【休職(退職)体験談 No.7】「ふざけるな、もう限界だ」――25歳介護士、怒りの決断
こんにちは。休職タイムズです。今回は25歳介護士の山下さん(仮名)の休職体験談をお届けします。
プロフィール
名前:山下 弘樹(やました ひろき)
年齢:25歳
性別:男性
職種・業界:介護施設の介護士
辞めた(休職)理由:
コロナ禍による人手不足が深刻化
利用者・家族からのクレームや理不尽な要求が絶えず、上層部もスタッフを切り捨てるだけ
“献身”を当然とする介護業界の体質に激しい怒りを抱き、続ける気持ちが一気に崩壊
1. “人を支えたい”という純粋な思いから始まったキャリア
大学卒業後、私は「誰かの力になりたい」という強い思いで介護業界に飛び込みました。施設に就職した当初は、利用者の方々に頼りにされ、笑顔を見せてもらえることが本当にうれしくて、「この仕事を天職にしたい」と思っていたんです。
しかし、コロナ禍に突入してから、環境は一変しました。業務が増え続ける一方でスタッフは辞めていき、残った人間が無理やりシフトを回していく。少し疲れても「介護士なんだから頑張って当然でしょ」という風潮。私が持っていた“介護の理想”は、施設の都合と現実の前にあっさり打ち砕かれました。
2. 「介護は尊い仕事です」――美辞麗句に隠されたブラック実態
「介護は社会に欠かせない尊い仕事」というイメージを、メディアも企業も必死に発信しています。でも、実際に現場で働く私からすれば、その“尊さ”の裏でスタッフは奴隷のように扱われることを痛感しました。
人手不足:新人が入ってきても、すぐ辞めるのが常。理由は「キツすぎる」「給料が割に合わない」など。
過剰な要求:利用者や家族のクレーム対応は24時間態勢。仕事以外の私生活まで拘束される。
上層部の都合:運営側は口先で「ありがとう」を連呼するが、改善策は一切打ち出さない。結局、スタッフを削減して経費を浮かせることしか考えていない。
私は、こうした裏事情を知らずに“理想”を抱いて飛び込んだ自分を恨むようにもなりました。
3. コロナ禍が引き金に――“限界を超えた要求”で怒りが頂点へ
特にコロナ禍では、感染リスクと戦いながらも「利用者を守って」「家族に代わってケアして」「外部との調整は全部現場で」という無理難題が常態化しました。
施設上層部は、スタッフの命を何とも思っていないかのように、「医療用マスクが不足してるけどなんとかしろ」などと言うだけ。繰り返しの利用や自主調達したスタッフもいました。
それなのに、もしクラスターが起これば「あなたたちの管理が甘い」と現場に責任を押し付ける。こんな不条理がまかり通る業界は本当にどうかしているとしか言えません。
4. 怒りの爆発――「バカにするな、もうやってられない!」
私がこの世界に絶望し、辞める決意を固めたのは、ある日の会議での出来事です。運営責任者が人手不足に関して「今のスタッフで十分回せるでしょ?」と軽々しく言ったんですよ。実際は、限界を超えたシフトを強いられて休みもままならず、気力だってすり減っている状態です。
そう心の中で叫んだとき、もう何かがプツンと切れました。疲れや苦しさより先に、猛烈な怒りが噴き出してきたんです。ああ、こんな連中のために自分の人生を削るなんてバカらしい――そう思った瞬間、やめよう、ここにはもう未来なんてない、と決断しました。
5. 介護業界の“偽善”に未来はない
辞めると伝えたら、施設長からは「もう少し頑張れないの?」「利用者さんが困るよ」という“お決まりの言葉”が返ってきました。いや、あなたたちが困るんでしょ? 私がいなくなると困るから繋ぎ止めたいだけで、現場を良くしようとする意志は微塵も見えない。
私は
自分を都合よく“駒”扱いする運営
スタッフへの敬意も対策もなく、ただカバーを要求する会社
“奉仕”だの“尊さ”だの言いつつ、ブラック労働を放置する業界全体
に心の底から嫌気が差しました。
結局、利用者や家族が好きでも、運営がこうでは働き続けることはできない。“偽善”に付き合うほど私はお人好しじゃありません。
終わりに
介護業界を目指す方には、決して夢を壊したいわけじゃありません。ただ、今のままでは現場の人間が犠牲になり、上層部の無策と無関心が蔓延しているのが現実です。
私はたった25歳にして「もう二度と介護なんかやらない」と固く誓うほど、この業界の仕組みに怒りを感じました。もし同じ道を歩む人がいるなら、「きれいごと」に惑わされず、しっかり現実を見てから飛び込んでほしい。そうでなければ、私のように後悔と怒りだけが残る結果になってしまうから。
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