CGコード上求められる経営計画って何？
コーポレートガバナンス・コード（CGコード）で、「経営計画」について書いてある箇所は、こちらの３つ。
✅１つめ
【原則３－１：情報開示の充実】
上場会社は、法令に基づく開示を適切に行うことに加え、会社の意思決定の透明性・公正性を確保し、実効的なコーポレートガバナンスを実現するとの観点から、（本コードの各原則において開示を求めている事項のほか、）以下の事項について開示し、主体的な情報発信を行うべきである。
（ⅰ）会社の目指すところ（経営理念等）や経営戦略、経営計画
（以下略）
✅２つめ
【原則４－１．取締役会の役割・責務】取締役会は、会社の目指すところ（経営理念等）を確立し、戦略的な方向付けを行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、具体的な経営戦略や経営計画等について建設的な議論を行うべきであり、重要な業務執行の決定を行う場合には、上記の戦略的な方向付けを踏まえるべきである。
【補充原則４－１②】
取締役会・経営陣幹部は、中期経営計画も株主に対するコミットメントの一
つであるとの認識に立ち、その実現に向けて最善の努力を行うべきである。仮に、中期経営計画が目標未達に終わった場合には、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、株主に説明を行うとともに、その分析を次期以降の計画に反映させるべきである。
✅３つめ
【原則５－２．経営戦略や経営計画の策定・公表】
経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、 収益計画や資本政策の基本的な 方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、 事業ポートフォリオの見直しや、 設備投資・研究開発投資・ 人的資本への投資等を含む 経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである。
まず浮かぶのが、「経営計画って、３～５年の中期経営計画のこと？1年分ではダメなの？」という疑問。
こちらについては、明記されているものがありません。（パブリックコメントなどを読んだが、私には見つけられなかったです。）
ただ「中期経営計画」と「経営計画」という言葉を使い分けている以上、「経営計画」は１年分でも良いという解釈が一般的。
経営計画について、原則５－２そのまま読むと、下記が求められています。
・資本コスト
・収益計画や資本政策の基本的な方針
・収益力・資本効率等に関する目標
・経営資源の配分当に関する具体策
（事業ポートフォリオの見直し、設備投資・研究開発投資・人的資本への投資等）
ここでも「資本コスト？そんなの計算していない」という企業が多くいると推定されます。
資本コスト自体の数値を公表する必要はない。
（2018年６月パブコメ回答No.35）
ただし「収益力・資本効率等に関する目標を提示」する中で、投資家に対して、自社の資本コストについての考え方や経営における活用状況など
を分かりやすく説明することが求められている。
（2018年６月パブコメ回答No.35）
資本コストを社内で計算していない場合だけでなく、公表していない場合もエクスプレインしている事例が多そうです。
（というか、社内計算しているけど公表していないのか、社内計算もしていないのか、をわざと曖昧に書いている事例もありそうです。）
例えば
・ダイショー（社内計算もしていないと読み取れる事例）
経営戦略や経営計画の策定・公表当社は中期経営計画を策定し、中期的な成長を目指す上での事業戦略や売上高、営業利益等の目標値を開示するとともに、株主総会等を通じて、目標達成に向けた具体的施策を説明しております。各年度の経営計画は、中期経営計画の経営指標を勘案したものとなっており、またその方針や目標に沿った設備投資、研究開発投資、人材投資等を含む経営資源の配分を勘案し、具体的に計画に落とし込んでおります。なお、資本コストを踏まえた経営の目標設定等については、今後検討し、取り組んでまいります。
・テスホールディングス（公表をしていないだけなのか、社内計算もしていないのか、曖昧な事例）
当社は、当社グループに係る中期経営計画を策定しておりますが、収益力や資本効率などに関する具体的な指標を含め、現時点では公表を控えております。中期経営計画の適切な公表時期につきましては、引き続き、検討して参ります。
✅まとめ
経営計画は、必ずしも「中期」でなくても良い。（もちろん「中期経営計画」と書いてあるものは、３～5年の計画。）
経営計画で資本コストの数値自体は開示不要だが、資本コストの考え方を書くのが必要。社内で計算していない場合は、エクスプレインしている事例が多そう。