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勉強しない大学生と勉強を評価しない企業

 こんにちは。フリー面接トレーナーのnoriさんです。秋も深まり本日も岡山は快晴です。

今日のテーマ

 学生の就職支援に携わる者として、気になる記事を読みました。
タイトルにもしていますが、「勉強しない大学生と勉強を評価しない企業」について書きます。

参照はこちら 現代ビジネス
『勉強しない日本の大学生と、死に物狂いで勉強するアメリカの大学生 企業の賃金構造が大学教育を堕落させる』

 いやー。心臓をひとつきにされるような感じというか。
【日本の大学生は勉強しない】
はい。私も大学時代は勉強せずに部活三昧でしたので、今さら後悔している一人です。

背景

 引用している記事の筆者は、日本は構造的(新卒給与が一律など)に、日本の大学生は勉強しないと、述べられています。もちろん学生本人の責任も大きいと思います。 (自責の念を込めて)
 ここで、私が考える企業側の「勉強を評価しない」という意見について述べます。毎回の事ですが、前提として絶対ではありませんが、こういう考えになっている採用担当者もいるよね。という感覚で読んでいただきたいです。

 私は、RecRoots(レックルーツ)という就活勉強会を定期的に開催しています。このRecRootsでは、企業の採用担当者さんがも就活中の学生に自社への志望度を問わず、アドバイスをしていただく機会があります。そのRecRootsでの一幕にこんな話がありました。

「学生にとって勉強をするのは当たり前だから、ガクチカエピソードで『勉強を頑張りました』は通じないし評価できない」

なるほど。と思う一方で、少し違和感を覚えました。話の前後の文脈は割愛していますので、学生本人の受け止め方はショックを受けたなどの問題ありませんでした。私が気になるのは、勉強を評価しないという見方がある。ということです。
 まずは、この出来事から考えて、企業側の「勉強を評価しない」という考え方について掘り下げていきます。

採用担当者は自身の価値観で応募者の良し悪しを決めがち

 得てして、採用担当者や人を評価する立場の方は、応募者や部下を評価する際に何らかの認知バイアスがかかっています。ステレオタイプという言葉が心理学にあるように、イメージで決めてしまうことは誰にでもあります。例えば、血液型がAなら「几帳面」、O型なら「おおざっぱ」など、個性や個別の事情など鑑みず、ひとまとめにしてしまい、本質が見えなくなることもあります。
 「勉強したことをアピールすることは評価できない」と評した採用担当者は、決して経験値が低いわけでもなく、むしろベテランです。長年の経験によって、「勉強しかアピールすることがない人=アルバイトやサークルの経験がないことで社交性が低く、入社しても人間関係作りに苦慮する」という結びつけをしてしまったのではないでしょうか。(大袈裟な例かもしれません)
 また、「企業側が学生の何を評価するのか?」といったアンケートでは、学力は重視しないという結果を目にすることもあります。学生の学業に対する努力よりも、コミュニケーション能力と明るさ、熱意などの雰囲気が優先されがちです。
 もちろん、全く度外視しているわけではありません。マイナビキャリアリサーチLabの調査 「新卒採用における学生の『優秀さ』の要素」では、協調性がトップ、次いで仕事へのやる気。そして言葉で伝える力(文章、会話)と続きます。この言葉で伝える力は、アルバイトやサークルなど集団内でのコミュニケーションから身に付きますが、学業を通して、さらに論理性を増すこともできるはずです。その他の要素にも、
 今後の成長可能性(学習能力の高さ)、頭の回転の速さ(自頭の良さ)
 高い知的好奇心・向上心、課題の理由や解決策を考える力
 一般的な知識の広さ(博識さ)、専門知識の深さ、資格、学歴

といった要素もあります。これらはやはり学業に取り組むことで、高まる要素であると考えます。

学生にとっての学業成績の価値

 ここで話を学生側目線に移します。学生にとっても学業だけではなく、アルバイトやサークルでの活動をした方が就職に有利という考えは根付いていると思います。事実、彼らの相談に乗っていると、「私はアルバイトもサークルもしたことがないので、自己PRできるネタがないんです。」と悩む学生は少なくありません。

 このような学生は、果たして4年間何もせずに過ごしたのでしょうか?
 
