人事評価と短期的なフィードバック
人事評価制度が機能していない会社が9割
毎年この時期になると公務員のボーナスの話がニュースになる。
人材業界では夏のボーナス支給後から10月1日までが繁忙期とも言える時期である。
転職を考える人が雨後の竹の子のようにどんどん転職サイトへ登録するので片っ端からスカウトメールをうち反応を見る時期でもある。
そして、経営者や人事は欠員補充に対して戦略的に考えなければいけないのがこの時期。
新卒採用、中途採用、即戦力採用で欠員補充をするのかどうかを考えて行動をしなければならないからだ。
計画が狂い始めると次々と経営戦略を変更しなければならず、社員が疲弊してしまうことも多くあります。
それは人事評価制度と1on1ミーティングによる目標管理制度が機能していないからである。
目標管理制度のメリットとは
目標管理制度が導入された際にあげられていたメリットとして、以下があげられるでしょう。
1:社員の能力を引き出し、能力向上にもつながる
2:目標設定によって社員の主体性が生まれることが期待できる
3:社員が組織目標に向かう為、業績の拡大につながる
これによって組織の活性化といった点では、大きな役割を果たしておりますが、誤用によって「ノルマ主義」ととらえられたり、成果に対する報酬(昇給・賞与)といったインセンティブにフォーカスがあたりすぎる傾向もありました。
もちろん、そうならないために、人事部門が目標管理制度の本来の目的を説くための手法として、「評価者研修」であったり「コーチング」といったツールを展開しています。
目標管理制度が持っている問題点とは
その1:フィードバックのサイクルが長い
目標管理制度の場合、評価サイクルが半期に1回あるいは1年に1回のところがほとんどです。そのため、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)の期間が長い、というより間延びしがちでした。
そのためにも、上司は部下とのコミュニケーションを、年に1回あるいは半期に1回の評価面談以外にもこまめに行うようにすべき、といったことを私も人事として言っていました。
しかし、1年の間で状況はどんどん変わってきています。
それこそ、当初予定していたタスクがなくなったり、目標を立てていた時には想像もしていなかったことが突然発生したり…ビジネスに変更はつきものです。
そういった時に、評価面談のタイミングでは追いつかないのです。
もちろん、そういった時は改めて面談などを設定して、目標を随時修正するのが「セオリー」です。
実際に、それが運用として定着しているならば、目標管理制度で全く支障はありません。
しかし、現場ではどうかといえば…なかなか難しいというのが実情です。
その2:運用にコストが掛かる
評価制度は、制度の導入よりもそれを運用していくための時間が必要となります。
・目標設定の準備
・目標設定面談
・自己評価
・評価面談
・全体調整
・フィードバック面談
・人事部門のフォロー・サポート
簡単にあげただけでも、これだけのことが発生し、評価者/被評価者だけではなく人事部門や経営層もそれなりに時間を割くことになります。
もちろん、それによって業績がアップし、社員のモチベーションもあがれば、価値のあることです。
しかし、会社からの評価と自分の認識との乖離からモチベーションが下がったり、場合によっては退職してしまったりするケースもあるので、本来の目的と反対の動きがあるのも事実です。
短期間で振り返りができる仕組み
AdobeもGEも年次評価制度を廃止して、業務の振り返りやフィードバックを短期間のサイクルで行うという点が共通していると思います。
業務を行う中で発生したことを適宜フィードバックして、さらに良い方向に進めていくためのツールとなるように変えたというのが本質でしょう。
そもそも、企業において評価を行っているのはなぜでしょうか?
よく、「人事部門がやれというからやっている」と答えるマネージャーもいらっしゃいましたが、それは全く本末転倒です。
もともとは、企業としての業績をあげるために、社員が最大限成果を出すことをサポートするために行なっているのです。
そういった、「本来の目的」から鑑みて、制度を変えたり廃止するという動きは良い流れだなぁと思います。
ヤフーの1on1ミーティングも業務の振り返りやフィードバックを短期間ですることにより、キャリアのPDCAを回していくことになります。
半年に1回、年に1回ではなく、毎月、毎週、自分の上長と面談をする事によって、業務改善をしながらキャリアップを目指していき、3ヶ月後、6ヶ月後には成長を実感できるようになります。