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サラリーマンとお金について深く理解できる一冊『サラ金の歴史』

いやー。面白い本に出会いました!

noteをしていると他のクリエイターさんが紹介している本をついつい読んでしまいます。

今回はlionさんの記事から!

ご紹介されていた中にこんな本がありました。

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お金大好きな私は使命感にかられ、ついついポチってしまいました。

この本からはサラ金(サラリーマン金融)というお金側から見た、サラリーマンの姿を学ばせてもらいました。
※紹介したい箇所が多かったので少し4000字程度の記事になりました!今回は引用多めです。

では内容に入っていきましょう!


借金を返すための人生

まずは明治32年に刊行された『日本之下層社会』からの引用です。日掛けの高利貸し(日済ひなし屋)に追われる人びとを次のように記載しています。

1年365日、日済屋にカネを払うために稼ぎつつあるように見える者は少なくない。たとえあちらこちらより日済を借りないまでも、一度だけの取引で日済屋と関係を断った者はなく、月の初めに1円を借りれば、月の半ばに至ってさらに50銭を借りてしまう者が大多数である。それゆえ、日済屋と関係を作っている者は、おおむね1年前か2年前より貸借を長く続けている者と見て間違いない。読者よ、貧民を見てただ怠惰のためだと言い捨ててはならない、ひとたび身を貧民の群に落とせば、思い通りにならない事情が日済の借金を誘い、酒に魅せられ、一生平和に暮らすことはできないのだ。誠に憐れむべきではなかろうか。

『サラ金の歴史』P30

これは現代に生きる私たちにも言えることかもしれません。ふと周りを見渡せば私たちはいつでも借金ができる環境にあります。

カードローン・カーローン・住宅ローン・消費者金融。最近だとLINEポケットマネーなどローンのジャングルで生きていますね。

私も住宅ローンを組んでいるので他にも借金を重ねて、この状態にはならないよう気を付けたいところです。

「1年365日、日済屋にカネを払うために稼ぎつつあるように見える者は少なくない。」


今も昔もサラリーマンはつらいよ

1920年代はサラリーマンの副業として貸金業が流行したのだとか。貸金業のノウハウ本、『人力か金力か―致富能率』を出版された斎藤恵蔵という人物がいます。そこからの引用です。

サラリーマンは、常に上司や雇い主の鼻息を窺い、勤め先で不平・屈辱・不愉快等を感じることがあっても、生活を維持するために恥を忍び、無念の涙をのみながら会社の椅子にかじりつかなければならない。もし収入増加の道を講じなければ、一生うだつの上がる見込みはなく、貧苦の生涯を終わるのみである。だからこそ遠慮会釈はいらない。「生存の目的を果たさんためには、猛然としてあらゆる手段方法を講じなければならぬ」。サラリーマンこそ副収入を持たねばならばならないのであり…貸金業を強く推奨している。

『サラ金の歴史』P38

サラリーマンの辛いところを突いてくるな…。よくよく考えれば今も同じようなこと言われていませんか?本業の収入だけではなく、副業収入を得ることで会社から自由になる的なあれです。

私もどちらかというとそっちのタイプなのですが、100年前から言われていて今も言われ続けているということは、いつの時代も副業をやる人は少ないのかもしれませんね。

それにしても痛いところをついてきますね(笑)


サラ金に金を借りに来るサラリーマンは出世する?

ここもサラリーマンを理解できたのでご紹介します。

レジャー資金を求めて借りに来るサラリーマンは「仕事熱心」であり、借金して遊ぶくらいでなければ「出世」できない。一見突飛に思われるかもしれないが、借金と仕事・出世を結び付ける業者の観察は、決して的外れではなかった。サラ金から金を借りてまで遊ぶサラリーマンの消費行動は…この時代の「出世」、つまり人事評価の在り方と深く結びついていた。

『サラ金の歴史』P106

筆者はこのころの人事評価は直接的な数値では表現できない「情意考課」を採用していたと述べます。どういうことでしょうか?

1960年代半ば以降、企業による社員の能力評価は潜在的能力に重点が置かれたため、人事考課は具体的な職業的能力を離れ、「人間評価」を内容とするものになっていた。当時の人事査定は、仕事実績の算定だけではなく、能力と態度・性格の判定を経て、ともすれば全人格的な評価に及んだのである。こうした人事評価システムが情意考課と呼ばれ、戦後日本企業の人事制度における著しい特徴とされている。

『サラ金の歴史』P106

この情意考課。まだ採用している会社もありそうですよね。実は私の会社もそれに近しい評価制度な気がします…。続けましょうか。

したがって、もし情意考課の下で出世を望むのであれば、職場の飲み会や接待・ゴルフなどに積極的に参加したり、気前よく部下におごったりするなど、つきあいのよい人格円満な人物として周囲にアピールせねばならない。だからこそ、飲酒・ゴルフ・マージャンといった社内外のつきあいのための金は、出世のための「健全資金」と言えた。情意考課の対象となったサラリーマンが持つ独特な資金需要を、サラ金は「前向き」と評価し、真正面から融資に応じていたのである。

