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好きなことを仕事にする症候群

LIFEWORKとRICEWORK

言い換えると生業と仕事。生業は社会で生活をしていくために働くこと。仕事は誰かに仕えてことを成し遂げること。RICEWORKは生業。LIFEWORKは仕事ということかもしれない。その境目がどんどんボーダレス化している状況であるのは間違いありません。

また昨今、“好きなことで稼ごう”という趣旨の本がとても増えたため、「好きなことが見つからない!」と焦る人も同時に増えてしまったようです。今回はそんな「好き探し症候群」に置ける、余分な力みや誤解を解きたいと思います。

まず、好きなことやライフワークは、“あったほうが人生が豊かになる”ということは間違いないのですが、“なければ不幸です”というわけでもないです。ただ、「好きなこと」に対して、アンテナを張る、自覚的であることは、どんな時でも自分の視野を広げてくれると、僕は考えています。

それはなぜか? 例えばサラリーマンになると、どうしても日々のルーティンワークの中で、“心惹かれるもの”について、気を向けなくなってしまいます。なぜなら、自分の目標を、組織(会社)の目標そのものと同一視してしまうようになり、個人としての希望を省みる時間が減っていってしまうからです。

まずはフィルターを外すことから

きっと誰でも、子どもの頃のように時間や心のゆとりがあった時期は、好きなことがたくさんあったはずです。大人になった今、好きなことがなかなか見つからないのは、単に就活のために自分を最適化したり、時間に余裕がなくなったりすることによって、視野が狭くなってしまっただけのことです。

その状態で「好きなことで稼ごう!」とすると、今度は手軽に稼げることや、他人にアピールできることに最適化した「好き」を探してしまいます。つまり「稼ぐ」というフィルターをかけた時点で、多くの「好き」を見逃すのです。

そういった枷(かせ)を外していくために、まずは普段から「何となく心惹かれるものにアンテナを張っておく」くらいで、気楽に構えてみてはいかがでしょうか。例えば僕は、電車の中吊りや窓枠の広告をみて、クスッとくるようなキャッチコピーを見つけると、つい嬉しくなります。

ここで重要なのは、何も「じゃあ電車の中で嬉しくなることを探そう!」などと気負わないで欲しいということです。そうではなくて、ふとした時に「あ、今嬉しくなったな、俺」という瞬間を、ちゃんと心に留め、日々の優先順位の中で埋れさせずに、大切にして欲しいのです。「気づくとショートカットの子に目が行くなあ、俺」とか、「袖をまくってる男、見ちゃうなあ私」とか、そんなことでもいいと思います。

仕事については2通りの考え方がある!

・ご飯を食べていくための“ライスワーク”
・好きなことや生きがいである“ライフワーク”

を分けて考え、「まずはライスワークで稼ぎながら、徐々にライフワークで食べられるように理想的な割合にしていく」ということを忘れています。最短距離で成功をしたいから一足飛びに結果を求めて、過程の話を飛ばしてします。ただこれについて、少し伝わりにくかったかもしれないと反省しているのですが、実際はもっと滑らかでいいと思います。

極端な話、ライフワークは魂のご馳走、つまり「これがあれば楽しく生きられる」と思えることなので、それが1円にもならなくたっていいし、それで稼ぐことを無理に目指す必要もないのです。

例えば仮にサーフィンが好きだったとして、ライスワークで最低限の生活費を稼げるなら、ライフワークを最適化できるように鎌倉に引っ越すのもいいかもしれません。サーフィンをすることはお金にはならなくても、いつでもできることで、仕事へのやる気や日常の幸福度が格段に上がるのなら、それはいいバランスの取り方だと思います。

また、私のメンターでもあり、企業の研修講師の友人は、「僕は人に教えることが大好きってわけじゃない。だけど教えることが一番効率よくお金を稼げるし、評価もされるし、誰からもありがとうと言われる。だから効率よく稼いで、あとは趣味のライフワークを淡々と楽しんでいる」という趣旨のことをおっしゃっていました。

もちろん、ライフワークで稼げるのなら、それに越したことはありません。しかし、上記の2例のように、バランスをうまくとり、ライスワークとライフワークの両輪でやっていくのもいいと思います。一番大事な視点は、自分にとってそれが楽しいかどうか、幸せかどうか、だと思います。

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