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【私見】USCPAの勉強法

今回は具体的なUSCPAの勉強法(教材等)についてです。
今回でUSCPA【私見】シリーズは一区切りとなります。

前回の記事では、「会計的素養」と「英語力」を鍛えた後で、英語の教材を使ってUSCPAの勉強に本格的に入るという流れをご紹介しました。


お勧め教材(その1)Gleim

さて、最初に紹介するのはUSCPA Reviewコースの老舗のGleim社の教材です。

かなり廉価な教材として、Gleim社”CPA Mega Test Bank”(過去問や予想問題のデータベースのようなもの)があります。

この教材の正価は$999ですが、時々キャンペーンをやっていて、この記事を書いている2024年10月31日現在で、$699.3で購入できます。$1=150円換算で約10万円で購入できるので、現時点では最も安上がりな教材と言えます。

また、Traditional CPA Reviewという製品(アクセス期間18ヶ月)は正価は$2,499ですが、2024年10月31日時点で40%オフの$1,499.4(約225,000円:1$150円換算)で購入可能です。

私は、紙ベースのGleim教材(Law)を使ったことがありますが、説明が完結明瞭で非常に使いやすかった記憶があります。

Gleim社では上記のような割引キャンペーンを時々行っているようなので、有利なタイミングで購入すれば、総費用を抑えることができます。

Wiley社はUSCPA事業を譲渡

Gleim社とともにUSCPA受験機関の老舗にはWiley社がありますが、同社の教材は非常に網羅的で、私も紙ベースの教材でお世話になりました。

しかし最近では(CPA部門が)UWorldに譲渡され、その結果(Test Bankの単独販売がなくなり)セット教材に組み込まれてしまったようです。

母体がWileyなので元々の「教材の質」という点では問題ないと思いますが、事業譲渡直後ということでやや懸念が残ります。

なお、セット教材を購入すると$1,999~$2,899程度(1ドル150円換算で30万円~40万円強)かかると思われます(2024年10月31日現在)。

お勧め教材(その2) Becker

先に紹介したGleimのTest Bankは安価ではありますが、(基本的に問題集だけなので)Test Bankだけの学習はややハードルが高いと感じるかもしれません。

また、Gleim社のTraditional CPA Reviewも良いのですが、アクセス期間は18ヶ月であり、アクセス期間が無制限のPremiumは正価$2,999(2024年10月31日時点では割引適用後の価格 :$1,949.35)と少し値段が上がります。

そこで、(同価格帯の教材として)お勧めするのがBeckerです。

この教材は、USCPAの教材として網羅性が非常に高いと言われる教材です。
Becker社のウェブから申し込むと、Pro(有効期限なし)という教材が$2,299で購入可能です(2024年10月31日現在の割引適用後)。

確かに、日本円換算(1ドル150円換算)で34万円程度のコストがかかるので決して安い教材とは言えませんが、無期限サポートというメリットが得られるのが魅力です。

Becker教材を安く入手する方法

実はBecker教材の場合、Becker社のサイトから直接購入するより、資格の学校TACから購入した方が安くなります(2024年10月31日現在)。

資格の学校TACでは、2023年までは日本語サポート付きのコースがあったようですが、2024年の試験制度変更のため、現在はまだ新コースが設定されていないようです。

こうした事情(日本語サポートがまだ用意されていないこと)もあって、TAC経由のBeckerは廉価になっていると考えられます。

なお、Becker教材はセット販売ではなく、1科目58,000円の単品販売になっています。したがって、勉強の進度に応じて少しずつ揃えていけば、負担も少なくなります。また、全4科目揃えても合計で232,000円なのでかなり割安と言えます。

Becker教材の有効期限に注意

ただし、資格の学校TAC経由で購入できる教材は先に紹介したPro(有効期限なし)という製品ではなく、Advantage(24カ月間の期限付き)という製品になっているようです。

つまり、初回ログインから24カ月間が利用期限となる点に留意する必要があります。

CPA Reviewコースの比較動画

CPA Reviewコースの比較動画がありましたので、参考までにご紹介します。

合格科目の失効に注意

最後に言い忘れていたことがあります。
それは合格科目の失効です。

私が受験していた頃(紙ベースの試験)では、4科目一括受験が基本でした。科目合格制度(確か2科目以上の合格が条件だった?)もありましたが、受験生は基本的に4科目を仕上げてから(合格レベルにあると判断してから)試験を受けていました。

よって、科目合格ができればほぼ9割以上の確率で最終合格に到達できていたと思います。

しかし、現在では1科目ごとの受験が可能となっています。一見すると受験のハードルが下がったように見えますが、むしろ、合格科目の失効のリスクが大幅に高まったと言えます。

2024年からの新制度によって、合格科目の有効期限が従来の1年半(18ヶ月)から2年30カ月(アラスカ州、ニューヨーク州など)に延長されたようですが、やはり合格科目の失効には注意が必要です。

合格科目の失効を防ぐには、1科目ずつ仕上げるのではなく、少なくとも2科目以上(できれば3科目)併行して勉強する方法が必要ではないかと思います。

例えば最初にFAR(財務会計)、次にAUD(監査)の試験を受ける場合、FARとAUDを並行して勉強します。FARがほぼ合格できる見込みが立ち、かつ、(次に受ける)AUDの完成度が50%以上になったあたりで初めてFARの試験を受けるというスケジュール感です。

このように、科目をオーバーラップさせることで合格科目の失効を防ぐことができます。

おわりに

個人的に考えるUSCPAに向けた最適ルートは以下のとおりです。

Step1:受験にあたって不足単位があれば日本の大学(通信)で取得
Step2:会計知識が不十分ならば、日商1級レベルの勉強を進める
Step3:基礎的な英語力を身に付けつつ、会計の勉強を英語で進める
Step4:最後は(米国の)USCPA受験コースを提供するproviderの教材で仕上げる

上記のステップは確かに時間がかかり、回りくどいので、「最初から予備校で勉強した方が良いのではないか」という意見もあると思います。

私の推奨する方法は、確かに一時に多額のコストはかかりませんが、USCPA受験に係る総額コストという点では、日本の予備校を利用する方法と比較してそれほど「安い」というわけでもないからです。

確かに、USCPAの受験自体でかなりのコストがかかる現状において、(私がご紹介した方法による)コスト削減効果はそれほど大きくないでしょう。

しかし、上記の方法を(敢えて)推奨する最大の理由は「柔軟性」(Flexibility)です。

具体的には、Step4に入る前段階であれば、いつでも「USCPA以外の道を選べる」ということです。

例えば、Step1やStep2を経てから方針転換して、(資格試験という観点では)日商簿記1級検定や税理士試験や公認会計士試験など、別の試験を選ぶこともできます。

あるいは、日本の大学や大学院で会計や経営(MBA等)を学ぶという選択肢も出てくるでしょう。

Step3まで行くと、USCPAへの道が現実化しますが、必ずしもUSCPAでなくても、英語力を生かしたキャリア設計の「別ルート」も見えてくるかもしれません。
 
例えば、海外MBAや他の国際資格であるCFA(米国証券アナリスト)なども選択肢になるかもしれません。

Step4に入る前に「自分にとってUSCPAが本当に必要なのか」という問いに自信を持って「Yes」と答えられるようになった段階でUSCPAを目指すということで、全然遅くないと思うのです。

USCPA試験についてややネガティブな情報も含まれていますが、ライセンスホルダーとして、私の思う所を正直に記事にした次第です。

これから、USCPAの勉強を開始しようと考えている方のお役に立てれば幸甚です。

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