『サラ金の歴史』P107

私が入社したころはまだまだ「つきあい」が残っていました。上司との飲み会や取引先とのゴルフコンペ、大規模な飲み会のセッティングなど。

ちなみに上司との飲み会は料理のとりわけや上司のグラスが空く前にお伺いを立て、ゴルフコンペは準備が必要なので朝4時に起きて6時にゴルフ場に到着してひたすら準備。大規模な飲み会は裏方に回るのでご飯を食べられず。

これを奴隷と言わずなんといえばいいのか。

こんなこと書きながらもそれはそれで今振り返ると楽しかったんですけどね(笑)


会社という特殊な環境は人の倫理観をマヒさせることもある

1970年代に入るとサラ金の回収業者の過剰な取り立てが、債務者の自殺・心中・犯罪を誘発するとして大きく批判されたそうです。

本書ではサラ金の回収担当社員の「告白」が紹介されています。少し長いですが引用します。

 悪いことをやっている、という気持ちはなかった。(顧客が自殺しても)新聞が書くのは実際に死んだりした例の5分の1ぐらいかな。家族もサラ金から借金したなんていわないからね。警察はいつも逃げ腰で、こわいものはなかった。新聞がよう書くようになって、僕も反省しだしたわけ。
 朝10時から夜は12時がふつうやった。朝がけは4時ごろからやる。ある一流会社の人の時は徹夜や、朝5時までかかった。子供が生まれたばかりで、奥さんは逃げてしまった。新婚の家財道具、60万円分ごっそり運び出し、6万円で売った。負債は15、6万。そのあとも、追い込みはいろいろやったよ。
 父親と小学校6年の女の子2人の家に行ったときは、子供1人が留守番していた。おやじは確かシャブ(覚せい剤)ぼけと聞いていた。百科事典から米まで持って来た。女の子は素直やったなあ。米はこのとき以外にも3、4回持ちだしたけど、これ効くんだよ。ぼくらにしてみれば、仕事に忠実で、どうしても成果あげんならん、といった気持でやってたんだけどね。
 そうそう、参ったのは、30歳の主婦。きちんきちんと返してた。遅れたので電話を入れると、ちーんてかねの音。自殺して、葬式だった。びっくりしたな、これには。
 女房はサラ金のこと、何も知らない。それでも、ときどき、家で電話していると、「やめて」なんていわれて。「片腕、折ったるぜ」とか、「流産するまでやったる」とかいうんだから、いま思えば驚く方が当たり前だな。

『サラ金の歴史』P166

この回収担当社員は元から悪人だったのでしょうか?私にはそうは思えません。

1970年代という昔の話だからこんなことが起きたのでしょうか?そんなことはありません。少し前に話題になったスルガ銀行のパワハラ事件もそうですね。

①ノルマが出来ていないと応接室に呼び出されて「バカヤロー」と、机を蹴ったり、テーブルを叩いたり、「給料返せ」などと怒鳴られる。
②「なぜできないんだ、案件を取れるまで帰ってくるな」と、首を掴まれ壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴った。
③数字が達成できないなら「ビルから飛び降りろ」と言われた。
④毎日 2~3 時間立たされ、怒鳴り散らされる、椅子を蹴られる、天然パーマを怒られる、1 カ月間無視され続ける。
⑤「死ね」「給料どろぼう」「できるまで帰ってくるな」と罵倒。
⑥数字が(達成)できなかった場合に、ものを投げ、パソコンにパンチされ、「お前の家族皆殺しにしてやる」と言われた。
⑦毎日、怒鳴り続けられ、昼食も2週間行かせてもらえず、夜も午後11時過ぎまで仕事させられた。
⑧支店長席の前に1時間以上立たされ、支店長が激高し、ゴミ箱を蹴り上げたり、コップを投げつけられた。
⑨達成率が低いと、椅子を蹴られ、机を叩かれ、恫喝されながら育った。
⑩数字があがらないなら休日はなし、数字があがらないなら時間外請求するな、融資実績があがらないならば、会社に給与返せ、いつまで会社から定額自動送金してもらっているんだというモラルの欠片もない会社だった。

引用元:https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/200475/100100183/

会社という組織に限らず、組織全般に言えることなのですが、私たちは知らず知らずのうちに悪人になっているなんてことがあるのかもしれませんね。

もしからしたらそれは今話題になっている闇バイトなんかも同じかもしれません。

人間は環境影響を強く受けてしまう動物ですので自分なりの倫理観の形成や、イヤならいつでも組織を脱出できる!なんて保険を掛けておくことが必要に感じました。

おしまい!

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想定外の面白い依頼なんかもありましたのでまた記事にします!


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