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コミュニケーションで心がけたい3つのポイント
コミュニケーションの質と言うけれど…
タモリさんがよく言う「髪、切った!?」という言葉。
信頼関係のあるなしで、ハラスメントにもなるし、称賛にもなる、不思議な言葉。
一言でコミュニケーションの質を上げるということをよくいいますが、実際のところは抽象すぎてどうしていいかわからない管理職が9割いる。
信頼関係があるかないかはその人の思い込みや先入観だけでは済まされず、実際のところはビビってしまって踏み込めないというのが事実でしょう。
先日も、ある企業の社員の方から、こういう相談があった。その人は、ある商品開発のリーダーをしているのだが、「期日が近くになってメンバーに状況を確認すると、私が意図したものとは違う方向にいってしまっているケースがあり、その修正に手がかかる」という。
「打ち合わせで確認しているはずなんですけどねぇ」とのこと。
スキルや経験も十分なメンバーでもそういうことがあるという。新しい開発のテーマにもかかわらず、これまでの経験から自分の考えで進めているようなのだ。
コミュニケーションのズレって…
また、べつの企業の若手社員からこういう相談もあった。
上司に取り組んでいる仕事について、進め方の相談をしたところ、上司は「こういう方法はどうかな」と今後の進め方の説明をしてくれたという。
彼は、その後、そのとおりに進めて上司に報告したところ、叱られたというのだ。
上司から「自分はヒントを与えただけで、そのとおりやってほしいとは言っていない」、さらに「自分でやり方を考えるのは常識だ」とまで言われたらしい。
「上司の意図を察すことができなかった自分が悪いのですが」と言っていたものの、腑に落ちない様子だった。
上記いずれのケースも、双方の認識が異なる言わば、「コミュニケーションのズレ」が生じている。
最初のケースは指示内容自体が理解されない、次のケースは発言者の意図が伝わっていないというズレになっている。
これらの「コミュニケーションのズレ」は個人や組織にどのような影響をもたらすだろうか。
作業の遅れやトラブルなど、業務上の支障はもちろん、場合によっては、不安や疑心暗鬼を生み、組織としての一体感、個人のモチベーションにも影響が出かねない。
組織活性化をテーマとする中で、コミュニケーション不足がよくテーマとして取り上げられるが、今、問われているのは、そこで交わされるコミュニケーションの質ではないだろうか。
「会話=価値観や生活習慣なども近しい人同志のおしゃべり」「対話=あまり親しくない人同士の価値観や情報の交換、あるいは親しい人同士でも価値観が異なるときに起こるその摺り合わせなど」
仕事におけるコミュニケーションでは、「会話」で十分なのか、「対話」レベルまで踏み込む必要があるのかをまず、押さえる必要がありそうだ。
紹介した2つのケースなど、「コミュニケーションのズレ」が生じかねない場面では、その影響を防ぐ(あるいは最小限にする)ために、必要なのは「対話」であることがわかる。
現在においては、過去の経験だけでは対応が難しい変化の激しい状況や、世代間、グローバル化による価値観の多様化など、「コミュニケーションのズレ」が生じやすい場面が増えてきている。
対話の必要性は益々増してきているのだ。
コミュニケーションのズレが致命傷になることも!?
指示内容が理解されない、発言者の意図が伝わらないなど、職場での「コミュニケーションのズレ」を取り上げた。
そして昨今、環境変化の激しさや、価値観の多様化など、「コミュニケーションのズレ」が生じやすい場面が増えてきていること。
さらにそのズレがもたらす組織にとってのデメリットと、それを防ぐための対話の必要性をお話した。
なお、ここでいう対話とは「あまり親しくない人同士の価値観や情報の交換、あるいは親しい人同士でも価値観が異なるときに起こるその摺り合わせなど」が背景にある。
どのように対話をはかっていくか!?
これまで、私がインタビューなどで接してきた中で、「コミュニケーションのズレ」を防ぐために最大限気を配っている職場のリーダーたちがいた。
まずは事例として、私の印象に残っているものを紹介しよう。
A氏:「部下にやり方や方針など一通り説明した上で、『今の説明でよくわからなかったところはどこ? 教えて』と聞く」
A氏はA氏と同じ会社の方から、部下指導が非常にうまいとして、紹介された方。
普通「どうわかった?」と聞くところであるが、あやふやなところがあった場合、それを格段に訴えやすくしている。
A氏は、とりあえず「はい」「わかりました」と言う部下が最近増えたことから、思いついたアイデアだと話してくれた。
B氏:「仕事の目的や全体像を説明し、その理解を確認した上で、具体的にやってもらうことを説明するようにしている」
自分がそうされなかったということから、反面教師的に実践されているとのこと。
ポイントは目的の理解が先になっていること。
その仕事の重要性が共有でき、モチベーションアップにつながるという。
まさに自己決定してもらうということであろう。
C氏:「重要な指示は、メンバーに指示をしたあとで、その内容を書いてもらうようにしている。その上で、うまく伝わっていないことを再度説明している」
アウトプット(書き出してもらう)することで、コミュニケーションギャップを防ぐ(修正)と共に、理解を深めることも狙っている。新たなプロジェクト進行にはとても効果的だと言う。
いくつかの共通点がある
いかがだろうか。いずれも実践者ならではの説得力があった。
効果的な工夫はまだまだあると思うが、はずせない共通点がここで浮かび上がってくる。
どの例も、指示は思うようには伝わらないことを前提として、発信者側がコミュニケーションを工夫している。相手の理解の確認は欠かせないので、必然的にいずれも2ウェイになっている。
まさに対話について、「摺り合わせ」と言っている意味がここにある。
あと、今回あげた例は、発信者側からの情報や意図を正確に理解してもらう、つまり「コミュニケーションのズレ」を防ぐための対話の活用例であるが、「問題解決」においても対話が効果的という研究もある。
まだ答えをだれも知らない状況でも、グループによる対話を行うと正解率が上昇する、つまり正答は対話の中で新たに芽生えるというものである。
さらに、議論を通じて正解にたどり着いた場合は、問題に対する理解も深まって応用力が身につくため、類似した問題の正解率も上昇する。話し合いはより本質的な理解や解釈をもたらすという。
問題がより複雑化していく昨今、問題解決という点からも対話の重要性が理解されるところであろう。
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