言葉は魔法#8 お笑いの魔法

言葉がどうして伝わるのか。あるいは、どうしてコミュニケーションが成立するのか。
これは、人間関係をテーマとしたセミナーの構成を考えるとき、核となるところです。
わたしは、これを最近寝ても覚めても考えています。とっても面白いから…

お笑いのガンバレルーヤよしこの持ちネタに、「このクソがあ〜!!」というのがありますね。
これがケンカの恫喝ではなく、笑えるものとして伝わるのはなぜか、ということです。
答えは、ケンカの最中にこれを言えば恫喝、ガンバレルーヤよしかが言えばお笑いギャグ、という使い分けができているからですよね。

これを、コミュニケーションの「文脈」なんて言うそうです。

昨晩のとあるオンライン勉強会で、大学の心理学の先生が明石家さんまを例にあげて、文脈とお笑いを説明してくれました。
トークバラエティ番組を観ていて、明石家さんまさんが抜群に上手いのは、その場に出た参加者の発言を全部お笑いの文脈に置き換えてしまうことではないか、とおっしゃっていました。

どんなに平凡でつまらない発言でも、明石家さんまさんは魔法のように笑いに置き換えてしまいます。いじるのが上手い、なんて表現することもあります。
これをコミュニケーション論的にみていくと、平凡なことも明石家さんまの文脈にのせると可笑しさが生まれてくる、あるいは、明石家さんまはそういうなんでもないことに可笑しさをにじませる文脈を自身の話法の中にもっている、そう言えるかもしれません。

もう少し詳しくみると、お笑いの文脈は、わたしたちのもっている文脈から外すところにあるようです。そこにギャップや意外性が生まれて笑える、ということです。
ナイツの漫才は、塙さんの「ヤホーによると…」で有名です。これは、わたしたちに「それヤフーじゃん」と思わせて置いて、「それ、Yahooね!」と土屋さんがすかさずツッコむ。ダジャレと言えなくもないのですが、一連の文脈のある会話の中で使って、コミュニケーションに一種のズレを作って笑いを生み出しています。

明石家さんまさんも、ナイツの土屋さんも、いわゆる「ツッコミ」です。
ツッコミの役割りについて、千原ジュニアさんは、「ボケの発言をふちどる」と表しているそうです。
相手の言葉を「ふちどる」ときに、文脈をずらしたり、いじったりするんですね。

相手が「このクソがあ〜!!」と言ったとき、「あ”〜💢  もういっぺんゆうてみろ😡」と応えるのがケンカの分脈。「おお!、よしこ出現!」とか「なんでここでよしこやねん」と応えると、お笑いの文脈。

でも、そう考えてテレビを観ると、明石家さんまもナイツもつまらなくなりそうなので、テレビを観るときは、無心に笑いましょう🤣

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?