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OJTが研修より肝!?OJTリーダー向けセルフチェックリスト

この記事を読んでいただきたい方
・新入社員向け研修やOJTの企画を担う人事ご担当者様
・若手社員の育成を考えている経営者の方や人事ご担当者様、マネジメント層の方
・OJT実施者となったOJTリーダーの方
・OJTの実施方法を知りたい方

はじめに

新入社員を受け入れるにあたり、まずは「新入社員研修をどのようなものにしよう」という、研修としての取組みに注目しがちな方は多いでしょう。研修も大切ではありますが、私は対人・組織支援職の人間として様々な企業組織をご支援させていただいた中で、研修で身につけたことの定着や組織社会化(会社や配属先への順応)、オンボーディングに関して本当に重要なのはOJT施策であると実感しています。

新入社員育成施策の中でOJTを取り入れている企業組織は多いですが、人事ご担当者様や特に、組織長にあたるマネジメント層の方々は、自組織の若手社員に丸投げして終わりにしていないでしょうか?たとえば、「新入社員が来るから面倒見るの任せるよ」「とりあえず同行しておいて」とか…

一方、OJT指導役の若手社員にとっては、OJTの意義を理解できないと、「通常業務に上乗せされて負担が増える」という、ただのやらされ感満載で捉えられてしまうことになってしまいます。私も社会人2年目の頃は、実際そうでした…しかし、OJTは新入社員の育成以上に、OJTリーダーに任命された若手社員の成長につながる絶好の機会でもあります。つまり、組織開発や人材開発の観点からも、非常に有効な組織力向上施策や社員のリテンション施策としても有効ですので、今一度、新入社員向けOJTに関して見つめなおしてみましょう。

1.OJTリーダーを任命し、意義理解を図る

新入社員向けOJTリーダーとして、自組織でこれまで最も若手だった社員の方(入社2~5年目の社員が多い印象)を任命する組織は多いでしょう。その際、「時期が来てしまったから面倒見てやって」というノリで任命してしまうと、その若手社員にとっては、通常業務にOJT指導業務が上乗せされ自分の業務量が増加すると捉えられてしまいます。そうなると、意義理解ができず、計画性もなく、場当たり的なやらされ感OJTになってしまいます。そのような指導を受ける新入社員はどう感じるでしょう?きっと、会社や配属先などに対する自分の存在意義、たとえば歓迎されている感や存在承認を感じづらく、定着前に他の畑が神々しく見え、早期離職につながる恐れがあります。まさに、オンボーディングの失敗…

一方、OJTの指導役を担うことは、OJTリーダーにとって絶好の成長機会にもなります。そのため、OJTリーダーを任命する際は、組織長や上司との対話の機会を設け、下記のことに共通理解をもち取り組むことが、効果的なOJT設計につながるでしょう。

・OJTを通して、新入社員にどのようになってもらいたいか。
・そのために、OJTリーダーに期待していることはなにか。
・なぜ、あなたをOJTリーダーとして任命したのか。
・OJTリーダーの役割を通して、自身にとっても○○のような成長機会になる。
・OJTは受け入れ組織のメンバー全員が何かの役割を担うもの。あなたはそのリーダーなので、上司や他メンバーを積極的に巻き込んで構わない。決して一人で抱え込む必要はない。

2.OJTリーダーに向け、OJT実施レクチャーを行う

次のステップとしては、具体的に何を意識し、どのタイミングで何をやるのか、インプットと計画を立てます。OJTリーダーには、そのための研修やワークショップなど、レクチャーを受ける機会を設け、OJTに関する基礎理解ができるようにします。その機会は、できれば1日や1回で済ませるのではなく、時間を細切れにしても構わないので、継続性をもたせると、OJTリーダーとしての役割認識や自主性を育むことにもつながります。たとえば、以下のようなスケジュールで組み立てるとよいでしょう。

