喀痰吸引(2) 異常な呼吸状態
異常な呼吸状態の観察
呼吸の回数
呼吸の回数は1分間で成人で約12~20回、乳児で約30回、5歳児で約25回程度と言われている
何らかの呼吸器官の障害や発熱などにより、普段より酸素が必要な必要な場合、その不足分を補うために呼吸回数が増えることがある
特に呼吸器の病気がある人は歩行時や入浴などで活動のため酸素の必要量が多くなるため呼吸回数が増える
反対に体内や脳への酸素量が過度に不足すると呼吸回数が減ったり、停止したりすることがある
呼吸音
正常な呼吸音は「スースー」というように空気の微かな音が聞こえる程度
気管支喘息などにより気管支が狭窄する場合は呼吸に合わせて「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音が聞こえたり、痰や分泌物で空気の通りが悪くなると「ゴロゴロ」とした音が聞こえたりする
呼吸の仕方
正常な呼吸の仕方は、安静時には胸や腹部が比較的一定のリズムで呼吸に合わせて膨らんだり縮んだりする
このリズムが速くなったり、間隔が不規則に長くなったり短くなったりする場合は体内の酸素が不足してきた状態を示す可能性がある
腹部の動きだけでなく、肩を上下させて呼吸したり、口をすぼめて呼吸したりする場合は呼吸が困難な状態と考えて対処する必要がある
普段の状態と比較して異変を感じた場合は、医師や看護師に連絡をして適切な対処をしてもらうことが大切
呼吸困難がもたらす苦痛や障害
本人が苦しいと訴える場合だけでなく、意識が消失している場合や訴えがなくとも苦痛の表情や胸をかきむしるなどの行為がみられたり、息が荒くなっていたりする場合は呼吸困難があると考えて対処する必要がある
呼吸が困難となり苦しさを感じるということは、今まで意識せずに行えていた呼吸が思うようにできないことから「息が止まるのではないか」「死ぬのではないか」などの恐怖を感じることがある
体内の酸素が不足していくことで、行動や意識にも変化が生じる
例を挙げると
軽度の場合は注意力、判断力の低下や行動が落ち着かなくなる場合がある
長期化してくると、意識が薄れ反応が乏しくなってきたり、呼び掛けに反応を示さなくなったりする
そのため早急に医師や看護師による医療的対応を行うとともに、苦痛を受け止める支援をすることが必要
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