 いえ、勉強をしているようです。特にコロナ禍でアルバイトやサークルがなくなってから、資格取得や単位取得に励む学生も一時的に多くなった印象を受けます。GPAを尋ねると3.0以上など比較的優秀な成績を収めています。ギリギリの単位を取得して卒業する学生よりも、4年間という時間の中で、「学生としてやるべき仕事を最大限取り組んだ」学生は、きっと将来的な期待値もあるはずです。課題があるとすれば、対人関係に関わる分野です。やはり、大人と話すことに慣れていないことが初対面で話を始めて、ものの数分でわかります。

新卒採用における、成績が評価されない問題点

私は、岡山で就職支援を行っているので、意見が岡山県企業に偏りますが、そもそも、「GPA(Grade Point Average)」を知らない採用担当者も少なくないように思います。GPAは2005年から日本で導入が開始され、現在では全国の大学で92%が導入されており、岡山県内の大学13校を調べたところ、全ての大学で導入されています。
我々世代は「秀、優、良、可」、「A、B、C、D」といった表現がされていたのを思い出しますが、GPAは一般的に0~4数値で表されます。各科目の成績毎のポイントの総計を、単位数で割ったものがGPAです。大学毎で授業の難易度は異なりますが、日本国内の大学の平均GPAは2.0~2.7と言われているようです。
 説明が長くなりましたが、企業側がこういった大学のシステムを知らずにいることは一つの問題点であると感じます。都心の企業の採用担当者はわかりませんが、岡山県の中小企業では評価者が40代以上の方も多く、こうした状況が散見されます。
 そして、前述したステレオタイプでもわかるように、一種の偏見や思い違いから勉強を頑張った学生を評価しきれずにいる可能性が高いと感じています。これは、あくまで私の仮説ですが、採用担当者は社内の中でもコミュニケーション能力が比較的高く、採用担当者自身がまさにコミュニケーション能力とアルバイト経験などをアピール材料に入社した可能性も高いと考えています。そのため、採用基準が勉強よりも社交性などの面を重視しがちで、それゆえのステレオタイプだと思います。
 一方で、学生からすれば、勉強しなくても就職できる先輩ばかりですから、アルバイトやサークルに特化し学業は最低限という考えが蔓延っても仕方がありません。(私自身もそうでしたので、言い訳に聞こえるかもしれません・・)

採用担当者に求められること

 前述したように、面接時に重視する点はコミュニケーション能力、明るさ、熱意などです。採用担当者側の問題点は、情緒的な面に頼り過ぎている点です。確かに対面の場で話しにくさがあれば、職場の中や顧客の前でやり取りができるのか不安要素が生まれてしまいますし、早期退職の懸念もあります。それ故、話やすさやその場で取り繕うことができるかどうかが決め手になりやすいと思います。
 最終的に、採用の合否を出すのは現場の採用担当者ではなく、経営陣だとは思いますが、面接という究極に緊張する場面で普段通り話せる人ばかりでありません。採用担当者にこそ、最終面接では学生が出しきればい本領、どのような経験があり、その経験が自社でどのれくらいの価値があるのかを見極めなければなりません。その際に「勉強しか取り組んでいない=社交性が低い」と決めつけをせず、じっくり向き合い、その子の良さを引き出すことが、自社の利益に繋がるはずです。

学生に求められること

 勉強中心にしなければならないとは思いません。しかし、現実的に企業側が評価する点はコミュニケーション能力やそこから表せる明るさや熱意です。この力は生まれつきではなく、今からでも身に付けられる要素です。そのために、「勉強しかできていない」学生は、社会人との関わりをもつことをお勧めします。みなさんが面接で話せないのは、生まれつきの緊張しやすい性格ではなく、社会人(大人)との対話経験の乏しさが起因している可能性が高いです。同年代だけではなく、インターンシップやアルバイト、他にも様々な場面で社会人と接する機会を自らつくり、今の自分をアップデートしていきましょう。

終わりに

 今回取り上げた記事にはアメリカとの違いが書かれています。読んでみてわかりますが、アメリカの考えだと、学業が就職時に評価されるため、卒業後の仕事に対する意欲は歴然としているでしょうね。(アメリカの知人がいるわけでもないので、実態はわかりませんが)
 事実、スタンフォード大学のビジネススクールを卒業の場合、現在の日本円にして2000万円以上の年収です。これは学歴によるものだそうです。これにより格差が大きくなることは、アメリカの大きな特徴だとも思います。
 日本はそういう意味で格差はアメリカほどではありませんが、このコロナ禍の間にも格差は広がっています。

フォーブスが2021年4月22日に発表した2021年版「日本長者番付」によると、日本の富豪上位50人の資産は合計で2,490億ドル(約27兆円)となり、昨年の1,680億ドルから48%増加した。新型コロナウイルスによって倒産や解雇が増えていると報道される中、1年で資産を約1.5倍にした計算だ。

参照 https://the-owner.jp/archives/6375

 日本の資本家さん達の努力も恐ろしいですが、労働者側の視点にたつと虚しさすら感じてしまいます。労働者の給与は果たして1.5倍になったでしょうか。そんなことはありません。もちろん学歴だけで日本の資本家たちが成功しているわけではありません。
 誰もが活躍し正当な対価を得られる世の中になればいいと思いますが、世界は良くも悪くも不平等です。世界は変えられませんが、自分の見ている世界観を変えることはできます。本質を見極め、より良い就職・採用に繋がることを願います。

最後までお読みいただきありがとうございます。応援していただけることで、頑張れます。皆様からのスキをお願いいたしますm(__)m

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引地憲幸(フリー面接トレーナー☆noriさん)
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