※1回あたり2.5時間のレクチャーを1週間ごとに3回
【1回目】
OJTの基礎理解。持ち帰りの課題として、自組織におけるOJTの意義、たとえば、組織の方向性とそのために新入社員がどのようになっていてほしいか、そしてOJTリーダーを務めることで自身がどのように成長をしてほしいか、などを組織長や上司との対話を通じて共通理解をもつ。
【2回目】
OJTで何を意識し、どのタイミングでどのように指導するか知る。持ち帰りの課題として、OJT計画を具体的に組織長や上司と相談し、計画表などを作成する。
【3回目】
作成したOJT計画表をもとに、他参加者とディスカッション。修正や肉付けを行う。持ち帰り課題として、修正した計画表を組織長や上司と共有し、承認を得た後、自組織の全メンバーに共有して協力を呼びかける。

ポイントは、各回のレクチャー後に、課題を自組織に持ち帰り、組織長や上司との対話を通じて相談や共通認識をもつことです。それが、OJTリーダーの上司や組織理解や、組織への巻き込み力の醸成を育むことにつながります。

3.新入社員へのOJTは、組織全体としての施策であるという雰囲気づくりをする

OJTリーダーは、組織長や上司との対話を重ね、新入社員にどのタイミングでどのような知識や経験を積ませるか、そのためにどのような指導を行うかなど、上記2に記載したように、自組織を巻き込んだ計画を立てます。ここで強調したいのは、組織で行うOJTはOJTリーダーが一人で抱え込む必要はないということです。組織長や上司と密な対話を行い、「この部分は他のメンバーに対応をお願いする」など、OJTリーダー自身よりも効果的にレクチャーできるようであれば、他メンバーを積極的に巻き込み、組織としてOJT施策を実施しているという雰囲気や風土醸成をすることが大切です。また、新入社員にとっても、OJTリーダー以外のメンバーから指導を受ける機会があったほうが、配属先の組織の理解が進み、馴染みやすくなるでしょう

4.OJTリーダーが主導となり、日々、新入社員に関わる

業務の指導などは段階を追って他メンバーも巻き込むとよいですが、1日の振返りなど、経過観測やフィードバック、フォードフォワードは、OJTリーダーが主導となり行うことが、成長著しい新入社員の習熟度や課題、悩みなどの状態把握には有効でしょう。また、具体的にどのようなことを意識してOJTにおいて新入社員に関わるとよいか、チェックリスを作成しましたので、下部に添付します。よろしければ参考にしてみてください。

5.OJTリーダーを担うことは、次世代リーダー育成に向けた絶好の機会

新入社員の受け入れにあたり、どうしても新入社員研修に目が行きがちになってしまいます。それも大切なことですが、私は、対人・組織支援職の人間としての経験上、新入社員研修で学んだことの浸透と、配属先への組織社会化(順応すること)が、定着やオンボーディングの観点からさらに重要であると実感しています。いかに継続的で効果的なOJT施策を設計・実施できるかにより、効果的な人材育成や人材開発、組織開発につながります。OJTは、新入社員育成もさることながら、OJTリーダー役の若手社員の劇的な成長に、私は最も意義を感じています。OJTリーダーが組織のことを考え、組織長や上司、他メンバーと密に連携を取り、相談や意見を聞き、提案や協力依頼を行い、組織を巻き込んでメンバーを動かしていく経験を積む絶好の機会にもなります。つまり、OJT施策は次世代リーダーの育成の機会でもあり、企業組織にとって非常に貴重で価値のある機会になります。

OJTを「新入社員が来るから、面倒見ておいて。同行とかしておけばいいから」という位置づけで捉えてしまうと、新入社員の戦力化や定着化はしませんし、若手社員の育成機会を逸してしまい、とても残念なことになっていまいます。毎年のように訪れるこの機会を、若手社員のリーダーとしての絶好の育成、成長の機会と捉え、OJT施策を設計することが、持続可能な、組織力のある企業を育むことにもつながるでしょう。

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