、人としての背景が見えてくる。
そして見れば見るほど、理解は深いものとなり、生きた人間と接するかのような気持ちにさせてくれます。
ただ単純に良い人、悪い人、可愛い人、かっこいい人がいない。
生き様をたくさん見せてくれる、それがKING OF PRISMシリーズの真髄だと思います。
ただのアイドルアニメだったら、私はこんなにハマることはなかったでしょう。
人間の良いところも悪いところも弱いところも、否定せずに見せてくれるから、誰も恨まない、恨めないんです。
セリフで説明しなくても、表情や動きでこちらにキャラクター達が何を考えているのか、どんな人格かを想像させる余地がある。
そしてサラリと言っている短い一言のセリフの裏に、深い意味を持っていると気づくこともあり、それについても考えることが出来る。
何度観ても新しい発見があって、想像が膨らむ。
監督自身が関わった?かどうかは詳しくはないですが、たくさんのヒット作のオマージュが散りばめられているのも観てて楽しいところ。
一番最初にハッキリと気付いたのは、キンプラでの仁科カヅキさんのセリフ「超面白かっこいいぜ!」…ワタル!?となりました。
他にもエヴァオマージュや、バトル戦の時に、右と左での位置でどっちが勝っているか、といった古典的な映像表現が使われているのも良いですね。
楽曲提供がavexなので、trfの曲の男性バージョンがたくさん聞けるのもお気に入り。
まさか令和になって『survival dAnce 〜no no cry more〜』でペンライト振りながらウォウウォウするとは思いませんでしたw
あとはエンターテイメントとしての楽しさ。
応援上映という形式を取り、行くたびにエリート(キンプリのファン)達のペンライト芸が違っていたり、個性的な小道具を使っていたり、キャラクター登場時の口上なんてのもあったり。
地域によっても、それこそ劇場によっても応援が違うと聞きます。
昨年の応援上映の時に、隣のお姉さんが愛知から東京に来たと仰ってたので「応援のセリフ、違いますよね?」と聞いたら「もう、全然違いますね!」と教えてくれたのが印象的です。
公開初期に行くときの応援と、中盤、終盤と行くと、応援しているエリート達のセリフも変わる。
周りと一緒に声を合わせて応援していると、不思議なゾーンのようなところに入ってしまいます。
どこからが作品で、現実なのか、分からなくなります。
もちろん、ちょっと外れたなーと思う日もあります。
とにかく大声で、キャラクターのセリフを遮るような方もたまにですがいます。
逆に男性が言うからこそ笑える合いの手、「そんな発想があったか!」と感心してしまうような合いの手にもたくさん遭遇しました。
それをまるっと含めての「ライブ感」がいいと思います。
どんなに好きなアーティストのライブに行っても、例えば目の前に大きい人がいて見づらかったとか、くしゃみ連発しちゃった人がいたりして、気になることってありませんか?
毎回違う。同じ映像なのに、毎回違うということに意味があります。
たまたま舞台挨拶で出会った、ファンの中では有名なエリートの男性とのエピソードがあります。
隣同士で、終了後、少し会話を交わし、彼はご自身の推しの実家で配っていそうなタオルをくれました。
おそらくご自分でデザインをして、業者に発注して作った自分だけの推しグッズ。設定に忠実。
出会ったファンの方々にお渡ししているというお話でした。
きっと、ライトなオタクの方にはそれが「気持ち悪い」のでしょう。
でも、私は小さい時から絵に描いたような、皆さんが想像した時に最初に思い浮かべるようなオタクのファンの方が、自主的にサイン会の列を作ったり、誘導しているのを見てきました。
みんなで作り上げていくんだ、良い時間にするんだという気概を持った方々の背中をずっと追いかけてきた、そういう世代です。
キンプリシリーズは、まだ、こんなにも強い熱量で応援しているオタク達と出会えるんだと、ハッとさせられる貴重な場でもあります。
劇場のスタッフの方も、今でこそQRコードでの入場となりましたが、以前はペンでチケットに丸を書いて渡してくれていた頃。
一人だけハートマークを書いてくれたスタッフさんがいて、すごくすごく感動しました。私の宝物です。
私は制作して下さるスタッフの方々、キャストのみなさん、キャラクター、歌、作品だけではなく、キンプリに関わる方全てを尊敬しているんだと思います。
みんなまとめて、恋した♡
一作目ではプリリズRLの声優さんを使うことも出来ない予算の中で、作品を重ねるごとにキャストの方々やプリズムショーがどんどん豪華になっていく、育っていく姿は見ていてとても嬉しいです。
そして、話やクオリティは決して劣ったりしない。それは脚本兼監督のこだわりなんだと思います。
出会った頃より私も年を取り、たくさんは行けなくなるけど、その分、新しい若いエリート達が入ってきて、盛り上げてくれることも期待しています。
初見の方の分のチケット代を、既存ファンの方がSNSなどで払う文化も受け継いでいって欲しいですね!
最後に、私がKING OF PRISMシリーズに出会って変わったこと。
しんどいことがあっても、辛い気持ちになっても、キンプリの曲を聴いたり、本編を見ながら、一人で合いの手を入れれば、頭が空っぽになって、リフレッシュできる安全地帯を得たこと。
キンプリに触れている間は、現実社会のことは考えることが出来なくなるので、元気を貰えるだけではなく、ガス抜きにもなっています。
前向きな現実逃避をすることで、現実に向き直せるきっかけ、スイッチがキンプリの世界ですね。
もうキンプリが私の中になかった世界のことが思い出せません。
いや、ちょっと待って、この記事で何度私は記憶喪失になってるんでしょうかw
これからも、思考と記憶をかなぐり捨てて、KING OF PRISMを推していきます!
キンプリはいいぞ。