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【休職体験談 No.5】 新卒カードを捨てさせられた? インターン先ベンチャーに“騙された”私の話

こんにちは。休職タイムズです。今回は騙されて新卒でベンチャーに就職した荒木さん(仮名)の休職体験談をお届けします。


プロフィール

仮名:荒木 颯太(仮名)
年齢:23歳
性別:男性
仕事:ベンチャー企業(インターン先)に新卒入社/配属は営業部
休職のきっかけ:
入社前:「新規事業を任せるから」と言われ期待していた
実態:ずっとテレアポばかりで、新規事業など存在せず。社内の指示・環境に振り回され心身を消耗し、休職。

1. “インターン先にそのまま入社”を決めた背景

私は大学3年生のとき、あるIT系ベンチャー企業で長期インターンをしていました。社内は若い人が多く、フランクな雰囲気で、「自分のアイデアを形にしやすい」「チャレンジを歓迎する」といった言葉に惹かれていました。実際、インターン中は小さな企画を任せてもらえることもあり、「ここなら自分の力を試せるかも」と感じていたんです。

大学4年生の就職活動では、大手企業から内定をもらった同期も多数いましたが、私は「ベンチャーで新規事業を立ち上げる経験を積みたい」と強く思い、インターン先の内定を受けました。代表や上司からは「入社後1年目で新規事業を担当する」「事業責任者に最短で抜擢するかもしれない」と言われ、嬉しさと期待で胸がいっぱいでした。

2. 入社後、待ち受けていたのは“単純テレアポ地獄”

ところが、新卒として正式に入社した初日から、私が任されたのはひたすらのテレアポでした。「新規事業に関わるには、まず市場を知るために電話営業で経験を積んでね」との説明だったのですが、それが延々と続き、1ヶ月、2ヶ月経っても、まったく“新規事業”なるものには近づけない。

もともとインターン中にもテレアポは経験済みでしたが、当時は「学びの一環」と割り切っていました。それが、新卒入社のメイン業務として続くとは想定外。「データを集めるため」のはずが、売上ノルマを課され、怒鳴りちらされながらアポ数をこなすだけの日々に変わっていました。

3. 「新規事業」なんて存在しなかった?

さらにショックだったのは、同じ部署の先輩社員から耳にした言葉でした。

「ウチの会社でちゃんと新規事業が立ち上がったのって、ここ数年で一つもないよ。社長はいつも“やります”って言うだけで本気じゃない」

この一言で、頭の中が真っ白になりました。私はてっきり「複数の新規プロジェクトが動いていて、そこにアサインされる」と信じていたのに、実際は「新規事業」の話すら、ただの空手形だったのです。

「新規事業を任せるから」と豪語していた社長や幹部たちは、私が入社後も具体的なプランを提示したことは一度もありません。代わりに口を開けば「テレアポ、もっと件数増やそうか」「若手は足を使わないとダメ」と指示されるばかり。騙されたという怒りと失望がこみ上げてきました。

4. 新卒カードを浪費した後悔と「恨み」

時間が経つほど、自分の選択が大きな間違いだったと感じました。周囲が大手企業でOJTを受けたり、研修でスキルを磨いたりしている間に、私はベンチャーという環境で「裁量のある仕事」「最先端の技術に触れる機会」を期待したのに、それは全て虚像だった。

 「もしあのとき、インターンの盛り上げ方だけに騙されず、大手にもエントリーしていれば……」

「新卒カードは一度きりなのに、それをこんな会社で使ってしまった……」

そんな後悔が日に日に強くなりました。仕事といっても、いつまでもテレアポだけ。メンタルもギリギリで、会社への恨みばかりが増幅していきました。

5. 心身の不調と、ついに休職へ

4月入社から秋に差しかかる頃には、私のモチベーションはどん底でした。朝起きると憂鬱で体が動かず、休日も心から休めず眠れない。勤務中も頭痛や動悸がするようになり、明らかに自分の心身が悲鳴をあげているのを感じました。

上司には相談しましたが、「甘えるな」「うちはベンチャーだぞ?」と一蹴されるだけ。管理職や先輩も「みんな最初はそうだよ」と吐き捨てるように言うばかりで、私の話をまともに聞いてくれませんでした。結局、限界を超えて心療内科を受診し、適応障害と診断され、医師から「一定期間の休養が必要」と言われました。

会社に休職を申し出ると、最初は「新卒で休職なんて前代未聞」「この程度でへこたれるなんて」と嘲笑を浴びせられましたが、診断書を見せたところしぶしぶ認めてくれました。ただ、休職制度が整備されているはずもなく、詳しい説明すらなかったのが現実です。

6.これからの道

今は自宅療養しながら、自分の将来を考え直しています。正直、会社への怒りや恨みは消えません。入社前に見せられた“ベンチャーの熱量”や“大きな裁量”という言葉に踊らされ、実態をしっかり確かめなかった自分を責める気持ちもあります。

終わりに

新卒カードは一度きり――そう思って慎重に会社選びをする方も多いでしょう。しかし、インターンや説明会で感じた雰囲気が本当に正しいかどうか、事実を確かめる努力を怠ってはいけないと痛感しました。私のように「夢を見せられ、入ってみたらただのテレアポ要員だった」ケースも現実にあります。

もし同じようにベンチャー企業での働き方に疲弊し、嘘や誇大表現に振り回されている方がいたら――今が引き返すタイミングかもしれません。私はこの休職期間を、自分の価値観と次のキャリアを見直す“リセット”のチャンスとして活かしたいと思っています。


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