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初めての新規事業立ち上げ奮闘記①
こんにちは。現在、音声プラットフォーム「Voicy(ボイシー)」で働いている、AYAです。
Voicyに辿り着くまで、メガバンク(SMBC)や戦略系コンサル(BCG)、メガベンチャー(LINE)で働いていました。
現在は、Voicyで音声プラットフォームづくりの一員として、日々奮闘しています。
新規事業の立ち上げの面白さに初めて触れたのは、幸運にも銀行時代。
そのおかげで転職という手段を取りながら、新規事業の立ち上げを追い求めるようになりました。
今回は、初めて新規事業の立ち上げに携わった時のことを振り返ってみたいと思います。
新規事業立ち上げの背景
私の初めて新規事業立ち上げは、ベトナムでの電子マネーサービスの構築でした。「なぜベトナム?」「なぜ電子マネー?」という方も多いかも。
なぜベトナム?
日本では、ほぼ100%の人が銀行口座を保有、86%の人がクレジットカードを持ち(JCB調べ)、電子マネーも多種多様のものが提供されています。
こんな国、極めて少数派で、特に新興国では人口の20%程度しか銀行口座を保有していない状況も珍しくありません。
当時のベトナムは、まさに銀行口座の保有率が約20%。
(なんと経済成長目覚ましく、ベトナム国家銀行によると、現在では成人人口の約7割まで保有率が上昇しているそうです。)
そして、ベトナムは日本のODA対象国。
ちょうど日本の総務省(郵政)がベトナムの郵便事業を掌る情報通信省と協力覚書を交わしていました。
この協力覚書を具体的に実行するために、総務省が民間企業にアイデアと参画を募集。銀行から決済サービスの導入案を提出したところ、ベトナム側へ提案するものの1つとして採用されました。
銀行口座保有率と郵便局、何が関係するの?
銀行口座を持っていない場合、不便になってくるのが、お金を送る時。
知人同士のお金のやり取りであれば、会ったときに現金を渡すということも可能ですが…
例えば、年金を対象の国民に配ろうと思った時。
日本であれば対象者の銀行口座に振り込めば良いわけですが、銀行口座を保有していない人が多いと、現金をどう配るのか?
そこで、ベトナムでは、全国に拠点がある郵便局で毎月決まった日に現金を配る手段をとっていました。
郵便局で現金を扱うリスク
日本だと郵便局にATMが併設されており、ゆうちょ銀行もあるので、郵便局でお金を扱うことに違和感を持たないかもしれません。
しかし、ベトナムでは郵便局は金融の機能が本来ありません。そんな組織で現金を扱う負担・リスクは相当です。
大量の現金(紙幣)を全国の拠点に遅延なく運ぶ
窓口で手渡す際に、正しい受給者に正確に数えて渡す
受給者への配布記録を正確に録る
渡せなかった現金をちゃんと保管し、本部に返す etc…
日本のように、ATMが田舎に行ってもどこにでもあるという環境でもない中で、現金を大量に全国に運び、配り、記録し、残りを返却するという大変手間のかかるオペレーションを毎月行っていたのです。
(銀行が社会のインフラであることを改めて感じもらえたらいいな🤗)
提案内容の概要
年金を現金配布していることで発生するペイン
年金を現金で配るということは、郵便局側にとっても非常に重い負担ですが、一方で、年金受給者側にとっても不便がいっぱい。
毎月決まった日しか現金を受け取ることができない。
つまり、その日を逃すと年金が受け取れない。
数ヶ月は繰越ができるルールでしたが、入院などで長期にわたり受け取りが出来なくなると受給権を失効してしまうといったケースが発生。
さらに、受け取り日の郵便局窓口は超混雑。
朝6時ぐらいから並ぶ人々。まるで病院の待合室のようでした。
実際、現地を何度も訪れましたが、3時間待ちとなる拠点も多くありました。
ペインの解消を目指そう
そこで、日本側としては、以下のペイン解消が期待できる電子マネーの導入を提案することになりました。
郵便局側の現金取扱リスクの低減
年金受給者の年金受給の利便性向上
更には、田舎のエリアに行けば、郵便局内にキオスクのような店舗を構えている拠点も多く、地域の雑貨店を兼ねていました。
年金受給者が年金を受け取った帰りに、店舗で石鹸などの日用雑貨を買って帰るパターンが出来上がっていました。
そこで、年金を電子マネーで配布することで、年金受給者が以下のような使い方ができる設計を想定しました。
郵便局の窓口でいつでも現金化できる
電子マネーのまま、郵便局内の店舗や提携店舗で買い物時の決済ができる
日本人にとってはあまり斬新でもないような内容かもしれませんが、当時のベトナムでは銀行口座も普及せず(特に地方では普及していませんでした)、電子マネーサービスが無かったので、十分にチャレンジングな内容だったのです。
提案は採択されたものの…
提案は、日本政府を通じて、ベトナム側にも無事採択されました。
しかし、大きな課題があったのです。
当時、ベトナムでは電子マネーを考慮した法律が未整備。
つまり、想定している仕組みを実装していこうとすると、まずは法律面の対応をどうするか?が課題に。
法律が無いなら自由にしたらいいのか?
そんな訳にはいかず。
ということで、ベトナム側とは現場のオペレーションに電子マネーの仕組みを入れていくDXプロジェクトを進めながら、並行してベトナム国家銀行との法律整備を相談することになりました。
ここからベトナム側との膝詰めの交渉が開始。
黒木亮さんの『アジアの隼』に描かれるベトナムの印象と重なるような一面も感じられる経験が始まりました。
そろそろ長くなってしまったので、この続きは次回へ。
これまで音声サービスに関わったことが無い私ですが、今はVoicyで音声サービスにどっぷり浸かりながら、毎日奮闘しています。
ぜひスタートアップでの新規事業立ち上げにご興味ある方、Meetyでお話しませんか?